美容の極み

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Sep 03, 2009
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1.新型インフル:京都の69歳男性死亡 心臓などに慢性疾患
2.集団感染 1330件に拡大 新型インフル 1週間集計 東京5.4倍で最多
3.移動式透析機を導入 新型インフル対策で県補助
4.ワクチン、米で安全性チェック最終段階
5.四病協の新型インフル要望書「紛らわしい」-日医が批判
6.米ファイザー、政府に2100億円支払いへ 医薬品詐欺
7.勤務医の4割が「不当なクレーム」経験-日医調査
8.外科系7学会 手術症例登録制を構築 厚労省も外科医療の実態把握に協力
9.人工心臓の治験で心肺停止 国循が脳症に陥り死亡した患者の報告書を公表
10.舛添厚生労働大臣に直談判した卵巣がん患者の願い「適応外治療を受けたいという願いはわがままなのでしょうか」
11.新型インフルエンザ流行を機に、予防接種法改正を
12.プライマリ・ケア医はうつ病を正しく診断しているか?
13.プライマリ・ケアにおけるうつ病治療に、オンライン認知行動療法は有効か?
14.侮辱は横臥して聞く-その理由
15.女性の仕事の選択にテストステロンが関与?
16.テストステロン、心不全高齢者で展望開く
17.Statins Before Vascular Surgery Cut Deaths, Complications
18.Caffeine Without Healthy Diet Linked to Heart Risk
19.政府インターネットテレビ(H1N1関係動画開始)のご案内
20.新型インフルエンザに関する報道発表資料
21.パンデミック(H1N1)2009の臨床像
22.プレスリリース
1) 新日本科学、偏頭痛薬「ゾルミトリプタン」の経鼻剤開発に着手
2) 日本メドトロニック、医療従事者・心肺蘇生専門家向け自動体外式除細動器を販売
3) ノバルティス、「ディオバン」で心血管イベントなどの危険率が45%減少など臨床試験結果を発表
4) 武田薬品、デュシェンヌ型筋ジストロフィー治療薬(イデベノン)の臨床第3相試験を開始
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1.新型インフル:京都の69歳男性死亡 心臓などに慢性疾患
毎日新聞社2009年9月3日

 京都府は2日、新型インフルエンザに感染した木津川市の男性(69)が死亡したと発表した。男性は呼吸器と心臓に慢性の基礎疾患があった。新型インフルエンザ感染による死者は国内9人目。
 府によると、肺気腫で府南部の病院に入院していた男性は先月25日に発熱。簡易検査で陽性反応が出て、26日には遺伝子検査で感染が確認された。タミフルを投与され解熱し、心疾患治療のため31日に別の病院に転院。しかし、今月1日に心肺停止となり、2日午後6時半に死亡した。
 府インフルエンザ対策本部は、新型ウイルス感染による劇症型心筋炎で死亡した疑いがあるとみている


2.集団感染 1330件に拡大 新型インフル 1週間集計 東京5.4倍で最多
東京新聞社2009年9月3日

厚生労働省は二日、学校や医療・福祉施設などで確認された新型インフルエンザとみられる集団感染の発生件数が、八月二十四~三十日までの一週間で千三百三十件に上り、前の週の約一・五倍になったと発表した。
 自治体側から臨時休校・休業などの要請を受け、実施に踏み切った学校や社会福祉施設は二百九十九で、前の週の約二・二倍。
 集団感染は七月下旬の調査開始から五週連続で増加。都道府県別では前週まで最も多かった沖縄は四番目となり、東京が約五・四倍の百六十七件で全国最多、次いで北海道が約四・四倍の九十三件とそれぞれ大幅に増えた。
 集団感染について厚労省は、前週までは詳細(PCR)検査で感染が確認された患者を含む件数を集約していたが、今回からはPCR検査で新型と確認されなくても、症状を示す患者が出た場合には集団感染とみなして報告を求める方式に変更。それによると、都道府県別で東京、北海道に次いで多かったのは大阪七十八件(前週三十一件)、沖縄七十二件(同五十六件)、福岡五十七件(同二十九件)、新潟五十件(同三十件)などの順。
 臨時休校を実施した学校や、デイサービスなどを休業した社会福祉施設が最も多かったのは北海道の八十九。次いで沖縄の六十七だった。
 一日までの一週間に入院した患者数(速報値)は八十七人で、前週(八月十九~二十五日)の速報値(百五人)より十八人減少。内訳は男性五十九人、女性二十八人。十九歳以下が六十四人で全体の約七割。基礎疾患があるなど重症化の恐れがある人は四十人。急性脳症になったり、人工呼吸器を装着する状態になったりした人は七人に上った。
◆京都と高知で感染者が死亡 全国10例目
 京都府は二日、新型インフルエンザに感染していた木津川市の男性(69)が死亡したと発表した。高知県でも七十代男性が死亡し、新型インフル感染者(疑いのある人を含む)の死亡は全国で十例となった。
 府によると、男性は肺と心臓に慢性疾患があった。高知県によると、七十代男性は糖尿病と閉塞(へいそく)性肺疾患の慢性疾患があり、約一カ月半入院。発熱後の今月一日に高知市内で死亡した。


3.移動式透析機を導入 新型インフル対策で県補助
日本海新聞社2009年9月3日

 鳥取県の平井伸治知事は2日の定例会見で、新型インフルエンザにかかった透析患者から死亡者や重症者が全国で相次いでいる問題を受け、移動式の人工透析機器を県内に設置する方針を明らかにした。県は医療機関が機器を購入する費用の一部を補助する考えで、9月議会に補正予算案を盛り込む。
 県健康政策課によると、通常は透析室に複数のベッドを並べて人工透析を行っているため、集団感染しやすい状況。このため発熱患者が生じた場合、個室に隔離し、移動式の機器を運んで透析を行う。県内医療機関での導入はまだほとんどないという。
 移動式の機器は一台500万円程度。新型にかかった透析患者の入院を受け入れている県内15医療機関の中で、県東、中、西部にバランスよく設置したい考え。移動式を備えた病院に新型の透析患者を搬送する態勢も整備していく。導入台数や予算規模は未定という。
 県内の透析患者で新型の感染ケースは報告されてないが、平井知事は会見で「対策は状況を見て柔軟に動きたい」と話した。


4.ワクチン、米で安全性チェック最終段階
TBS News2009年9月3日

ワクチンの生産が急ピッチで進むアメリカでは、臨床試験での安全性などのチェックが最終段階を迎えています。
 メリーランド州にある大学病院です。こちらでは、新型インフルエンザのワクチンの2度目の臨床試験が行われています。
 この日使われたのは、フランスのメーカーがアメリカ国内の工場で生産中しているワクチンです。1人2回の接種が必要で、この日は3週間前に1回目の接種を済ませた人が対象となりました。
 臨床試験の協力者は全員がボランティア。新しいワクチンに対するリスクは承知の上ですが、参加の理由は様々です。
 「私はワクチンを優先的に受けられる対象にならないと思いますので」「孫がいるので、その子が接種しても安全かどうか確かめたいと思ったんです」(臨床試験の協力者)
 病院側は、接種の8日後と21日後に血液や腫れ具合などを調べ、さらに7か月先まで体調をチェックするなど、健康管理にも細心の注意を払っています。
 「接種を受けた健康な方からは、想定外の副作用は何も起きていません」(臨床試験を行うカレン・コトロフ教授)
 安全性が確認されれば、アメリカでは来月中旬にも一般への接種が始まりますが、初期段階のワクチン不足は避けられない見通しで、まずは当面の予防対策が流行を抑えるカギになりそうです。


5.四病協の新型インフル要望書「紛らわしい」-日医が批判
CareerBrain2009年9月3日

日本医師会(唐澤祥人会長)は9月2日、定例の記者会見を開いた。飯沼雅朗常任理事は、四病院団体協議会(四病協)が8月31日付で舛添要一厚生労働相に出した「新型インフルエンザ等の対策に関する要望書」について、「紛らわしい」などと批判した。
四病協による要望書では、弱毒性新型インフルエンザ(H1N1)への対応について、「感染症法上の2類類似疾患としての取扱いの解除」を求めている。
 飯沼常任理事は「インフルエンザの中で鳥インフルエンザ(H5N1)だけが2類相当で、ほかは2類ではない」と指摘。「こういう書き方をすると、あたかもH1N1が2類であるとの紛らわしい混同が起きるのでまずい」と述べた。
 また、タミフルなどの抗ウイルス剤や防護キットなどを十分に確保できるよう配慮を求めている点についても、「流通のものがなくなれば、都道府県を通し、国が保証することは既に承っている。これを書くのはちょっとまずいのではないか」と批判した。
 その上で、日医として、新型インフルによる入院患者が増えれば「介護療養病床も使うことになる」との見方を示し、患者を受け入れた場合の保険点数上の扱いを「出来高」にするよう求めた。
 飯沼常任理事はまた、日医が舛添厚労相に出した、自院での診療や発熱外来などに出動する医師らが感染した場合の補償制度の創設などを盛り込んだ5月15日付の要望書にも言及。補償などについて「随分実行された」と述べる一方、「新型インフルエンザにH5N1が乗る可能性も十分ある」として、鳥インフルエンザ(H5N1)への十分な監視の必要性を訴えた。


6.米ファイザー、政府に2100億円支払いへ 医薬品詐欺
朝日新聞社2009年9月3日

米司法省は2日、医薬品大手ファイザーが、違法な販売促進と公的な医療保険制度に対する詐欺行為があったことを認め、罰金と和解金を合わせ計23億ドル(約2100億円)を政府側に支払うことで合意したと発表した。
 23億ドルの内訳は、罰金約13億ドルと和解金約10億ドル。司法省によると、罰金は米国刑事史上、最高額。また、製薬会社の詐欺行為をめぐる和解金としても最高額になるという。
 発表によると、米国で製薬会社は、米食品医薬品局(FDA)に承認された医薬品の効能以外の目的での販促活動が禁じられているが、ファイザーは処方箋薬の消炎鎮痛剤ベクストラについて、承認されていない効能をうたいながら、違法に販促していたという。
 また、ベクストラや抗菌剤ザイボックスなど四つの処方箋薬について、本来は公的医療保険が適用されないのに、不正に販促していたとされる。
 米国では医療保険制度改革が佳境を迎えており、司法省は「今回の合意は、財源が限られ、医療費が高騰する中で司法省がいかに米国社会を助けられるかを示すものだ」とコメントしている。


7.勤務医の4割が「不当なクレーム」経験-日医調査
CareerBrain2009年9月3日

病院などに勤務する医師の約4割が、患者やその家族からの不当なクレームやトラブルを経験していることが、日本医師会の「勤務医の健康の現状と支援のあり方に関するアンケート調査」の結果から分かった。これらの経験がある医師の割合は病床数の多い病院で高く、日医では、不当なクレームへの組織的な対応など7か条を病院に提言するリーフレットを作成した。
調査は今年2月20日-3月6日、日医会員の勤務医1万人(男性8000人、女性2000人)を対象に実施。3879人から回答があった。
 この半年間に、患者やその家族からの不当なクレームやトラブルを受けたことがあるかを尋ねたところ、「1-3回」が39.0%(1511人)、「4回以上」が5.4%(210人)で、これらを合わせると計44.4%(1721人)が受けたことがあったと答えた。
 男女別では、男性勤務医の46.3%(1384人)、女性勤務医の40.3%(332人)が経験していた。
 また、年代別では、「30歳代」が51.7%(365人)と最も多く、以下「20歳代」50.5%(45人)、「40歳代」49.3%(559人)など。一方、「70歳代以上」は15.8%(43人)で最も少なかった。
 勤務先の医療機関の病床数別に見ると、「500床以上」が48.7%(488人)で最多。以下「100-499床」45.2%(993人)、「50-99床」43.9%(178人)などの順で、病床数が多いほど経験した医師の割合が高かった。
 調査ではまた、自殺や死について週に数回考えたり、具体的な自殺の計画を立てて、実際に死のうとしたりしたことがある勤務医が合わせて約6%いることも分かった。日医の今村聡常任理事は9月2日の定例記者会見で、「一般国民の割合から比べると非常に高く、衝撃的なデータだと考えている」と述べた。
 調査結果を受け、日医は「医師の休息が医師のためにも患者のためにも大事と考える」「暴力や不当なクレームを予防し、組織として対応する」など勤務医の健康を守るための7か条の提言を盛り込んだ病院向けリーフレットを作成。今後、病院に配布し、組織的な取り組みを促す。
 今村常任理事は会見で、日医として勤務医の労働環境整備などを行政や政界に働き掛け続けていく方針を示した。


8.外科系7学会 手術症例登録制を構築 厚労省も外科医療の実態把握に協力
Japan Medicine2009年9月3日

日本外科学会など外科系7学会は、日本の外科手術症例の登録データベース構築に動き出した。外科手術症例の標準的治療成績から、地域の外科医療の水準を評価するためのエビデンスを集積する。こうした動きは、厚生労働省医政局総務課と日本外科学会が協議する中で具体化してきた。厚労省では、「外科医志望者の減少は認識したが、それを今後の施策により反映させるには、日本全体の外科手術症例の実態把握ができる仕組みが必要と考えている」とし、外科手術症例登録システムの構築に期待を示している。
 日本外科学会および外科専門医制度のサブスペシャリティ学会である日本心臓血管外科学会、日本消化器外科学会、日本呼吸器外科学会、日本小児外科学会、日本内分泌外科学会、日本乳癌学会の7学会が、「外科全手術症例登録とその解析のための学会間ネットワークの構築」に向け検討を始めた。
 これは、今年度の厚生労働科学特別研究事業(主任研究者=岩中督・東京大教授、日本外科学会情報・広報委員長)として進める。日本外科学会および外科系専門領域学会からなる「外科関連専門医制度委員会」の中に「手術症例データベースワーキンググループ」を設置し、症例登録の組織作りを具体化させる計画だ。複数の外科系学会が共同で症例登録の組織体制作りに取り組むのは、今回が初めて。
 岩中教授は、手術症例データベースWGに7学会が協調しながら、日本の外科手術症例のデータベースを構築することで、外科手術症例における術者情報・施設情報・患者情報が一括で把握できるようになるという。「それぞれの学会が、共通フォーマットで登録していくことで合意できた。9月から、症例登録に向けた具体策に関する協議を進めていきたい」と説明した。
 岩中教授によると、今年度中に7学会で「同一形式による外科手術症例登録システム」を検討し、小規模の症例登録の試行を行いたいとしている。共通の調査票が完成次第、各学会レベルで小規模の試行調査を実施する計画だ。そこで外科手術全症例把握のための全国調査が可能と判断できた時点で、早急に大規模症例登録を開始する予定だ。
●手術数や治療成績など共通登録を検討
 実際に7学会の中で、日本心臓血管外科学会が先駆的に開始し、それに続き日本消化器外科学会が、今年度から消化器がんの症例登録について研究を開始する格好だ。
 同WGでは、2学会の経験を生かしながら、<1>疾患ごとの手術総数とその治療成績<2>手術総数から検討した必要な専門医数(基本領域・専門領域)の推計<3>専門医育成施設の在り方(適正配置など)<4>外科診療施設の医療水準の評価<5>外科医の繁忙性の地域格差の評価<6>外科救急医療の在り方<7>地域医療の将来予測と必要な行政施策-などの事項を検討可能な共通の調査票(登録事項)を作成する計画だ。
 岩中教授は、「具体的には、患者背景の基本情報、執刀医(術者)などの外科医情報、術式・出血量の手術情報、患者の術前状態、合併疾患などの附帯情報は必須だ」としている。特に、術後成績は、医療水準の評価や外科医療の均てん化の解析に必要としている。
●外科全手術登録への第1歩に
 同WGは、「近年の外科医志望者の減少にできるだけ早く手を打たないと、10年後の外科医療は崩壊する」との危機感が発端で動きだした。ただ、日本外科学会を中心に問題を指摘されているが、国がさまざまな施策に落とし込むエビデンスが少ないのが実態だ。この現状を受け日本外科学会は、厚生労働大臣に対し10年後の外科医療の崩壊を防ぐ施策を講じるよう要望書を提出。これが契機となり、厚労省医政局と学会関係者が、協議を始めることになった。
 厚労省医政局総務課の中野滋文・保健医療技術調整官は、「外科医、例えば、呼吸器外科医などが足りないことなどを、国民に広く納得、理解してもらえるエビデンスの集積が、施策を検討する上で重要になる」と語る。その上で「外科症例登録を共通フォーマットで行うことによって、登録者負担がより少なくなる形で、1階部分の外科専門医の現況が把握できる」とみている。さらに、「きちんと症例登録した医師が、専門医としてより高く評価されることによって、より良いシステムになっていくのではないか」とし、公正な登録システムにするための工夫が必要としている。
 実際に外科手術にかかわる調査は、施設単位の年間手術数調査から、日本心臓血管外科学会の手術例登録のように、疾患ごとの患者の重症度・合併症も評価した上で、術後死亡率などの手術治療成績を集積・解析する方法までバラツキがある。厚労省では、疾患別の統計情報は所有しているが、国内の外科全手術症例という切り口での登録はしていない。外科全手術登録制度構築への第1歩になりそうだ。



9.人工心臓の治験で心肺停止 国循が脳症に陥り死亡した患者の報告書を公表
日経メディカル2009年9月3日

一昨年、国立循環器病センター(国循)で行われた人工心臓の治験で被験者が心肺停止後、脳症に陥り死亡した。週刊誌が取り上げたことで世間が注目。これに対して国循は今年6月、報告書をまとめた。
「国立病院のおぞましい『人体実験』」─。昨年末、ある週刊誌にこんな見出しの記事が掲載された。内容は、国立循環器病センター(大阪府吹田市)での人工心臓の治験について、医療事故を隠した上に、実施方法にも問題があったのではないか、と告発するものだった。
 発端は2007年春、拡張型心筋症の10歳代男性が国循で行われていたサンメディカル技術研究所(長野県諏訪市)の左室補助人工心臓「エヴァハート」(写真)の治験に参加したこと。男性は、植え込み手術後14日目に心肺停止に陥り、蘇生後脳症を併発。意識が回復しないまま治験は続けられ、08年春に死亡した。
 男性の遺族は08年8月、心肺停止に至った原因を知ろうと、診療録を証拠保全。心肺停止前に患者の異変に気付けば脳症を回避できたのではないか、脳症後も治験継続の同意書に署名したものの、治験から外すべきだったのではないか、といった疑問を抱いていた。
 この一件を知った冒頭の週刊誌が本症例について、「人体実験」「医療事故隠し」などと報じたわけだ。国循は、昨年12月18日、実施しているのは治験であり、本症例については院内の事例検討会で医療事故ではないと判断された、という趣旨のコメントを発表した。
治験継続の説明不足を指摘
 しかし遺族は、この事例検討会の存在を知らされていなかったという。そこで同日、国循の運営責任者である厚生労働省に、脳症に陥った原因や治験継続の妥当性などについて、外部委員を交えた委員会で調査することを要望。国循は外部委員6人を含めた調査委員会を設置し、今年6月、報告書をまとめた。
 報告書は、右心不全の顕在化や循環血液量の減少、心タンポナーデなど、複合的要因で心肺停止に至ったと推定。日々の統一した視点での診療や検査によって、いつくかの要因は治療できた可能性もあったが、当時は医師間での情報交換や議論が十分ではなく、チーム医療が満足に機能していなかったのではないかと推測した。
 また、脳症後の治験継続は、遺族の同意もあったことから不合理とはいえないとしつつも、仮に治験から外れるとどうなるかなど、治験継続の選択を促すに足りるだけの説明がなされていなかったと指摘した。
 委員長で名大心臓外科学教授の上田裕一氏は、「急速に悪化した10歳代の心不全患者に対する治験であり、高度な専門診療体制と高いコミュニケーションスキルが必要だったにもかかわらず、医療者間、患者と医療者間の意思疎通が足りなかった」と分析する。
 一方、遺族の代理人は、「報告書を前提とすれば、術前の適切な観察で徐々に進行した心肺停止の要因を察知し、早期の対応が可能だった。よって診療上の注意義務違反が認められるはず。治験手続きの不備についても、非常に厳しい指摘がされたと受け止めている」と話す。
 国循は再発防止策をまとめる予定だが、その内容や今後の対応に遺族が納得しなければ、訴訟に発展する可能性もありそうだ。


10.舛添厚生労働大臣に直談判した卵巣がん患者の願い「適応外治療を受けたいという願いはわがままなのでしょうか」
日経メディカル2009年9月3日

片木美穂(卵巣がん体験者の会スマイリー代表)
「何ができるかわからないけれど舛添厚生労働大臣に会ってくるよ」。松島麻子(仮名)さんは、静かに、でも覚悟を決めたように力強く言いました。
●卵巣がんについて
 卵巣がんは1年間で約8000人が発症し、約4500人が亡くなる婦人科がんの中でも極めて予後が悪いがんです。自覚症状が出にくく検診で発見するのも難しいことから、多くの患者が進行がんになった状態で発見されます。そのため、抗がん剤治療が不可欠です。
 標準治療(ファーストライン)としては、タキソールとカルボプラチンの併用療法が世界中で行われており、日本も同様です。しかし、日本では、カルボプラチンやシスプラチンといったプラチナ製剤に耐性などが起きたときに、選択肢が少ないのです。世界で卵巣がんのセカンドラインとして使用されている「トポテカン(ラグ13年)」、「ドキシル(ラグ10年)」、「ジェムザール(ラグ3年)」が、2009年4月22日にドキシルが承認されるまで「適応外」という状態でした。
●厚生労働大臣面会の背景
 麻子さんは、当会の会員の中でも一番の勉強家で、プラチナ製剤に耐性が起きたときの治療法が少ないという現状をとてもよく理解していました。麻子さんは2008年10月15日に当会がドラッグ・ラグ解消の署名活動を始めたときに、大学時代の友人に積極的に声をかけました。大学時代に弁論部に所属していた麻子さんの友人の多くは、国会議員・地方議員として活躍しています。卵巣がん患者が置かれている現状に驚いた仲間が麻子さんのもとに集まりました。
 11月の初めに舛添厚生労働大臣に麻子さんが直接会えることになりました。麻子さんに、同行してほしいと声をかけていただきましたが、署名活動のまっただなかで連日マスコミなどの対応に追われて調整がつきませんでした。大臣に会うまで、毎日のように麻子さんと電話で打ち合わせをしました。不安な時も、「私がマスコミのみなさんに報道をしていただき空中戦をする。麻子さんが、大臣に直接卵巣がん患者の現状を訴える地上戦だね」といって励まし合いました。
●再発卵巣がん患者の現状と「ジェムザール」
 麻子さんは、再発後の抗がん剤治療がいずれも効果がみられず、当時治療に使っていた抗がん剤は副作用も強く、辛い思いをしていました。しかしその治療を受けなければ「もう手が無い」状態でした。
 私たちがセカンドラインとして求めるうち、「ドキシル」はマスコミの報道などが後押しをし、2007年11月に迅速審査になり、近い将来に承認されるだろうということでした。そのような背景から麻子さんが強く望んだ薬が「ジェムザール」でした。
 「ジェムザール」は日本では、非小細胞肺癌、膵癌、胆道癌、尿路上皮癌に対して承認されています。卵巣がんに対しては世界約60カ国で承認されており、複数の海外の無作為化比較試験等の公表論文で有効とされています。NCCNのガイドライン、日本の卵巣がん治療ガイドラインにも再発卵巣がん治療の選択肢として記載されている抗がん剤です。
 麻子さんは再発後、セカンドオピニオンに訪れた病院で「数か月ごとの刻みにはなるかもしれませんが、抗がん剤治療をうまく組み合わせていけば、やがてドキシルが承認され、その次の手がでてくるかもしれない。頑張りましょう」と言われていました。それは、治療を望む麻子さんに対する医師の励ましだったのかもしれませんが、麻子さんとっては生きる指針になったのです。
また、スマイリーでは多くの卵巣がん患者が適応外でジェムザールでの治療を受けていました。2008年8月5日に日本テレビニュースリアルタイムで取り上げられた当会会員が、さまざまな治療を受けて効果が頭打ちになっていたときにジェムザールが奏功し無病期間を送っていたことも、麻子さんにとっては無視できない情報でした。
●適応外治療を受けたいという願いはわがままなのでしょうか
 「なんとか、ジェムザールを投与して貰えないか」。麻子さんの思いは強かったのですが、神奈川県立がんセンターの担当医は「適応外治療を絶対にしない」と告げたといいます。「神奈川県立がんセンターは腎臓がん患者に対して混合診療していた」とマスメディアに取り上げられたことなどが、その判断の背景にあったのかもしれません。医師の療担規則については麻子さんも知っていましたが、担当の医師からは適応外治療をしないことに対して、何も納得のいく説明がなかったといいます。
 麻子さんと私は、スマイリーの会員から情報を集めました。国立がんセンター中央病院や千葉県がんセンター、静岡がんセンターに通院している患者からは「ジェムザールの治療を受けたことがある」「医師から受けられると聞いた」という回答が複数あり、埼玉県立がんセンター、神奈川県立がんセンターに通院する患者からは麻子さんと同じく「適応外治療を受けられない」という回答がありました。
 「癌を告知され病院を選ぶ時に、誰だって、自分の治療が手詰まりになる可能性まで考えて病院を選びはしない。海外に治療薬があって日本で承認されないことだって辛いのに、同じ日本で治療の選択肢が違うのですか!適応外治療を受けたいという私の願いはわがままなのでしょうか!?」麻子さんの悲痛な声が胸を打ちました。
●大臣との面談、その後
 2008年11月、麻子さんは支えてくれる仲間と一緒に舛添厚生労働大臣に面会しました。世界であたりまえに受けられる卵巣がん治療を受けたいという切実な思いを伝えてきたといいます。ただ、麻子さんの体調では霞が関に行くだけでも大変で、疲労の色は濃く、また副作用が強い抗がん剤治療を受けていたため、詳しく報告は聞けませんでした。
 しばらくして、「神奈川県立がんセンターではどれだけ担当医を信頼し、願ってもジェムザールでの治療は無理だから、病院を探して群馬県の総合病院に明日行くことになりました」と連絡がありました。神奈川から群馬までの道のり、麻子さんの体調を思うと、患者がどうしてここまでの苦労をしなければならないのかと切なくなりましたが、きっといつもの明るさで報告してくれるものと待っていました。
 2009年元旦、麻子さんは天に召されました。まだ30代でした。群馬で治療ができると私に電話をしたあと、腫瘍が腹部を圧迫することによる腸閉塞を起こし神奈川県立がんセンターに緊急入院したのです。あと1日あれば、ジェムザールが受けられたのにと呟く彼女に、何を言えばよかったのだろうと今でも思います。
 麻子さんを見送ってすぐ、2009年1月27日、厚生労働省に、卵巣がん治療薬の早期承認を求める署名15万4552筆を提出しました。たった2ヵ月半で、これだけの賛同が集まりました。段ボール8箱、重さ約150キロ…。その中に麻子さんが集めた署名も入っていました。4月22日、抗がん剤ドキシルは、申請から2年3カ月という異例の早さで承認されました。しかし、その裏で、治療を願いながら多くの命が旅立ったことには変わりがなく、承認を知らせるファックスを手に取り涙が止まりませんでした。
●いまこそ適応外治療について考えるとき
 麻子さんが期待した「ジェムザール」や「ドキシル」のように世界の多くの国で承認され、臨床試験でも有効というエビデンスがあり、NCCNや日本のガイドラインにも掲載されていて、日本でも複数のがんで承認されているお薬があるとします。それが、自分の病気には適応がなく、すでに特許が切れていて、治験などの予定も立っていなかったらどうしますか?
 もちろん、承認されることが一番だと思います。しかし、治験や審査には4年も5年もかかり、多くのがん患者にはその時間がありません。日本には公知申請(2課長通知)といって、公知の事実があれば、そのデータを使って承認申請ができるというしくみもあるようですが、多くの企業担当者は「PMDAが公知申請をさせてくれない。他の薬が人質に取られている」といいます。
 こういったことを考えると「承認される“べき”」というのは、きれいごとであり、「いのち」を第一優先で考えたときには、承認されるべきという考えすら、いのちを断ち切る高い壁になってしまいます。この日本の現状で、適応外での治療を希望するのは人として当然だと思いませんか?
 適応外使用を考えるとき、効果よりも危険が高い治療や不利益な治療が行われるのではないかという不安も確かにあります。医師にはプロ意識を持ち、「国ではなく医師」が医師を監視する「自浄作用」をもって正しい治療を提供していく取り組みが必要なのではないかと思います。また患者も藁をもすがる思いだからこそ、患者力をつけ正しい治療にアクセスする必要があると感じています。いのちと向き合う患者が担当医としっかり話し合い、薬のリスクとベネフィットを理解し、それでも治療を望んだ時に、どうして国が「混合診療」だと口を出してくるのでしょう。
 お別れの場に置かれた写真の中に、麻子さんが舛添厚生労働大臣に会った写真がありました。たった2か月前の出来事です。「患者の現状を伝えたい、有効性が確認されている治療を受けたい」という麻子さんの思いは大臣に伝わったでしょうか。
 当会ではいつも会員さんに伝えています。「この世には奏功率100%、副作用0%というお薬はない。だからこそ患者力をつけよう」。治療したからといって全員が治るわけではなく、がんという病気を考えたら奏功する人はほんの一握りです。だからといって承認されないから諦めろというのでしょうか。
 ドラッグ・ラグは改善しようと思えばいくらでも方法があると思うのです。もっと前向きに今の日本の現状を踏まえて検討する必要があると思うのです。卵巣がん患者の現状を思うと「これじゃあ不作為による殺人じゃないか」と憤りを感じずにはいられません。
 がんは部位ごとに適応追加が必要です。有効とされるすべての部位に治験が行われることは難しく、麻子さんと同じ思いをする患者は決して少なくないと思います。適応外という言葉尻だけをつかまえて「悪」と考えないで、今こそ、患者が置かれている現状なども踏まえ、前向きに適応外治療について考える時期が来たのではないかと思います。


11.新型インフルエンザ流行を機に、予防接種法改正を
日経メディカル2009年9月3日

高畑紀一(細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会事務局長)
連日、マスメディアが新型インフルエンザについて報じている。自分自身の周りでも、新型インフルエンザについて話題になることが増えている。もはや、国民的関心事といっても良いだろう。
 新型インフルエンザを通じて見えてくる我が国の予防接種や感染症対策にかかる問題点は少なくない。不十分なワクチンの開発・製造能力、ワクチン普及の障壁となる不十分な副作用補償制度、指針の定まらない定期接種と任意接種、感染症の全数把握というサーベイランス体制の不整備、等々、我が国が抱える要改善点が明確に浮き彫りにされている。
 新型インフルエンザが関心を集めている現在は、我が国の予防接種のあり方や感染症対策について、国民的に論議し合意形成を図る絶好の機会だ。
 8月26日、厚生労働省で「新型インフルエンザワクチンに関する厚生労働大臣と有識者との意見交換会」が開かれた。表題の通り、新型インフルエンザワクチンが主題の意見交換会だが、その内容は新型インフルエンザワクチンだけに留まることなく、他の疾病・ワクチンについても参考とすべき発言が少なくなかった。このような意見交換会がマスメディアに完全に公開されて行なわれたことは重要なポイントだ。
 メディアに公開され報じられることにより、臨床、研究、患者といった様々な立場からの生の意見を国民が知ることが出来る。決定事項だけを報じられてしまうと、国民は報道を通じて議論に参加することができない。予防接種や感染症対策といった、誰もが当事者となり、かつ国家的規模で取り組まれるべき課題については、議論が公開されることによってて国民の合意形成が図られることが望ましい。
 ちなみに、全内容が公開されたことによるありがたい副産物もあった。8月21日行なわれた民主党の「新型インフルエンザ対策本部」で、ヒヤリングに招聘された厚生労働省結核感染症課の福島靖正課長が「肺炎球菌ワクチンについては、国内で承認されているものは非常に副作用が強い。患者の重症化や死亡のリスクを比較、考慮した上で、もう少し検討したい」と発言したと報じられ、医療関係者の間に波紋を投げかけていた。
 民主党は医療政策の詳細版において「新型インフルエンザ対策も踏まえ、肺炎球菌ワクチン接種の対象年齢拡大」を掲げており、報道内容に誤りがないとすれば、福島課長の発言はこれに釘を刺す形となったわけだが、医療関係者からは「肺炎球菌ワクチンは非常に副作用が強い」とする根拠に疑問を呈する声が相次ぐとともに、このような認識で新型インフルエンザ対策は大丈夫なのか、との不安が広がっていた。
 これについて意見交換会で岩田健太郎神戸大教授が「肺炎球菌ワクチンに関して先般、結核感染症課長が副作用が強いというような発言をしたけれど、これは明白な誤り」と発言、舛添大臣に医療関係者の懸念と知見を伝える形となった。このことに溜飲を下げた関係者は多かったのではないだろうか。
 えてしてメディアの報道は、取り上げられた発言内容の真意や科学的妥当性とは無関係に一人歩きをすることがある。全内容が公開され、マスメディアが逐一報じることで、発言の真意が伝わらないという誤解も避けられるようになるし、何より今回の岩田教授の発言は、意見交換会の概要だけを報じる場合には紹介されない可能性が高いものである。岩田教授の発言に私のようなものが触れることができたのは、今回の意見交換会が全てを公開して行なわれたオープンなものであったことの賜物である。
 意見交換会においては他にも、注目すべき発言が見受けられた。舛添厚生労働大臣が、無過失補償制度と医師の免責も視野に入れた法改正に言及したのだ。
 無過失補償制度は現在はお産による脳性マヒに限定して制度がスタートしている。医師の免責については、死因究明のあり方の議論の中で繰り返し医療関係者等から発せられているが、厚生労働省は免責について積極的に検討しようという姿勢は見せていない。予防接種に限らず医療全体を見渡しても、無過失補償と免責は厚生労働行政の政策の埒外に置かれてきたといっても良いであろう。
 舛添大臣は、選挙後の秋の国会で超党派により両者を盛り込んだ予防接種法改正を目指すと発言した。総選挙後に舛添大臣がどのような立場となっているのか、想像することさえ難しい状況であるが、現職の大臣のこの発言は政権が変わったとしても次政府、次政権として是非とも重視してもらいたい。
 新型インフルエンザ流行を機に、迅速な予防接種法改正と感染症対策について国民的に論議し、速やかな法改正を望むものである。


12.プライマリ・ケア医はうつ病を正しく診断しているか?
CareNet2009年9月3日

一般医(GP)によるうつ病の診断では、有病率20%の場合、10%が正確に同定され65%が正しく除外診断されるが、10%が見逃され、15%が誤診されていることが、イギリスLeicester総合病院のAlex J Mitchell氏らが実施したメタ解析で明らかとなった。うつ病は世界規模で保健医療システムの主要な負担となっており、GPのケアの多くがうつ病に当てられているという。Lancet誌2009年8月22日号(オンライン版2009年7月28日号)掲載の報告。
GPによるうつ病の単独診断の正確度を検討した試験のメタ解析
研究グループは、プライマリ・ケアの現場におけるGPによるルーチンのうつ病診断の真陽性、真陰性、偽陽性、偽陰性について評価した。
GPが単独で行ったうつ病診断の正確度(accuracy)について検討した118の試験のメタ解析を行った。これらのうち、構造化面接あるいは半構造化面接の明確なアウトカム基準を擁する41試験が解析の対象となった。
再評価で診断精度が改善する可能性も
41試験からプールされた5万371例について解析した。うつ病患者の47.3%がGPによって正確に同定され、33.6%はうつ病が疑われることを示唆する注意書きが記されていた。
19試験が確定診断および除外診断の双方の正確度の評価を行っており、重み付き感度(sensitivity)は50.1%、特異度(specificity)は81.3%であった。有病率21.9%における陽性予測値は42.0%、陰性予測値は85.8%であった。
この知見は、有病率を20%とした場合、プライマリ・ケアでは任意の患者100例のうち10例のうつ病患者が見逃され(偽陰性)、10例が同定される(真陽性)が、これより多い15例がうつ病と誤診される(偽陽性)ことを示唆する。
1回かぎりの評価や疑い例の記述に依拠するよりも、診察期間を3~12ヵ月延長したほうが正確度は改善された。
著者は、「GPは非うつ病の多くをうつ病の診断から除外することが可能だが、プライマリ・ケアにおける有病率が中等度の場合、誤診例の数が見逃し例よりも多いことが示唆される。1回のみの評価ではうつ病の約半数しか同定されておらず、うつ病が疑われる場合は再評価を行うことで診断精度が改善される可能性がある」と結論している。
また、「GPや他の専門家がケースマネージャーと共同作業を行うモデルを用いて繰り返し評価を実施すれば、誤診を低減させ、ケアの質の向上につながると考えられる」という。
Mitchell AJ et al. Clinical diagnosis of depression in primary care: a meta-analysis. Lancet. 2009 Aug 22; 374(9690): 609-19. Epub 2009 Jul 28.


13.プライマリ・ケアにおけるうつ病治療に、オンライン認知行動療法は有効か?
CareNet2009年9月3日

プライマリ・ケアにおけるうつ病治療では、セラピストがインターネット経由のオンラインでリアルタイムに実施する認知行動療法(cognitive-behavioural therapy; CBT)が有効であることが、イギリス国立ヘルス・リサーチ研究所(NIHR)プライマリ・ケア研究部のDavid Kessler氏らによる無作為化試験で明らかとなった。CBTは有効性に関する強力なエビデンスがあるにもかかわらずさほど普及していない。コンピュータ化されたプログラムによってCBTへの近接性(アクセスのしやすさ、accessibility)の改善が進められてきたが、これらの介入が個々の患者の必要性に対応するものか否かは明確でないという。Lancet誌2009年8月22日号掲載の報告。
通常ケア+オンラインCBT群と通常ケア単独群を比較
研究グループは、プライマリ・ケアにおいてセラピストがうつ病患者に対してオンラインで行うCBTの有効性について検討する無作為化対照比較試験を実施した。
2005年10月~2008年2月までにブリストル市、ロンドン市、ウォリックシャー州の55の一般医(GP)施設から、ベックうつ評価尺度(Beck depression inventory; BDI)スコア≧14でうつ病の確定診断がなされた297例(18~75歳)が登録された。
これらの患者が、GPによる通常のケアにセラピストによるオンラインCBTを併用する群(149例)あるいはオンラインCBTの待機中(8ヵ月間)にGPによる通常ケアのみを受ける群(148例)に無作為に割り付けられた。
患者、登録に関係した研究者、セラピストには割り付けに関する情報は知らされなかった。主要評価項目は、4ヵ月後におけるうつ病の回復(BDIスコア<10)とした。
回復率が有意に改善、効果は8ヵ月後も持続
4ヵ月のフォローアップを完遂したのは、オンラインCBT併用群が113例、通常ケア単独群は97例であった。
4ヵ月後におけるうつ病からの回復率は、通常ケア単独群の24%(23/97例)に対し、オンラインCBT併用群は38%(43/113例)と有意に優れていた(オッズ比:2.39、p=0.011)。
8ヵ月後の回復率も、通常ケア単独群の26%(26/101例)に対し、オンラインCBT併用群は42%(46/109例)と有意差が認められた(オッズ比:2.07、p=0.023)。
著者は、「プライマリ・ケアにおいてセラピストがオンラインでリアルタイムに実施するCBTは、うつ病治療として有効と考えられ、その効果は8ヵ月間にわたって持続した。インターネットを利用した方法は、CBTへのアクセスのしやすさを拡大する可能性がある」と結論している。
また、「リアルタイムのオンラインCBTが実行可能でこれに魅力を感じる患者の増加が見込まれており、心理学的治療へのアクセスがしにくい地域や英語を母国語としない患者に対して有用となる可能性がある。対面方式のCBTの柔軟性や応答性も備えているため重症例にも適切な治療法と考えられ、さらなる効果の増強も期待できる」と指摘している。
Kessler D et al. Therapist-delivered internet psychotherapy for depression in primary care: a randomised controlled trial. Lancet. 2009 Aug 22; 374(9690): 628-34.


14.侮辱は横臥して聞く-その理由
WebMD2009年9月3日

侮辱に対する脳の反応の仕方に人間の体位が影響する可能性があることが研究で明らかになった。
テキサスA&M大学の研究者らが、男女それぞれ23例ずつの大学生の脳の活動について研究した。学生たちに多数の電子センサーがついたストレッチ素材のキャップをかぶせた状態で、批判的な意見を聞かせた。
研究者らは、侮辱に対する脳の反応に体位が影響したことを見出した。
背筋を伸ばして座った状態で侮辱的な言葉を聞いた学生は、怒りを感じることと関連づけられている脳の左外側前頭野の電気的活動が、仰向けに横臥した状態で同様に侮辱された学生、または背筋を伸ばして座った状態で当たり障りのない意見を聞いた学生よりも活発であったと、Eddie Harmon-Jones, PhDとCarly K. Peterson, MSは『Psychological Science』で述べている。研究者らは、横臥した結果として何らかの未知の生理学的過程が進行する可能性があると述べている。
被験者らは、短いエッセイを書くという課題に無作為に割り付けられ、別の志願者がそれを評価するという説明を受けた。各学生は背筋を伸ばして座った状態のままステレオヘッドフォンをつけた。
研究者は、学生に背筋を伸ばして座った状態を続けさせるか、または横臥するよう指示するかを無作為に決定した。次に学生たちに、他の人々が学生の知能スコアを評価しそのエッセイまたは人柄に関する意見を述べるのを聞かせた。
横臥した学生、および背筋を伸ばして座っていた学生の半数には、エッセイと人柄に関する否定的な評価を聞かせた。座っていた学生には当たり障りのない評価も聞かせた。
フィードバックの中止直後にEEGで脳の活動を記録した。次に学生らは自分の感情についての報告書を作成した。
研究者が予測した通り、背筋を伸ばして座っていた学生の脳では、より多くの怒りのスパークが検出された。侮辱する意見を聞いた後には、報告された怒りの感情が増大し幸福感が減少したことも明らかになった。しかし横臥していた学生と背筋を伸ばして座っていた学生の間に感情の差は認められなかった。
横臥した姿勢が、「侮辱に反応して何かの行動を起こそうという衝動を小さくする可能性がある」と研究者らは示唆している。
wont-take-that-lying-down-heres-why


15.女性の仕事の選択にテストステロンが関与?
WebMD2009年9月3日

女性においてテストステロン濃度は仕事の選択に影響を及ぼす可能性があることが研究で示されている。
この研究では、シカゴ大学のMBA(経営学修士)コースの学生約500名を対象にテストステロン濃度を調べるとともに、コンピューターゲームを用いて学生らの金融リスクに対する回避度を測定した。同研究は『Proceedings of the National Academy of Sciences』に掲載されている。
学生らは、このゲームで、定額の現金を受け取るか、あるいは運に任せて投資をするかのいずれかを選択することができた。学生らは何度もこの選択を繰り返した。リスク回避度が最も低い学生たちは運試しを選択する回数が最も多かった。
女性被験者のみを見ると、テストステロン高濃度と低いリスク回避度との間に有意な相関関係が認められた。
男性被験者では、この相関関係は有意ではなかった。
2年後、これらの学生が実社会に入ったときに、「テストステロン濃度が高く、リスク回避度が低かった学生は金融業界でリスクの高い仕事を選択する傾向があった」と同研究の著者らは記している。
「これらの学生の多くはやがて金融業界の中心を担っていく人たちであることを考えれば、この研究から、テストステロンが実際に金融市場でリスクを負う行為にいかに影響を及ぼし得るかが強く示唆される」と、同研究の著者の1人であり、シカゴ大学ブースビジネススクール(Booth School of Business)のRobert McCormick ProfessorであるLuigi Zingales氏はニュースリリースで述べている。「さらに、この研究から、仕事の選択における性差についても手がかりが得られる可能性がある。今後の研究により、テストステロンが脳に作用する機序をさらに探る必要がある」
gender-and-career-is-testosterone-a-factor


16.テストステロン、心不全高齢者で展望開く
Medscape Medical News2009年9月3日

慢性心不全の高齢男性において、至適薬物療法に長時間作用型のテストステロンを加えると様々な症状が改善することをイタリアの研究者らが明らかにした [1]。Dr Giuseppe Caminiti (Istituto di Ricovero e Cura a Carattere Scientifico San Raffaele Pisana、イタリア、ローマ) らは2009年9月1日発行の『Journal of the American College of Cardiology』にこの結果を報告する。
テストステロン筋注患者の運動能力、筋力、糖代謝、圧反射感受性 (BRS) は、プラセボ投与患者より改善していた。
「至適薬物療法を受けているHF患者でも、テストステロンを追加することによってまだ改善の余地があることが分かった。テストステロンは安全で忍容性が良く、HFの主症状の一部を改善した」と共著者のDr Ferdinando Iellamo (ローマ・トル・ヴェルガータ大学、イタリア) はheartwireに話した。
付随の論説で [2] ノルウェーの医師Dr Pål AukrustとDr Thor Ueland (オスロ大学付属病院)、 Dr Lars GullestadとDr Arne Yndestad (オスロ大学) らは、HFにおけるテストステロンの先行試験を考察し、Caminiti博士らの研究は「過去の知見を様々な方向に発展させた」と言う。これら臨床試験の結果はすべて大規模な試験への移行を促していると彼らは言う。
テストステロンは直接筋肉に作用する?
Caminiti博士らは、CHFの高齢男性患者70例をランダムに長時間作用型testosterone undecanoate (商品名Nebido、Bayer-Schering製造) 1000 mg筋注とプラセボに割り付け、CHFの至適治療に追加するかたちでベースライン、6週目および12週目に投与した。テストステロンの投与量は性腺機能低下症とほぼ同じとIellamo氏は言う。すべての患者で心エコー検査、心肺運動負荷試験、6分間歩行試験、大腿四頭筋の最大随意収縮 (MVC)、等速性筋力 (最大トルク)、BRSの測定 (sequence法) が行われた。
ベースラインの最大酸素摂取量 (VO2)、大腿四頭筋筋力 (MVC) と血清テストステロンに直接的関係が認められ、ホルモン投与患者のテストステロン濃度の上昇に伴い、どちらもプラセボより有意に改善した。テストステロン投与患者ではインスリン感受性、最大トルク、BRSもプラセボより有意に改善した。しかし両患者群の左室 (LV) 機能に有意な変化は認められなかった。
LV機能の結果についてIellamo博士は、テストステロンはLV機能を変化させるのではなく筋肉に直接作用することでその作用を発揮するようだ、と述べた。「直接的根拠はないが、テストステロンは筋肉レベルで代謝を改善することが動物試験で明らかにされている」。
テストステロンがインスリン代謝、インスリン抵抗性、糖代謝を改善した事実も重要であると博士は指摘する。これらの要因はすべてHFの悪化につながるからである。
また、使用したテストステロン筋注製剤は忍容性が良く、副作用により試験を中止した患者はいなかったと博士は指摘する。これはテストステロンパッチで数名の患者が皮膚障害を起こし、脱落した過去の試験とは対照的である。
HFの女性にもテストステロンは効果的
この論説でノルウェーの医師らは、インスリン感受性や筋肉に対するテストステロンの作用などの新しい知見に注目している。このホルモンは心筋に直接作用してLV機能を改善するというより、大きな体重負荷筋肉の静的、動的筋力を改善するようだと医師らは言う。
 また、圧反射活動はHFの予後悪化と関連があるため、テストステロンによりこのパラメータ値が改善したということは「この重要な軸の調節障害にテストステロン不足が関与している可能性」を示唆する、と指摘する。
テストステロン投与患者ではNYHA機能分類も改善したとIellamo博士は話した。「テストステロンを投与された患者は主観的に「気分が良い」と感じたようだが、重要なのはHFで予後的重要性を持つ客観的指標での改善が認められたことである」と述べる。
この試験は男性で実施されたが、事前に心不全の高齢女性に同量のテストステロンを投与する試験を実施しており、同様の結果が出ているとIellamo博士は話す。
テストステロン値が低い人にも使用可能
「今のところガイドラインではテストステロンの適応にはなっていない。HF患者にテストステロンを広く使用するには大規模な多施設共同試験が必要である」とIellamo博士は話した。しかし、テストステロン値が低い高齢患者にこの治療法を行うこともあり得るという。Caminiti博士らの試験結果はこのような患者の「テストステロン療法への反応が特に良い」ことを裏付けている、とノルウェーの医師らは言う。
テストステロンの「心臓外作用」は「罹患率の低下だけでなく、心筋機能の改善や死亡率の低下にもつながる可能性がある。次の試験ではこの側面について検討すべきである」と博士らは結んだ。


17.Statins Before Vascular Surgery Cut Deaths, Complications
Problems halved in patients getting blood-vessel repairs done, study finds
HealthDay News2009年9月2日

A dose of a cholesterol-lowering statin before vascular surgery reduces the risk of complications and death, new Dutch research shows.
The study of nearly 500 patients who had surgery for a variety of blood-vessel problems found the incidence of heart artery blockage and deaths was halved in those who received an 80-milligram dose of fluvastatin before their operation, compared to those given a placebo.
"The manuscript showed that fluvastatin extended-release is safe in the perioperative period, associated with a reduced inflammatory status and improved outcome, compared to placebo," said Dr. Don Poldermans, a professor of internal medicine at Erasmus Medical Center in Rotterdam, the Netherlands, and a principal author of a report in the Sept. 3 issue of the New England Journal of Medicine.
Heart artery blockage occurred in 10.8 percent of the people who received fluvastatin and 19 percent of those who were given a placebo, the report said. Deaths from heart attacks or other cardiovascular problems occurred in 4.8 percent of those who received fluvastatin and 10.1 percent of those given placebo.
Fluvastatin is available in generic form in the United States, sold as Lescol, Canef and other brand names. Other statins include Crestor, Lipitor and Zocor.
The new study confirms the growing idea that statin therapy is a valuable tool in blood-vessel surgery, American experts said.
"This study confirms a lot of previous work," said Dr. Bruce A. Perler, chief of vascular surgery at Johns Hopkins Medical Institutions, in Baltimore. "Much of that work comes from small, retrospective studies. This is a well-done, placebo-controlled trial that confirms what we have suspected for a long time."
Perler led one previous study that compared the outcome of surgery on the carotid artery, the main artery to the brain, in people who had or had not been taking a statin before the operation. "We showed in our study a significantly lower incidence of 30-day stroke and 30-day deaths [with statin treatment]," Perler said.
That study did not distinguish between the various statins being used, but "there is no reason to believe that this isn't a class effect," said Dr. Louis E. Teichholz, medical director of the division of cardiology at Hackensack University Medical Center, in New Jersey. "No matter which statin you give, there is no major difference over another statin."
The major reason for the benefit in surgery probably is not the cholesterol-lowering effects of statins, Perler and Teichholz noted, because the benefit was seen in people who did not have high cholesterol.
The drugs also reduce inflammation, and the Dutch study found marked reductions in markers of inflammation in those given a statin, Teichholz said.
"Statins also have major anti-thrombotic [clot-preventing] effects and are antioxidants," Perler said.
There are no current guidelines recommending use of statins before vascular surgery, but the concept seems to be taking hold in clinical practice, Teichholz noted. "It appears to be what we should be doing, barring contraindications," he said. "There are no official guidelines but, based on this and other studies, it would be prudent to consider statins in patients with vascular disease."
Statins can cause acute muscle pain in a minority of people, and they can be dangerous in people with poor liver function, but are otherwise safe, Teichholz said.
One practical reason why physicians might not prescribe a statin before vascular surgery is that so many people already are taking them, Perler said. "In my practice, it is very unusual to see patients who are not on statins," he added.


18.Caffeine Without Healthy Diet Linked to Heart Risk
Atrial fibrillation patients drink lots of coffee, don't eat right, study suggests
HealthDay News2009年9月2日

People who drink lots of coffee but who don't follow a Mediterranean-style diet are more likely to have atrial fibrillation, a new study shows.
Italian researchers asked patients who'd been recently diagnosed with the common heart arrhythmia to supply information about their dietary habits, including caffeine consumption. Their diets were compared with those of people without atrial fibrillation.
The findings were presented this week at the European Society of Cardiology annual meeting in Barcelona.
Daily coffee intake was divided into four categories: low (one cup/day), medium (two to three cups/day), heavy (more than three cups/day) and none, the study authors noted in a society news release.
Patients were also ranked according to their adherence to the Mediterranean diet, which is rich in whole grains, olive oil, fruits and vegetables and includes little red meat.
People with atrial fibrillation were less likely to follow the Mediterranean diet than those without the heart condition, according to the study. Those with atrial fibrillation also consumed more red meat and full-fat dairy products.
It was also noted that patients with atrial fibrillation consumed more of their total dietary antioxidants from coffee compared to other food sources, such as fruits, vegetables and wine, the researchers pointed out in the news release.
The heaviest coffee drinkers were also more likely to have atrial fibrillation than those who drank less, the study found. In atrial fibrillation, the heart's two upper chambers quiver instead of beating regularly, leading to heart palpitations, shortness of breath, fatigue and an increase in the risk of stroke.
"Our study suggests that high intake of coffee increases the risk of arrhythmias in people without known cardiac disease," study author Dr. Anna Vittoria Mattioli, of the University of Modena in Italy, said in the news release.


19.政府インターネットテレビ(H1N1関係動画開始)のご案内

日本政府は、9月3日より新型インフルエンザの予防方法や対策に関しての番組(動画)を開始しました。
興味ある方は下記URLよりご覧下さい。
http://nettv.gov-online.go.jp/


20.新型インフルエンザに関する報道発表資料
厚生労働省2009年9月3日

新型インフルエンザに感染した疑いのある患者の死亡について(高知県)
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/houdou/2009/09/dl/infuh0902-06.pdf
新型インフルエンザ患者の死亡について(京都府)
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/houdou/2009/09/dl/infuh0902-04.pdf
新型インフルエンザ患者数(国内発生)について
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/houdou/2009/09/dl/infuh0902-01.pdf


21.パンデミック(H1N1)2009の臨床像
国立感染症研究所感染症情報センター2009年9月2日

感染性
感染伝播は基本的に飛沫感染および接触感染によると考えられている。ただし、気管挿管など限られた場面においてエアロゾル発生による飛沫核感染(空気感染)をきたす可能性は否定できない。感染性のある時期は発症1日前から発症後7日までと考えられている。
 ただし、解熱後は感染性が低下すると考えられている。米国では白血病の10代男性が発病後1か月以上にわたりRT-PCRでウイルス遺伝子が検出された例が報告されており1)、小児や免疫不全者ではより感染可能期間が長い可能性が示唆されている。結膜からの感染や便を介しての感染伝播に関しては、主たる感染経路ではないものの、否定はされていない。
潜伏期間
潜伏期間は1~7日と考えられているが、2009年5月の大阪事例の調査2)ではより短い2~4日程度(n=5)であり、米国CDCも恐らくは1~4日としている。
症状
症状は基本的には季節性インフルエンザと同様の症状をきたす。多くの症例で38℃以上の発熱を認め1~5日持続するが、無症状の症例も報告されている3)。発熱の前後数日の間に咳や咽頭痛が認められていた。国内事例である神戸、大阪、福岡と米国からの入院例、メキシコからの肺炎・呼吸不全例の症状の比較を表1に示す。
表1 国内事例と外国の報告での症状の割合(%)
神戸5) 大阪2) 福岡
(15歳以下)6) 米国7) メキシコ (肺炎・呼吸不全患者8)
年齢中央値
(範囲) 17歳
(5歳-60歳) 16歳
(12歳-53歳) 11歳
(2歳-15歳) 27.5歳
(27日-89歳) 38歳
(9か月-61歳)
発熱38℃ 87.8 (n=49) 89.5 (n=105) 94.7 (n=57) 97 (n=30) 100 (n=18)
咳 79.2 (n=48) 82.7 (n=104) 87.7 (n=57) 77 (n=30) 100 (n=18)
咽頭痛 71.4 (n=49) 65.4 (n=104) 50.0 (n=56) 33 (n=30)
鼻汁鼻閉 53.2 (n=47) 59.6 (n=104) 30 (n=30) 28 (n=18)
頭痛 52.1 (n=48) 52.1 (n=96) 17 (n=30) 22 (n=18)
嘔気 24.5 (n=49)
嘔吐 12.2 (n=49) 5.3 (n=94) 46 (n=30)
下痢 14.2 (n=49) 19.8 (n=96) 16.1 (n=56) 10 (n=30) 22 (n=18)
腹痛 6.6 (n=91)
筋肉痛 55.1 (n=49) 19.8 (n=96) 33 (n=30) 44 (n=18)
重症例や死亡例のリスク因子、特徴
国内で8月25日までに入院を要した症例427例の情報9)によると、年齢は5~19歳が249名(58.3%)で最も多く、性別は男性241名(56.4%)、女性186名(43.6%)であった。基礎疾患を持つ者(妊婦3名含む)は180名(42.2%)おり、そのうち慢性呼吸器疾患(喘息含む)が95名(52.8%)であった。急性脳症と診断されたものが8名(1.9%)、人工呼吸器の使用は20名(4.7%)であった。
合併症発症のリスク因子として米国CDCは季節性インフルエンザに準じて表2のように、また危険な兆候を表3のように提案している。実際の重症例に関しては、現在までに存在する2つの報告の要旨を表4に示す。ミシガン州からの報告での"肥満"を除くと、どちらの報告でも基礎疾患のない重症例が少なからず見受けられた。メキシコからの報告では入院した肺炎例の中でみると死亡例では腎不全及び輸液に反応不良のショックを呈することが多かったとされている。
大多数の患者が軽症であるにもかかわらず、一部の患者で重症化する理由はよくわかっていない。軽症者と重症者から分離されたウイルスはこれまでのところ同一である。
表2 米国CDCが定める合併症併発に関したハイリスクグループ10)
5歳未満の乳幼児(特に2歳未満の場合にはリスクが高い)
65歳以上の高齢者
以下の基礎疾患をもつもの
 ・慢性呼吸器疾患(喘息を含む) ・心血管系疾患(高血圧は含まない)
 ・腎疾患 ・肝疾患
 ・血液疾患(鎌状赤血球症を含む) ・神経・神経筋・代謝性疾患(糖尿病)
 ・妊婦
免疫抑制状態にあるもの(HIV感染症を含む)
19歳未満で長期アスピリン治療をうけているもの
介護施設、慢性期療養施設に入所しているもの

表3 米国CDCが提唱する危険な兆候11)
成人 小児
インフルエンザ様症状改善後の再発熱や咳の悪化
激しい、持続性の嘔吐
呼吸困難や息切れ 頻呼吸や呼吸困難
胸部や腹部の痛みや圧迫感 蒼白、チアノーゼ
突然のめまい 水分摂取不良
混迷 意識あるいは意思疎通不良
機嫌が悪く、抱っこされることを嫌がる

表4 重症入院患者について
米国ミシガン州からの報告12) メキシコからの報告8)
症例数 10例 18例
年齢 中央値46歳 (範囲21歳-53歳) 中央値38歳 (9か月-61歳)
性別 男9 女1 男9 女9
基礎疾患 3例
喘息2、肉芽腫性慢性肺疾患1
(他に肥満9例/9例:BMI≧30、
内7例 BMI≧40) 8例
高血圧3、
糖尿病3(高血圧合併1)、
喘息2、
閉塞性無呼吸症候群1
発症から受診・入院 中央値6日 (範囲1-7日) 中央値6日 (範囲4-25日)
発症からICU入室 中央値8日 (範囲5-16日)
発症から治療 中央値8日 (範囲5-12日) 11例 入院時、
3例 入院後2~10日
4例 治療なし
発症から死亡まで 17日-30日 中央値14日(範囲10~23日)
呼吸状態・管理
  人工呼吸器 10例/10例 人工呼吸器 12例/18例
(10例は入院後24時間以内)
2例 ECMO、10例気管切開
合併症
 腎不全 6例で持続透析 6例
 ショック 9例で昇圧剤使用 9例でノルエピネフリン使用
 多臓器不全 7例 7例
 DIC 0例 0例
 肺塞栓 5例
 その他
  2例凝固系亢進
(1例で透析回路内凝固、
1例で両側大腿静脈深部静脈血栓) 4例で人工呼吸器関連肺炎
細菌感染の証拠なし
(全例入院時から抗菌薬使用) 細菌感染の証拠なし
(3例で入院後1~2日の間に抗菌薬開始)
死亡 3例 7例
病理解剖所見 2例の剖検例
肺間質の炎症とび漫性肺胞障害を伴う両側重症出血性ウイルス性肺炎、
両側肺塞栓 1例の剖検例
び漫性肺胞障害、厚いヒアリン膜、
著明な線維芽細胞の増殖、
細菌性肺炎の所見なし
文献)
1) CDC. Oseltamivir-Resistant Novel Influenza A (H1N1) Virus Infection in Two Immunosuppressed Patients, Seattle, Washington, 2009 MMWR 58(32);893-896
2) 国立感染症研究所感染症情報センター、大阪における新型インフルエンザの臨床像 (第二報) 6月12日
3) Eurosurveillance. Description of the early stage of pandemic (H1N1) 2009 in Germany. Volume 14, Issue 31, 06 August 2009
4)CDC. CDC Recommendations for the Amount of Time Persons with Influenza-Like Illness Should be Away from Others August 5, 2009
5) 国立感染症研究所感染症情報センター、神戸市における新型インフルエンザ臨床像の暫定的なまとめ(第二報) 6月5日l
6) 国立感染症研究所感染症情報センター、福岡市における新型インフルエンザ感染症の集積についての実地疫学調査~中間報告 7月2日
7) CDC. Hospitalized Patients with Novel Influenza A (H1N1) Virus Infection --- California, April May, 2009 MMWR 58(19);536-541
8) Rogelio PP et al. Pneumonia and Respiratory Failure from Swine-Origin Influenza A (H1N1) in Mexico N Engl J Med 2009;361:7:680-689
9) 厚生労働省 日本におけるインフルエンザ A (H1N1) の新型インフルエンザによる入院患者数の概況 
10) CDC. Interim Guidance on Antiviral Recommendations for Patients with Novel Influenza A (H1N1) Virus Infection and Their Close Contacts. May 6, 2009
11) CDC. What to Do If You Get Flu-Like Symptoms August 5, 2009
12) CDC. Intensive-Care Patients With Severe Novel Influenza A (H1N1) Virus Infection Michigan, June 2009 MMWR 58(27);749-752


22.プレスリリース

1) 新日本科学、偏頭痛薬「ゾルミトリプタン」の経鼻剤開発に着手

・偏頭痛薬ゾルミトリプタンの経鼻投与剤開発に関するお知らせ
 当社は、患者さんが薬剤を鼻から容易に、そして確実に投与でき、且つ、薬物が効率よく吸収されて薬効が速やかに発現する独自の製剤技術(μco(TM) system;ミューコ システム)と医療用具(デバイス)を完成させました。既に、このμco(TM) systemを応用して、制吐作用を有するグラニセトロン経鼻剤(開発コード:TRG)の臨床第II相試験において、優れた薬効と高い安全性が確認されたことを報告しております。この度、当社では、TRG開発に引き続きまして、このミューコ システムとデバイスを利用し、既に臨床で広く患者さんに使用され、薬効や安全性が実証されている偏頭痛治療薬である“ゾルミトリプタン”の経鼻剤開発に着手しましたので、お知らせいたします。
 偏頭痛は、片側のこめかみに脈打つように「ずきずき」、「がんがん」と強い痛みが起こり、ひどいときには日常生活が妨げられるほどの強さで、吐き気を伴うとてもつらい頭痛です。米国では全人口の10%に相当する約2,800万人が、日本では約840万人がそれぞれ偏頭痛に苦しんでいます。患者さんは、働き盛りの20歳~40歳代の若い年齢層に多いことが特徴で、勤務中にいつ強い頭痛が起きるかと不安を常に持っています。また、米国における調査では、偏頭痛患者の男性では年間3.8日間、女性では5.6日間、偏頭痛発作のために寝込んでしまう結果、欠勤や生産率低下に基づく労働力の損失が毎年1兆円以上にも上ると報告されております(Hu XH, et al.Burden of migraine in the United States. Arch lntern Med 159:813-818、1999)。このような状況下において、多くの種類の偏頭痛薬が発売されており、その世界市場は約3,500億円にも上ります。しかしながら、ほとんどの患者さんは、携帯性に優れて投与が簡便で、より速やかな薬効が安定的に得られる製剤を強く望んでおります。
 当社のμco(TM) systemとデバイスを用いますと、鼻腔内に投与された薬剤が確実に効率よく吸収され、偏頭痛の症状を速やかに緩和させることが期待できるものであります。また、偏頭痛発作に伴う吐き気や嘔吐がある場合でも、経鼻からの投与は確実に投与できるという優位性があります。
 当社は、偏頭痛薬である第一世代のスマトリプタンを選択し、その経鼻製剤の研究開発を進めておりましたが、更なる検討を重ねてまいりました結果、その作用部位である脳への移行性や効果の持続性、吸収特性等の面で、ゾルミトリプタンが最適な薬物であることの結論に至りました。当社のゾルミトリプタン経鼻剤は粉末状の新しいタイプの製剤であり、従来の点鼻液剤と比較して、吸収速度が極めて早く、非常に高い吸収率が得られることが動物実験で確認されております。さらに、当社のゾルミトリプタン経鼻剤の投与では、新たに独自開発した携帯性に優れたディスポーザブルタイプの医療用デバイスを組み合わせて開発を進めてまいります。


2) 日本メドトロニック、医療従事者・心肺蘇生専門家向け自動体外式除細動器を販売

・日本メドトロニック 医療従事者・心肺蘇生専門家向け自動体外式除細動器
「ライフパック1000」の販売を開始
 日本メドトロニック株式会社(代表取締役社長:島田隆、本社:東京都港区)(以下日本メドトロニック)は、去る8月24日、医師、救急救命士、消防隊など、医療従事者や心肺蘇生の専門家に向けた自動体外式除細動器(AED)「ライフパック1000」の販売を開始いたしました。「ライフパック1000」は、救急車内はもちろん、航空機や船舶など、様々な苛酷な環境下での使用に耐えうる堅牢性が特徴です。昨年7月には市販されている17種類のAEDの中から、NASA(アメリカ国立航空宇宙局)の厳しい臨床使用評価テストを通過した唯一のAEDとして、国際宇宙ステーションに設置されました。
 「ライフパック1000」は、心電図波形や心肺蘇生法を文字やアニメーションで映し出す大画面ディスプレイを装備し、初めて利用する方にも簡単に操作できる工夫が施されています。また、現場到着後にすぐに心肺蘇生を開始する音声ガイダンスの設定など、地域毎の心肺蘇生プロトコルに沿った運用を可能にするため、ユーザーニーズに即したカスタマイズができる設定の柔軟性を備えています。さらに、近年特にその重要性が注目されている心臓マッサージの有効性をより高めるため、心臓マッサージ時間の極大化を支援する独自の技術「cprMAXテクノロジー」を搭載しています。
 当社は、「ライフパック1000」の発売により、本年5月に販売開始した機械式心肺人工蘇生器「LUCAS(TM) 心臓マッサージシステム」と併せ、救急心肺蘇生現場における二つの重要な要素、つまり、早期除細動と絶え間ない確実な心臓マッサージという臨床ニーズに同時にお応えできるようになると考えています。
 日本メドトロニックは、今後も心肺蘇生が必要とされる全ての領域で様々な人々によって使用される革新的な製品を提供し、突然の心肺停止によって亡くなる人がいない世界を目指しています。
【「ライフパック1000」について】
・12cmx8.9cmの大画面ディスプレイであらゆる角度から心肺蘇生ガイダンスをアニメーション(イラスト)を交えて確認できます。
・救急車、航空機、船舶など、様々な環境や過酷な使用条件にも耐えうる堅牢性を誇ります。2008年7月にはNASA(アメリカ航空宇宙局)の選定により、国際宇宙ステーションにも搭載されました。
・地域毎の心肺蘇生プロトコルへの設定変更が可能で、地域ニーズに即した救命処置が可能です。
・心肺蘇生時間を極大化する「cprMAXテクノロジー」を搭載。従来のプロトコールに基づくAED操作に比べ、CPR(心肺蘇生)に割り当てる時間を最大60%増加(当社比)させる事が可能。
【「LUCAS(TM) 心臓マッサージシステム」について】
・スウェーデンJolife社の製品で、圧縮空気で動作するコンパクトで持ち運びが容易な自動心臓マッサージシステムです。
・心肺蘇生の国際的ガイドラインに準拠し、4-5cmの圧迫深度、100回/分の絶え間ない胸骨圧迫心臓マッサージを行います。
・装置の大部分がX線透過性をもつため、これまで応用が困難であった経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施設など、病院内での利用の幅も広がります。
・装置の動作中でも除細動用電極の貼り付けも容易で、圧迫中の除細動も可能です。


3) ノバルティス、「ディオバン」で心血管イベントなどの危険率が45%減少など臨床試験結果を発表

・日本人のハイリスク高血圧患者を対象とした大規模臨床試験
・KYOTO HEART Studyの結果が欧州心臓病学会で発表
・ディオバンにより、心血管イベント、脳卒中発症の危険率が45%減少
 日本人のハイリスク高血圧患者を対象とした高血圧治療薬ディオバン(一般名:バルサルタン)に関する大規模臨床試験KYOTO HEART Studyの結果が、9月1日(現地時間)、スペイン・バルセロナで開催(8月29日~9月2日)されている欧州心臓病学会(European Society of Cardiology:ESC)で発表されました(※1)。また、本試験に関する論文が同日、European Heart Journalのオンライン版に掲載されました(※2)。
 今回の試験結果では、降圧治療にAT1受容体ブロッカー(ARB)以外の降圧薬を用いた治療群(non-ARB群)と比較して、ディオバンを追加投与して治療する群(ディオバン群)で、主要評価項目である心血管イベントが45%(ディオバン群 vs non-ARB群:83 vs 155, p=0.00001)と有意に減少したことが明らかになりました。主な抑制効果は、脳卒中が45%(25 vs 46, p<0.05)、狭心症が49%(22 vs 44, p<0.05)と、それぞれディオバン群で有意に減少しました(※1)。
 また、この試験では、ディオバン群ならびにnon-ARB群ともに試験開始時の血圧が157/88mmHg、終了時の血圧も両群ともに133/76mmHgと、血圧は良好にコントロールされました(※1)。
 KYOTO HEART Studyは、京都府立医科大学とその関連病院の31施設が参加して実施された試験で、糖尿病、肥満、喫煙、脂質代謝異常、虚血性心疾患、脳血管障害などの心血管疾患に関連するリスクファクターを1つ以上有するコントロール不良の高血圧患者を対象としたもので、3042例が登録されました。この試験では、これらの患者をnon-ARB群とディオバン群に無作為に割付け、両群とも140/90mmHg(糖尿病や腎疾患合併例では130/80mmHg)未満を降圧目標値として治療した場合の脳卒中を含む心血管イベントの発症率が比較検討されました。主要評価項目(プライマリーエンドポイント)は、脳卒中、心筋梗塞、心不全、急性心筋梗塞ならびに狭心症の新規発症・悪化を中心とした心血管イベントです(※3)。
 本試験の統括責任者である京都府立医科大学大学院医学研究科 循環器内科教授の松原 弘明先生は次のように述べています。「KYOTO HEART Studyにより、バルサルタンが血圧降下作用と独立して、心臓、脳そして血管合併症イベントの発症を減少することが確認されました。そして更に、レニン・アンジオテンシン系を抑制することで生じる多くの治療に関するベネフィットが、日本の患者さんにも適応されることが、今回の試験によって確実なものとなりました。また、このような成績は他のARBを用いた試験ではまだ確認されておらず、ARBのプロファイルの違いによって結果が異なる可能性が高いことが示唆されました」
 本試験の結果に対して、ノバルティス ファーマ株式会社 社長の三谷宏幸は次のように述べています。「JIKEI HEART Studyの結果に続いて、大規模な試験で日本人において心疾患、脳血管疾患の発症抑制が認められたことを嬉しく思います。日本人におけるディオバンのエビデンスが更に蓄積されたことは、日本の高血圧患者さん、ならびに臨床医にとって、非常に大きな意義があるものと思われます」
<KYOTO HEART Studyについて>
 KYOTO HEART Studyは、運営委員会によって企画・設計・実施された医師主導の臨床試験です。運営委員会は、京都府立医科大学および臨床試験に参加した病院の代表メンバーから構成されており、京都府立医科大学とその関連病院の31施設が試験に参加しました。本試験の観察期間は3.3年でした(※1)。
<ディオバンについて>
 ディオバンは、血圧の上昇に関与しているアンジオテンシンIIのタイプ1受容体(AT1)を選択的にブロックする薬剤(ARB: Angiotensin II Type1 Receptor Brocker)で、高血圧治療の第一選択薬として世界約100カ国で承認されています。日本では、2000年に発売されて以来、優れた降圧作用と心血管保護作用を示す大規模臨床試験による豊富なエビデンスにより、日本の高血圧治療に貢献しています。
 本リリースには、現時点における将来の予想と期待が含まれています。したがって、その内容に関して、また、将来の結果については、不確実な要素や予見できないリスクなどにより、現在の予想と異なる場合があることをご了解下さい。なお、詳細につきましては、ノバルティスが米国証券取引委員会に届けておりますForm20-Fをご参照下さい。


4) 武田薬品、デュシェンヌ型筋ジストロフィー治療薬(イデベノン)の臨床第3相試験を開始

・稀少疾患デュシェンヌ型筋ジストロフィー治療薬(イデベノン)の臨床第3相試験開始について
 当社は、デュシェンヌ型筋ジストロフィー[※1](Duchenne Muscular Dystrophy、以下「DMD」)治療薬としてSanthera Pharmaceuticals Ltd(本社:スイス、以下「Santhera社」)と欧米にて共同開発を実施中の当社創製品イデベノン(一般名、開発コード:SNT-MC17)について、このたび、臨床第3相試験を開始しましたのでお知らせいたします。
 2007年8月、当社はSanthera社と、イデベノンのデュシェンヌ型筋ジストロフィーの効能に関する共同開発・販売契約を締結しました。同契約により、当社はSanthera社に対し当社が保有する試験成績の使用権を供与するとともに、EUおよびスイスにおける独占的販売権を獲得しており、今回の臨床第3相試験の開始により、Santhera社へ開発マイルストン総額18百万ユーロのうち5百万ユーロを支払っています。
 なお、2005年7月に、当社は同薬について、フリードライヒ失調症(Friedreich’s Ataxia、 以下「FRDA」)治療薬としての共同開発・販売契約も締結しています。
 Santhera社のCEO Klaus Schollmeierは、「臨床第3相試験は、神経筋疾患に対する初の治療薬としてイデベノンの可能性を検討する重要なステップです。FRDA治療薬として既に本薬が承認されているカナダでは良好な治療結果が数多く得られており、十分な治療薬の存在しない神経筋疾患においても、多くの患者さんが本薬を必要とされるものと考えます」と述べています。
 欧州販売統括会社である武田ファーマシューティカルズ・ヨーロッパ株式会社(当社の100%子会社、本社:英国ロンドン、TPEU社)のCEO Erich Brunnは、「Santhera社との提携は、優れた医薬品を必要とされる患者さんにお届けするという当社の使命を具現化するものです。Santhera社との緊密な連携を通じて、DMD患者さんや医療関係者の皆さまに、新たな治療オプションを一日でも早くお届けできるよう取り組んでまいります」と述べています。
[※1]デュシェンヌ型筋ジストロフィーについて
 デュシェンヌ型筋ジストロフィーは神経筋疾患の中でも、最も発症頻度が高い病型であり、米国、欧州、日本の合計で約3万人の患者さんがいるとされ、ほとんど男児のみに発症します。X染色体に存在するジストロフィンが欠損しているために発症する遺伝性疾患で、カルシウム調節機能が損なわれ、筋肉細胞の酸化が亢進し、筋肉が劣化します。進行が早く、3~5歳で発症し、10歳代になると歩行能力を失います。合併症として、骨格奇形や呼吸困難、心不全を併発することが多く、患者さんの平均寿命は30~35歳と言われています。
<デュシェンヌ型筋ジストロフィーを対象としたイデベノンの第3相臨床試験概要>
名称 : DELOS (DuchEnne Muscular Dystrophy Long-term IdebenOne Study)
対象 : 10~18歳までの歩行可能または歩行不可能なデュシェンヌ型筋ジストロフィー患者(最大240名)
試験 : 二重盲検、無作為割付け、プラセボ対照 
用量 : 1日あたりイデベノン900mgを投与
投与期間 : 52週間
主要評価項目 : 52週目における呼吸器機能(最大呼気流量)のベースラインからの変化
副次評価項目 : その他呼吸器機能にかかる指標、筋力、運動機能の投薬期間における変化、QOLの改善など
実施場所 : 欧州、米国およびカナダにおける最大25施設(予定)
治験実施責任医師 : Prof. Gunner Buyse, ベルギー、Leuven大学小児神経科教授

http://fcm-news.blog.so-net.ne.jp/2009-09-03

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