美容の極み

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Oct 16, 2009
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1.新型インフル、全国平均が「注意報」レベルに
2.新型インフルエンザ:国産ワクチン、1回で有効 厚労省が治験結果公表
3.新型ワクチン「安全性に疑問」、米医療団体が接種差し止め求め提訴
4.胃がん予防 ピロリ菌外来広まる 除菌で発症を抑制
5.過敏性腸症候群:慢性の便通異常、IBSの疑い
6.ヨーグルト:風邪に効果
7.厚労省「チーム医療の推進に関する検討会」
8.「新型インフルエンザに対するワクチン接種の基本方針」を読む
9.インフルエンザ感染拡大予防は、シンプル・低コストの手洗い・マスク対策
10.臨床医のためのMedline論文検索、機能アップへの取り組み
11.よく見られる症状「胸痛」(GERD)
12.これって普通?わが医局、あの医局のローカルルール
13.Acetaminophen May Weaken Effectiveness of Kids' Vaccines
14.新型インフルエンザに関する報道発表資料
15.プレスリリース
1) 富山化学、ニューキノロン系合成抗菌剤「オゼックス 細粒小児用15%」の製造販売承認を取得
2) 肺動脈性肺高血圧症治療薬「アドシルカ(R)」(一般名:タダラフィル)の製造販売承認取得
3) 日立メディコとアロカ、アロカに超音波診断装置用エラストグラフィを提供
4) 中外製薬、抗悪性腫瘍剤「アバスチン」の乳がんに対する効能追加を承認申請
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1.新型インフル、全国平均が「注意報」レベルに
朝日新聞社2009年10月16日

 国立感染症研究所は16日、全国5千の医療機関から報
告されたインフルエンザ患者数が、11日までの最新の1
週間に1医療機関当たり12.92人になったと発表した。
ほとんどが新型の豚インフルエンザとみられる。前週の6.
40人から倍増した。
 保健所の管轄地域単位で、1医療機関当たり10人以上
の地域は「注意報」レベルとなる。全国で10人を超えた
のは、舛添要一厚生労働相(当時)が8月に「本格的な流
行開始」を宣言してから初めて。
 都道府県別で報告が多いのは、北海道(38.96人)
のほか、愛知(23.52人)、福岡(23.48人)、
神奈川(21.63人)、沖縄(19.48人)の各県。
東京都(18.98人)、大阪府(16.96人)なども
多く、大都市を中心にした流行が拡大している。
 管内で30人以上の医療機関が出て「警報」レベルになった保健所がある都道府県は、北海道、埼玉、東京、神奈川、愛知、大阪、福岡、沖縄の8都道府県、注意報レベルの保健所があるのは21府県。
 同研究所は新型インフル患者が増え始めた7月初め以降の累計患者数を約224万~244万人とみている。


2.新型インフルエンザ:国産ワクチン、1回で有効 厚労省が治験結果公表
毎日新聞社2009年10月16日

 厚生労働省は16日、新型インフルエンザの国産ワクチンについて、「1回の接種で効果的な免疫反応が期待できる」とする治験結果を公表した。新型インフルエンザは大半の人が免疫を持たないため、これまで2回接種を前提にしていた。だが、1回接種で十分になった場合、接種対象者が増える可能性がある。
 治験は、北里研究所が製造したワクチンについて9月17日から健康な成人200人に対して実施した。通常量(15マイクログラム)を皮下注射した結果、血液中で免疫として働く抗体の量が4倍以上上昇するなど、ワクチンの有効性を示す基準を満たした人が96人中72人(75%)で、ワクチンとして有効と評価される国際基準の40%を上回った。また倍の量(30マイクログラム)を接種した98人では86人(87・8%)に上った。
 ワクチンを接種した後の副作用は45・9%の人にあり、接種個所が赤く腫れたりする頻度が高かった。比較的重い副作用として急なアレルギーショックなどもあったという。
 新型インフルエンザのワクチン接種回数を巡っては米厚生省も9月、成人に対する臨床試験結果から、1回の接種で十分な免疫効果を得られたと発表していた。


3.新型ワクチン「安全性に疑問」、米医療団体が接種差し止め求め提訴
AFP News2009年10月16日

米ニューヨーク(New York)の医療関係者らは15日、米当局が進める新型インフルエンザA型(H1N1)の予防ワクチン接種プログラムについて、ワクチンの安全性を確認する臨床試験に問題があるとして中止を求める訴えを起こした。
 医療関係者らは、「適切に臨床試験を受けたワクチンは1つもない」と主張。当局はワクチンの有効性と安全性が十分に確認される前に一般市民への予防接種を行うべきではないとして、ワシントンD.C.の連邦地方裁判所に接種の一時差し止めを求めた。
 一方、米国立衛生研究所(US National Institutes of Health、NIH)は、ワクチンの臨床試験は8~9月に実施され、その結果、十分な耐容性があり、健康な成人の場合は1回の接種で効果的な免疫反応が得られることが確認されたとしている。


4.胃がん予防 ピロリ菌外来広まる 除菌で発症を抑制
東京新聞社2009年10月16日

胃潰瘍などの原因の一つ、ヘリコバクター・ピロリの除菌治療が、胃がん予防策としても注目されている。日本ヘリコバクター学会が今年、感染者すべてに除菌を進めるよう指針を定め、専門外来を開設する医療機関も増えてきた。課題は耐性菌対策だ。
 「五十代から六十代を中心に、中には三十、四十代にも胃がん予防で除菌を希望して来られる方がいる」
 慶応義塾大病院消化器内科・ピロリ菌外来を担当する鈴木秀和医師は話す。同病院は二〇〇〇年に全国初の専門外来を開設した。
 除菌治療は、事前の検査から除菌後の判定まで約三カ月半。まず内視鏡で胃の状態を確認し、胃粘膜を採取して検査する。便や血液、呼気で調べる簡便な方法もある。
 除菌は薬剤で行う。胃酸の分泌を抑える薬と二種の抗生物質の計三種を一日二回、一週間連続で服用する。十二週間後に呼気検査をして、除菌できたか確認し終了する。
 日本ヘリコバクター学会も今年一月、「ピロリ菌に感染している人は、除菌治療することが望ましい」との指針をまとめた。きっかけは昨年、北海道大が中心となって行った研究で明らかになった胃がん予防効果だ。
 研究は、早期胃がんの内視鏡手術を受けた患者約五百四十人のその後の三年間、除菌治療を行ったグループと行わなかったグループを比較調査した。新たな胃がんの発症が、除菌したグループはそうでないグループの約三分の一に抑えられた。従来、胃がん発症や進行への関与が指摘されていたピロリ菌の除菌について、具体的な臨床研究で予防効果が裏付けられた。
 除菌治療は、消化器内科などで実施されているが、研究成果を受けて、最近は全国に専門外来の開設が進んでおり、現在二十カ所を超えた。
 除菌治療には約五万円かかり、患者が全額負担しなければならない。胃潰瘍と十二指腸潰瘍の治療として行われる場合は、二〇〇〇年から健康保険が適用されているが、それ以外の胃がん予防などは適用外のためだ。
 治療薬剤への耐性菌が出現し、治療効果が下がっていることも課題だ。除菌治療の取り組みが始まった同年ごろに約90%あった除菌成功率が、現在は約70%。薬剤を変えて行う二次治療も、当初の成功率より下がって約75%ほど。有効な三次治療法の薬剤の組み合わせが現在模索されている。
 一方、耐性菌対策の研究も行われている。LG21という乳酸菌を併用すると除菌成功率が10ポイント高くなった、との研究結果を六月、東海大医学部の高木敦司教授(消化器内科)が発表して注目されている。
 除菌治療の主な副作用は、下痢、味覚異常、口内炎などで、まれに出血性大腸炎が起こる。ペニシリンアレルギーのある人は治療を受けられない。除菌すると食欲が増し、食べ過ぎて一過性の逆流性食道炎になることもある。こうした副作用や耐性菌の問題から、除菌にこだわらなくてもいいとの考え方もある。
 胃がんを経験していない人が予防に除菌をしたからといってがんにならないとは限らない。既にがんができていたり、ほかの原因がある場合もあるからだ。
 「胃がん対策には除菌治療後も、定期検査を受けてチェックすることが大切だ」と鈴木医師は話す。
<ピロリ菌> 胃の粘膜を傷つけて炎症を起こし、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、萎縮性胃炎、胃がんなどの原因になる。感染者は全国で約6000万人。経口感染で5歳までに感染するとされ、感染者は現在、40代以下では50%未満だが、50歳以上は70%以上が感染している。


5.過敏性腸症候群:慢性の便通異常、IBSの疑い
毎日新聞社2009年10月16日

◇男性は下痢、女性は便秘多く ストレス解消心掛けて
 食品工場で働く東京都内の20代男性は、繰り返される腹部の痛みや下痢に悩まされ続けてきた。大学病院など複数の医療機関を受診したが、いずれも「たいしたことはない」と下痢止めを処方されるだけだった。苦しさを理解されず、一時は自殺まで考えたという。昨年秋に訪れた診療所で、過敏性腸症候群(IBS)と診断され、適切な治療によってようやく回復した。
 IBSは、大腸や小腸に異常は見られないものの、下痢や便秘など便通異常が慢性的に繰り返される疾患だ。通常の下痢や便秘と違い、腹痛やおなかの張り、おなかが何となく気持ち悪い、おなかがゴロゴロ鳴るなど腹部症状を伴うのが大きな特徴。下痢は男性に多く、便秘は女性に多い。10~30代の若い人に多くみられる。症状がひどいと電車や車の中でトイレに行きたくなるため外出しにくくなるなど、QOL(生活の質)の低下が心配される。
 国内のIBS患者は約1200万人にも上ると推定される。島根大医学部の木下芳一教授(消化器内科)が今年1月、20~79歳の一般の男性2万人にインターネットを使ってIBSの大規模実態調査を実施し、下痢性のIBSと判断した人が8・9%いた。そのうち、63・5%が自分の症状を病気であると認識していなかった。また、腹部症状を医師に相談したことがない人が54・7%、市販薬を使ってもよくならない人が64%いた。
 木下教授は「IBSがあまり認知されておらず、患者も医師に適切に相談できていない実態が初めて明らかになった。安易な自己治療で症状がよくならない潜在的な患者も多い」と指摘する。
 なぜ下痢や便秘は起こるのか。通常、胃で消化し小腸で栄養を吸収した食物は、多量の水分を含んだまま大腸に送られる。大腸では、半日から1日ほどかけてゆっくりと水分を吸収。水分量が70~80%くらいだと適度に軟らかい便として体の外に排出される。
 ところが、大腸の運動が過剰になって食物が早く通過すると、十分に水分が吸収できず、下痢に多い水のような便が排出される。逆に、腸の動きが鈍くて通過に時間がかかると、水分が吸収され過ぎるため、便秘の人に多い硬い便になる。
 では、IBSはどうやって起きるのか。遺伝や生活環境などさまざまな要因が挙げられるが、IBSに詳しい鳥居内科クリニック(東京都世田谷区)の鳥居明院長(消化器内科)は「ストレスが大きな原因の一つ」と指摘する。
 人間はストレスを受けると脳内からストレスホルモンが出る。腸がこのホルモンから刺激を受けると、神経伝達物質のセロトニンが腸の粘膜から分泌される。これが、腸のたんぱく質と結合すると、腸の運動異常を引き起こし、下痢や腹部症状などが生じる。こうした症状は苦痛や不安感を生じてストレスとなるため、悪循環が続く。
 腹痛や下痢など不快な症状に付きまとわれるIBS。防いだり、治療するにはどうすればいいのか。
 まずは食事。下痢を繰り返す場合、香辛料や冷たい物など腸を刺激しやすいもの、腸内の内容物が通り抜けやすくなる脂っこいものは控えた方がいい。便秘を繰り返す場合は、水分や食物繊維の多い食事を心がけることが大切。もちろん暴飲暴食は避けたい。
 散歩や体操など適度な運動は、腸の働きを整えるため効果的といわれる。
 ストレス解消のためには十分な睡眠を取るほか、何でも満点を取ろうとせず、75点くらいで満足するように考えを切り替えることを勧める医師もいる。
 鳥居院長は「下痢の症状で苦しい場合は、腸内でのセロトニンの働きを抑え、腸の運動異常や敏感な腸の状態を効果的に改善する新薬も最近登場した。IBSかもしれないと少しでも思ったら、一人で悩んだり、抱え込んだりせず、かかりつけ医や専門医のいる病院などで適切な治療を受けることが必要」と指摘する。
 IBSに関する情報は、製薬会社が開設したホームページ「IBSネット」(http://ibsnet.jp/)などに詳しい。


6.ヨーグルト:風邪に効果
毎日新聞社2009年10月16日

 乳酸菌「1073R-1」を使ったヨーグルトを摂取すると、ウイルス感染した細胞を攻撃するナチュラルキラー(NK)細胞の働きを活発にし、インフルエンザウイルスの増殖を抑えることが15日、東京都内で開かれたセミナーで報告された。北里大などによるマウス実験の結果で、このヨーグルトを食べると風邪をひく危険性も半減したという。
 研究チームは、1073R-1のヨーグルトをマウスに4週間与えたところ、NK細胞の働きがより活発になった。この乳酸菌が作る多糖体(EPS)を3週間与えても同様だった。ヨーグルトやEPSを食べさせたマウスにインフルエンザウイルスを感染させたところ、感染力のある肺の中のウイルス量が減った。さらに山形と佐賀県内の60歳以上の72人に、このヨーグルトを8週間と12週間食べてもらい、食べなかった70人と比べたところ食べた人は風邪をひく危険性が半減した。北里大の山田陽城教授は「乳酸菌も粘膜免疫系などの活性化に働くなどして健康維持にかかわると推定される」と指摘した。


7.厚労省「チーム医療の推進に関する検討会」
日経メディカル2009年10月16日

・チーム医療における薬剤師・看護師の役割をヒアリング
厚生労働省の「チーム医療の推進に関する検討会」の3回目の会議が10月13日に開かれた。今回はチーム医療における薬剤師・看護師の役割についてヒアリングを行うとして、虎の門病院薬剤部長の林昌洋氏、近森病院常務理事の川添昇氏、聖路加国際病院がん看護専門看護師の中村めぐみ氏が参考人として出席した。
 まず林氏が、虎の門病院で薬剤師がチーム医療の中でどのような役割をはたしているかを説明。その役割として(1)医師と協働して処方の提案や処方設計を支援する(2)薬物療法の効果と副作用を評価し、問題点を把握する(3)インフォームドコンセントを分担する―の3つを挙げた。医師と薬剤師が協働することによって、医師の負担が軽減され、医療の質が向上するとした。
 続いて川添氏が、近森病院でどのようにしてチーム医療を実践しているかを事務方の立場から説明した。チーム医療に重要なのは、医師が包括指示を行い、コメディカルの間で情報の共有・交換を行うことだとした。チーム医療を推進するためには各職種の専門性を高めることが必要であり、施設基準を超えてコメディカルを配置した場合は、診療報酬で評価されることが必要だとした。
 最後に中村氏が専門看護師、認定看護師がチーム医療において果たす役割について述べた。聖路加国際病院では「リソースナース」として、(1)看護の専門分野の知識・技術を活用し、看護職や他の医療従事者の啓蒙を行う(2)必要なときは患者に直接ケアを提供することで看護ケアの質の保証に貢献する―という役割を担っているとした。また、「リソースナース」に期待される役割として、(1)根拠に基づいた知識・技術を提供し、患者にとって有益なケアを効率的に提供する(2)専門領域においては、協議の上である程度の権限を持つと同時に、限界をわきまえる(3)自己の役割や活動内容を明文化し、評価の視点を持つ―などを挙げた。
 このあと意見交換が行われ、日本赤十字看護大教授の川嶋みどり氏が、中村氏に「チーム医療を行う上で、医師との関係に悩むことはないか」と質問した。これに対し中村氏は、「当院ではチーム医療を実践しようという気風があるので、医師の理解が得られないことはあまりない。しかし、医師と看護師の間に協力関係が成り立つためには、看護師が協働することで成果が上がると医師に認識してもらうことが重要だ」とした。また、意見交換の最後に、国際医療福祉大学大学院教授の大熊由紀子氏は「林氏の発表には『お忙しい先生方に入力していただく』など、医師に遠慮した表現が多かった。このような心理的な障壁をどう乗り越えるかがチーム医療実現の課題ではないか」と指摘する場面もあった。


8.「新型インフルエンザに対するワクチン接種の基本方針」を読む
日経メディカル2009年10月16日

上昌広(東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門准教授)
10月1日、政府は新型インフルエンザに対するワクチン接種の基本方針を発表しました。過去の連載で、新型インフルエンザ対策については民主党と厚労省医系技官の対立が明らかで、民主党政権の実力を占う試金石だと述べてきました。
 結論から申し上げますが、長妻厚労大臣は医系技官に言いくるめられた感じです。主な論点をご紹介しましょう。
【ワクチンの確保は十分か】
 厚労省によれば、合計7,700万人のワクチンが確保出来る見通しです。具体的には、2700万人分の国産ワクチンを、10月19日の週から接種開始する予定です。また、年度内に5,000万人分の輸入ワクチンを確保し、12月末から1月にかけて輸入を開始するようです。
 日本の人口は1億2700万人ですから、年内に人口の20%に接種し、将来的に約60%の国民に対するワクチンを準備することを目指しています。他の先進国もワクチン確保には必死です。例えば、8月25日のロイターによれば、米国は10億ドル以上をワクチン購入予算に割り振り、年内に1億6000万人(人口の50%)に接種を終える予定です。
 また、イギリスは人口の半分である3,000万人を対象に、来年初めまでに接種を完了する予定です。英米ともに、さらにワクチンを確保するように交渉中です。また、フランスはワクチン9,400万回分(1人2回接種として、人口の77%相当)を注文し、カナダも5,000万回分(人口の78%相当)を確保しようとしています。
 欧米先進国と比べ、我が国のワクチン確保量は、やや見劣りする程度です。問題は、欧米先進国より準備が遅れていることです。各国とも、年明けまでには国民の半分程度には接種を終える予定ですが、我が国は20%に過ぎません。新型インフルエンザの流行時期を考えれば、我が国のワクチン備蓄体制には大きな問題がありそうです。
【ワクチン輸入に消極的だった厚労省】
 実は、日本政府がワクチン確保に出遅れたのは、医系技官がワクチン輸入に消極的だったためと言われています。
 例えば、サンデー毎日9月27日号には「厚労省が欧州のメーカーと結んだ「仮契約」は8月下旬に切れたが、同社の問い合わせに応じず、11日現在で厚労省はこれを放置したままだという」「同社が厚労省に示した日本向けワクチンの確保期限は9月18日。デッドラインを過ぎれば、日本の「予約分」は他国に流されてしまう」ことになっていました。つまり、海外ワクチンは、国内に入ってこないところでした」と紹介されています。医系技官は輸入ワクチンを妨害するため、サボタージュしていたことになります。
 このような状況を強引に方向修正したのは、舛添前厚労大臣です。総辞職直前の9月11日の閣議後記者会見で、「海外メーカーから4200万人分を輸入できる見通し」と発表し、「不足するワクチンを輸入すること」の既成事実化を図りました。この発表は、勿論、官僚の意向に反したものでした。
 この話、後日談があります。9月11日の閣議後記者会見では、国内で製造するワクチンは1800万人分の予定でした。それが、いつの間にか、2700万人分に増えたのです。
 厚労省は、9月24日に記者クラブへのリークで、9月4日には、ワクチンの増殖がうまく進まないことを想定して1800万人分としていたが、「製造効率が予想ほど低くならない見通し」(同省)と発表し(9月25日日経)、国産ワクチンの生産を2,700万人に上方修正しました。真相はわかりませんが、タイミングを考えても、にわかには信じられない話です。
【厚労官僚は、なぜ国産ワクチンに固執するか】
 なぜ、厚労省は、躍起になって国内ワクチンメーカーを守ろうとしているのでしょうか。この背景については、雑誌『選択』10月号の「ワクチン後進国 日本の惨状」が秀逸で、一読をお奨めします。
 これまで、我が国のワクチン製造は、財団法人化血研や阪大微研、北里研究所のような学校法人が担ってきました。一方、世界のワクチン市場は急成長を続け(年間成長率16%)、グラクソ・スミスクライン、ノバルティスファーマ、サノフィ・アベンティス、メルクのような大企業が参入しています。国内でも、武田薬品が興味をもっています。
国内ワクチンメーカーの中には、高い技術力を誇るところが多いのですが、パンデミックに対応し、大量生産することは出来ません。世界的にワクチンへの関心が高まり、メガファーマが参入してきた以上、国産ワクチンメーカーは再編せざるを得ない運命です。厚労官僚の存在は、メガファーマにとり「参入障壁」となっています。
 余談ですが、政府が発表した「新型インフルエンザワクチン接種の基本方針」の末尾には、「国は、今後、国産ワクチンによりインフルエンザワクチンの供給が確保されるよう、国内生産体制の拡充等を図るものとする」とあります。まるで、「これからも補助金漬けにして、護送船団を守るぞ」と言っているようです。このあたり、役人はしぶといです。
【重い自己負担 6,150円】
 新型インフルエンザワクチンの接種費用は、生活保護や低所得者を除いて、自己負担です。二回の接種で6,150円が必要です。四人家族全員が接種するとすれば約2.5万円の出費となり、この負担が重くのしかかることは間違いないでしょう。多くの先進国で、新型インフルエンザワクチンは公費負担で、自己負担がないこととは対照的です。
 ちなみに、ワクチンの接種率は、自己負担の有無が影響することが知られています。当然ですが、自己負担を高くすれば、接種する人は減ります。感染症学には「集団免疫」という考え方があります。国民の大半が免疫を持っていれば、たとえ感染者が外部から侵入してきても、感染症に対して弱い集団にはうつりにくく、守られるという意味です。
 インフルエンザの場合、国民の70~80%程度が免疫をもっていれば、大流行は防ぐことが可能と考えられています。逆に、ある一定レベルまで免疫を持っている人を増やさなければ、大流行は避けられません。このように考えれば、6,150円の自己負担が極めて大きな意味を持つことがお分かりでしょう。
 今回、政府は1,000億円程度の予備費をワクチン接種費用に充てています。予備費の総額を考えれば、新型インフルエンザ対策に大きなウェイトを置いたことは間違いありません。しかしながら、政治主導で補正予算を組み、国民負担をなくすという選択肢もあったはずです。その総額は約5,000億円。数万の国民が亡くなるのですから、議論の価値はあります。民主党にとって、政治主導を示す恰好の舞台を逃したことになるかもしれません。
 余談ですが、厚労省の原案ではワクチン接種料は7,200円でした。約1,000円分を軽減したのは、足立信也政務官が強硬に主張したためだと言われています。
輸入ワクチンは本当に危険か?】
 輸入ワクチンの安全性が懸念されています。厚労省は、ワクチンに関するパブリックコメント募集の案内で、1) 国内外で使用経験がないこと、2) 国内で使用経験のないアジュバント(免疫補助剤)を用いていること、3) 国内で使用経験のない細胞培養による製造法が用いられ、「がん原性は認められないものの、腫瘍原性がある」と説明し、アジュバントの使用と、細胞培養法の危険性を強調しています。これを読むと、誰でも輸入ワクチンは危険と考えるでしょう。
 ところが、この説明には具体的なデータは示されず、かなり一方的です。私は、輸入ワクチンの危険性は厚労省が喧伝するほどのものではないと考えています。その理由は以下です。
 我が国が輸入を考えている新型インフルエンザワクチンは、ノバルティスファーマ(スイス)とグラクソ・スミスクライン(イギリス)の製品です。前者は細胞培養法を用い、後者は日本と同じ鶏卵培養法を用いています。細胞培養法は、鶏卵培養法より効率が良いのが特徴です。
 今回、ノバルティスはMDCK細胞というイヌの尿細管上皮由来の細胞を用いていますが、欧州では07年に同法を用いた季節性インフルエンザワクチンが承認され、臨床現場で用いられています。アジュバントは入っていませんが、これまで大きな問題は指摘されていません。厚労省は、この情報は伝えていません。
 厚労省は、細胞培養法で作成したワクチンを接種すれば、微量の動物細胞由来物質が体内に入り、腫瘍化の可能性が否定できないと指摘していますが、これは杞憂でしょう。ワクチン接種の際に混入する微量物質が原因となって、腫瘍が発生することなど、常識的に考えられません。
 さらに、厚労省は、「がん原性はないが、腫瘍原性がある」などと、一般人に理解できない言葉を使っていますが、これは不適切です。腫瘍を専門とする私でも、何が言いたいか分かりません。このような表現を用いる場合、白血病や肉腫などの、上皮細胞由来でない悪性腫瘍か、あるいは良性腫瘍を指します。厚労省が、リスクを本気で心配するなら、具体的に書くべきです。勿論、専門家は否定するでしょう。
 次は、アジュバントについて考えましょう。グラクソ・スミスクラインは、「アジュバントとは、少ない抗原量で高い免疫応答を惹起させるためにワクチンの核となる抗原に添加するものです。「抗原節減型」ワクチンによって、大規模な人数分のH5N1型ワクチン製造が可能となり、より多くの人に対してインフルエンザ・パンデミックから守るための集団接種が出来るようになります。」と、パンデミック対応におけるアジュバントの意義を説明しています。
新型インフルエンザワクチンでは、グラクソ・スミスクラインはAS03、ノバルティスはMF59というアジュバントを用いています。AS03は、これまで市販されていませんが、過去に鳥インフルエンザワクチンのアジュバントとして1万例を超える治験が行われています。一方、MF59を配合したワクチンは97年に初めて承認、過去に4,000万回分が出荷され、1.6万回の治験実績があります。両者とも大きな問題は指摘されていません。このような具体的な情報を厚労省は紹介すべきです。
 勿論、新型インフルエンザを対象とした初めてのワクチンという意味では、慎重な対応が必要なことは言うまでもありません。特に、ノバルティス社ワクチンでは、MF59とMDCK細胞を初めて併用していることには留意すべきです。現在、両社は急ピッチで治験を実施しており、一部の結果は公表されています。対照的に、国内メーカーは治験をやらないようです。これでは、どちらが安全なのか分かりません。
【医学の常識を逸脱した10mlバイアル】
 厚労省はインフルエンザワクチンを10mlバイアルで供給すると発表しました。季節性インフルエンザワクチンは、通常、1mlバイアルで供給し、二人に接種します。医系技官は、バイアルの容量を大きくすれば、壁面や底に残るワクチンを節約できるので、接種可能な人数が増えると考えたようです。
 ところが、この方法は医学の常識に反する「机上の空論」です。私の周囲で、この問題を認識した医師は、ほぼ全員が反対しています。
 まず、ワクチンはゴムキャップに針を刺して吸い取りますが、この操作によって、空気中の細菌・ウイルスなどがバイアル中に押し込められます。これらの病原体は、時間がたつと急速に増殖するため。注射薬は、一度あけたら使い捨てが基本です。このため、多くの注射薬は、最初からシリンジ(注射器)に入っていて、吸い取る操作がいらない「プレフィルド・タイプ」になりつつあります。昨年、三重県の整形外科診療所が作り置きの点滴で院内感染が生じ、マスコミ騒ぎになりましたが、「10mlバイアル」案は大差ありません。
 次に、このような方法で、本当にワクチンが節約できるかも疑問です。一旦開封したワクチンは当日中に使い切らねばならず、添付文書にも明示されています。このため、一日のワクチン接種希望者の数が、20の倍数でなければ、多くのロスを生じます。例えば、21人なら、50%近いワクチンが廃棄されることになります。
 このように、まともな医者なら誰でも「論外」と考えることが、政府案として通ってしまうところが、我が国の医療行政の恐ろしさです。医療行政を司る医系技官が「ペーパードクター」と言われる由縁です。
【副作用の補償】
 ワクチンは、多くの国民を感染症から守りますが、一部に重篤な副作用が生じ、現在の医学では予見できません。ワクチンの普及には、ワクチン被害者に対する補償制度の整備が重要です。ところが、今回の新政府の方針は、ワクチンの補償という観点からは大きな問題を孕んでいます。
 まず、新型インフルエンザワクチンは、予防接種法に位置づけられていません。政府は「現行の予防接種法に基づく季節性インフルエンザの定期接種に関する措置を踏まえて必要な救済措置を講じることができるように検討を行い、速やかに立法措置を講じる」と述べていますが、政府が何と言おうが、現時点では、法律上、民民契約に基づく通常の医療行為です。
この場合、医薬品医療機器総合機構(PMDA)が運営する健康被害救済制度で補償されます。この制度は、薬の副作用を補償するため、製薬企業の拠出する基金で運営されています。ワクチン接種に、この制度を当てはめる場合の問題は、予防接種法に基づく補償より安いこと、およびワクチンによる薬理的副作用(医薬品を適正に使用した場合に、当然に予想される副作用)以外は救済されない可能性が高いことです。
 具体的には、注射部位の感染、注射による迷走神経反射で倒れて大怪我をしても補償されません(このような合併症も、予防接種法は救済します)。このような場合、被害者は裁判に訴えざるを得ません。
 万一、ワクチン事故があった場合、被害者は、製薬会社や医療機関等を相手に訴訟を起こし、過失責任を立証し、勝訴しなければなりません。被害者の負担は、相当なものになるでしょう。結局、今回の措置は、「裁判に訴える患者だけが救済される」スキームを政府が認めてしまったことになり、世界の潮流に逆行します。これまで何回も主張してきましたが、予防接種禍には、訴訟をしなくても救済される「無過失補償制度」の整備が必要です。
【免疫制度を作らず、訴訟費用を肩代わり】
 このような動きは、製薬メーカーにとっては大きなリスクです。今回は7,700万人がワクチンをうちます。10万件に1回の副作用、あるいは医療ミスでも770人の被害者が出てきます。集団訴訟は、企業イメージを損ね、巨額の賠償金が必要になります。
 このため、海外メーカーの中には、米国やフランスの制度に倣って、ワクチン副作用の免責を強く主張し、免責が担保されなければ、ワクチンを輸出しないと主張した企業がありました。このような意向を受け、海外企業が敗訴した場合に、政府は賠償金を肩代わりすることを約束しました。
 この判断は稚拙です。なぜなら、国内メーカーと海外メーカーを正当な理由もなく差別し、さらに、政府が「訴訟による被害者救済」を打ち出したため、判決は被害者有利にならざるを得ないためです。これは、海外メーカーにとっては、敗訴の連続によりブランドイメージを損ねる危険性があります。この結果、海外メーカーは我が国への参入を敬遠し、ワクチンラグを更に悪化させるかもしれません。
 厚労省は、ワクチン副作用補償のための、新制度の創設を表明していますが、予防接種法と同じレベルの補償が行われるかは、法制度上、財政上、まったく不明です。十分な補償が行われることを願ってはいますが、楽観できない状況です。
 いずれにせよ、医療行為の無過失補償・免責の仕組みができあがるまでは、法定接種のスキームこそが最良です。これは、国会での法改正は不要で、厚労省にやる気があれば、即座に実行が可能です。このように考えた場合、今回の厚労省の対応は、優先接種と称して、事実上、接種を勧奨し、法定接種に限りなく近づけつつ、責任と補償は回避していると見るのが妥当です。
【厚労省のガバナンス】
 このように振り返ると、今回の新型インフルエンザ対策は、医系技官の主張がほぼ通ったようです。これは舛添前大臣時代とは対照的です。政権交代の過渡期の権力の空白だったのか、あるいは、医療に対する知識が少ない長妻厚労大臣が役人に操られているのかは、現時点では判断は出来ません。ただ、医系技官にとって、目の上のたんこぶであった舛添前厚労大臣が去って、厚労省のガバナンスは大きく変わったことは間違いなさそうです。


9.インフルエンザ感染拡大予防は、シンプル・低コストの手洗い・マスク対策
CareNet2009年10月16日

世界的な新型インフルエンザのパンデミックが懸念される中、Tom Jefferson氏らイタリア・Cochrane Collaboration急性呼吸器感染症研究グループは、呼吸器系ウイルスの感染防御策に関するシステマティックレビュー解析を行い、BMJ誌2009年10月3日号(オンライン版2009年9月22日号)で報告した。結果は、より低コストな対策(手洗い、マスク着用、外出規制・自粛の要請)については効果的とのエビデンスが確認されたが、高コストの対策については確たるエビデンスは確認できていないことが明らかになったという。
物理的な介入効果のエビデンス検証を目的にシステマティックレビュー
レビューは、ウイルスの感染拡大を防ぐ、もしくは減じるための物理的な介入効果のエビデンスを検証することを目的とした。
文献データベース(Cochrane Library、Medline、OldMedline、Embase、CINAHL)で、呼吸器感染症ウイルスの感染拡大防止介入(隔離、検疫、外出規制・自粛の要請、検問所等のバリア設置、個々人による予防、手洗いなどの励行)に関する研究論文(無作為化・コホート・ケースコントロール・前向き・後向き・前後比較に研究デザインされたもの)を選定し検討した。論文選定に関して、適格性、バイアスについても留意された。
2007~2009年分から該当すると思われる研究論文は2,958件あったが、最終的にレビューに相当する研究論文として、59試験・58論文が選ばれた。
オッズ比は、手洗い0.45、マスク着用0.32、ただし高価なN95マスク着用は0.09
対象研究の質は、無作為化対照試験4件すべてと、対象論文として最も多かった14件のクラスター無作為化試験は、いずれも不十分なもので、観察研究の質は玉石混合だった。
メタ解析されたのは、6件のケースコントロール試験で、物理的な介入が、重症急性呼吸器症候群(SARS)の感染拡大に非常に効果的であることを示すものだった。具体的には、「1日10回以上の手洗い」は、オッズ比:0.45、治療必要数(Number needed to treat;NNT):4例。「マスク着用」では、オッズ比:0.32、NNT:6例。高性能とされ高価格の「N95マスク着用」は、オッズ比:0.09、NNT:3例。「グローブ着用」は、オッズ比:0.43、NNT:5例。「ガウン着用」は、オッズ比:0.23、NNT:5例。「手洗い・マスク・グローブ・ガウン着用の複合」は、オッズ比:0.09、NNT:3例だった。
複合対策は、家庭でインフルエンザが拡がるのを防ぐのにも有効であることが示されていた。
また、クラスター無作為化試験で最も質の高かった研究報告では、手洗い励行等の衛生対策が、若年者および家庭でのウイルス感染の拡大に有効であることが示されていた。
手洗い後の消毒液の効果はなお不明
一方で、高価で付け心地も悪いN95マスク着用は、マスク機能は優れていたが、皮膚刺激を起こすという点で限界が認められた。
手洗い後に消毒液を付加することの効果については、なお不明のままだった。検疫については、適切な評価が行われていなかった。外出規制・自粛についてのエビデンスは限定的で、特に曝露リスクがより高く、リスクが高い疾患で、長期間にわたるような場合は効果的とは言えなかった。
これらを踏まえ研究グループは、「呼吸器系ウイルス感染拡大防御の長期に有効なルーチン策として、これと言えるものは今のところない。ただし、シンプルかつ低コストな対策が感染拡大を減じることは確認できた。最も有効でフレキシブルで費用対効果の高い対策を講じるためにも、研究費を投じて検証をする必要がある」と報告をまとめている。
Jefferson T et al. Physical interventions to interrupt or reduce the spread of respiratory viruses: systematic review. BMJ. 2009 Sep 22;339:b3675. doi: 10.1136/bmj.b3675.


10.臨床医のためのMedline論文検索、機能アップへの取り組み
CareNet2009年10月16日

カナダ・西オンタリオ大学腎臓病学部門のAmit X Garg氏らは、臨床医がより使いやすいMedlineの論文検索システムの開発に取り組んでいる。データベースで最も人気が高いMedlineでは、PubMed検索が毎年約8億件に上り、そのうち約15%(2002年時点)が臨床医によるものだという。また2009年2月現在、5,363誌からの1800万件の論文が電子データベース化され、毎週新たに12,500件の論文が追加されている。そこでGarg氏らは、フィルタ検索機能を開発。本論はその検索機能改善の取り組みからの報告。BMJ誌2009年10月3日号(オンライン版2009年9月18日号)掲載より。
腎臓病分野でのフィルタ検索機能改善
Garg氏らは、腎臓病分野でのフィルタ検索機能改善に取り組んだ。
2006年以降に発行された40誌から4,657件の論文を選び、マニュアル作業でレビューを実施。結果19.8%が、腎臓病分野に関する情報を含んだ論文だった。
一方、独自開発した「腎臓病フィルタ」検索機能では、1,15万5,087件がヒット。2~14の単語、フレーズとの関連づけが達成できた。例えば、「kidney」「renal replacement therapy」「renal dialysis」「kidney function tests」など。
この検索機能の結果について、感度、特異度、精度などを調べたところ、独自開発した「腎臓病フィルタ」検索機能の感度は97.8%、特異度は98.5%と、パフォーマンスの高いことが確認された。
Garg氏は、「このフィルタ検索機能をPubMedに組み込むことでMedlineでの腎臓病関連の検索機能が高まる可能性がある。それは臨床医の日常診療の助けとなるだろう」と報告。また、同じ要領で腎臓病以外のフィルタ検索機能も開発することができるだろうとしている。
Garg AX et al. Filtering Medline for a clinical discipline: diagnostic test assessment framework. BMJ. 2009 Sep 18;339:b3435. doi: 10.1136/bmj.b3435.


11.よく見られる症状「胸痛」(GERD)
日経メディカル2009年10月16日

【レクチャー概要】
問診・身体所見をベースに、事前確立、尤度比、事後確立を考慮した「胸痛」の鑑別診断法について解説する。今回のテーマは「GERD」
1.

 今回のテーマは、GERDの診断。狭心症と区別がつかない非典型的なGERDもあり、循環器科の医師すら鑑別できないことがある。
 3時間くらい前から徐々に始まった胸痛で来院した62歳男性(患者シナリオはこちら)。痛みの特徴は、圧迫や締め付け感。
 高血圧、高脂血症、喫煙歴というリスクのある患者であれば、acute coronary syndrome(急性冠動脈症候群)を必ず除外しなければならない。その他にどんな疾患が考えられるだろうかというのが今回のテーマでもある。
 5分から15分痛くなって、また治まるというのが1時間に1回か2回ある。一度裂けたら同じ痛みが続くのが解離性大動脈瘤の典型なので、この場合、解離性大動脈瘤の可能性は低いという印象を持つ。このように痛みの周期を聴くことも重要。
 また、肺塞栓症も命にかかわる疾患なので、同様に念頭に置いておく必要がある。
 この患者は半年前から、空咳、胸やけの症状があった。逆流性食道炎の診断に迫るためには「空咳や胸やけの症状がなかったか」という質問が必要。
2.

 GERDは、モントリオール世界消化器病学会で「胃食道逆流により症状や合併症が引き起こされる疾患」と定義された。
 一般的にはこの定義が使われているが、非常に漠然とした内容である。
 GERDには3つのタイプがある。
 私たちがよく知っているのは逆流性食道炎であり、非常になじみがある。
 内視鏡で異常がなくても胸やけを訴える患者はいる。これを非びらん性胃食道逆流症と呼ぶ。
 バレット食道は胃の粘膜が食道下部から上方へ増生するもので、食道腺癌の前癌病変といわれている。

3.

 GERDの主な症状にはどんなものがあるか?胸やけ、食道への逆流感、上腹部症状を訴える人が多い。
 胸やけは、心窩部から胸骨の裏に感じる灼熱感や熱感を伴う不快な感覚。食後に多い。また、臥床により悪化したり座位により寛解したりという体位による変化もある。ただし、全例でこの所見が認められるわけではない。
 一つ注意が必要なのは、患者によって胸やけを「ムカムカ感」とか単に「気持ちが悪いこと」ととらえている人がいるので、「焼けるような痛みですか?」と具体的に聴いて確認するとよい。
4.

 GERDの副症状として、食べ物を飲み込む時に痛みが生じたり(嚥下痛)、食道下部の狭窄が進行すると嚥下困難が生じることがある。
 喉頭に胃酸や胆汁が少量逆流することで、または、迷走神経反射を介することで、咳、喘息発作、気管支炎を生じることもある。
 「喉の辺りに何かがあるような気がする」と咽頭の違和感を訴える患者は少なくない。耳鼻科の先生に内視鏡で覗いてもらっても、胃カメラをしても特に異常がない時、GERDが原因の場合がある。
5.

 GERDに関しては、狭心症と区別できない胸痛も起こる。
 胸骨の裏に締扼感、圧迫感を伴うことがある。また、痛みが背部、頸部、顎、腕へ放散することもある。
6.

 GERDをどう診断するか?
 決定的な問題は、診断のためのゴールドスタンダードが確立されていない点だ。
 現時点では、
(1)問診
(2)内視鏡で食道のびらんや潰瘍を探す
(3)pHのモニタリングのセンサーを食道下部に留置することでpHが下がっていることを確認する
(4)治療的診断でPPIを1週間ないし2週間患者に飲んでもらい症状が改善するかどうかを診る
の4つの診断方法がある。
 しかし、感度、特異度ともにいずれも不十分。内視鏡所見は特異度90~95%であり、内視鏡的に潰瘍やびらんがあれば診断できる。しかし、粘膜障害がなくてもGERDの症状が出る場合があり、感度が50%と低いことが問題。この中で感度において比較的有用性が高いのはPPIの投与試験である。
7.

 食道炎のその他の原因は何か?
 一つは薬剤性。ビスホスホネートを処方する時、患者に「朝起きたら水を飲んで30分~1時間、座位を保つようにしてください」と指示すると思うが、それは食道の中に薬剤が停留し食道粘膜にずっと接したままだと化学的な粘膜損傷を起こすためである。
 ほかの薬剤についても、化学的な粘膜損傷を起こすことが原因と考えられている。
 クリンダマイシンやST合剤で食道炎が起こるというケースはあまり聞かないが、テトラサイクリン系は比較的有名である。
 HIVでは、CD4陽性リンパ球数が下がってくるとカンジダやCMV、HSV食道炎を起こすことがある。HIVのリスクのある患者では、こうした疾患も鑑別に入れなくてはいけない。
 そのほか、救急で飛び込んでくる場合が多いが、酸アルカリの誤飲もある。
 珍しい例だが、アカラシアや強皮症、あるいは癌治療の放射線照射も食道炎を起こす原因になる。
8.

 急性の胸痛を訴える患者に関しては、心筋梗塞の鑑別が必要になる。参考として、心筋梗塞の可能性を上げる臨床所見にはどんなものがあるかを示す。
 放散痛が両腕にある場合は、陽性尤度比9.7、左腕が2.2、右肩が2.9。両腕の放散痛は、心筋梗塞を強く示唆する。
9.

 逆に、
(1)胸膜痛が出る
(2)鋭い、突き刺すような痛み
(3)体位で痛みが変化する
(4)胸壁に圧痛がある
といった臨床所見がある時は、心筋梗塞やacute coronary syndrome(急性冠症候群)の可能性が下がる。
 こうしたポイントを押さえておくことも重要だ。


12.これって普通?わが医局、あの医局のローカルルール
日経メディカル2009年10月16日

 所属する医局員自ら「ん?」と首をかしげてしまう、医局の掟やしきたりを集めてみた。最も多かったのは、「結婚式では教授に仲人を頼み、高額の“ お車代” を支払う」ことと、「学位に対する謝礼」という昔ながらの慣習。なぜか、野球の練習ネタや、バーベキューネタも複数挙がった。教授はバーベキューがお好き?
◆日常業務編
・誰も知らないような、教授が勝手に作った「○○(教授の苗字)の分類」でプレゼンをしないと怒る。(31歳男性、精神科)
・毎日午前0時まで研究室にいること。夕方に一旦夕食を取りに帰宅して、また大学に戻っていました。(49歳男性、その他・基礎系)
・教授の前では絶対に小さい、スモールという言葉を使わない。(41歳男性、小児科)
・移殖外科で有名なある教授は、手術のとき助手の術衣で汗を拭くとか。(49歳男性、内
科)
・カツラがずれていても指摘しない。(40歳男性、内科)
・ネクタイ必須(ケーシータイプの白衣が着られず、手術や外来処置で汚れるし、着脱が
 邪魔でしょうがない)。(46歳男性、泌尿器科)
・腸音をバウルサウンドというしきたりがあった。(45歳男性、内科)
・他の医局では、外勤の給料は一度医局に振り込まれてから、個々に渡される。このため、
実際に支払われた額も不明のまま。(40歳男性、脳神経外科)
・他科の医局で、以前、男性医師が入局を決めると、ご褒美として風俗関係のお店に連れ
て行ってもらったとのウワサ。(52歳男性、小児科)
・病院の運動会のマラソンの順位で派遣先を決める優先権が得られる医局がある。(27歳
女性、内科)
◆プライベート編
・毎週金曜日、 朝6時から野球の練習 (100km 離れた関連病院に勤務していても)。(35
歳男性、脳神経外科)
・若い医師は教授の家の近くに家を建ててはいけない。(30歳代男性、産婦人科)
・私は循環器科ですが、消化器科は毎年元旦に教授宅で、元料理の先生である奥様のおい
しい手料理を食べるそうです。 (38歳女性、内科)
・医局員全員の血液型をチェック する。(33歳男性、内科)
・娘の婿選びに教授宅で毎年バーべキューがある。(44歳男性、外科)
・某大学の産婦人科は、女医さんは入局して5年は妊娠出産禁止 。育休後も必ず復帰する
という念書を書かされると聞いたことがあります。(32歳女性、その他・基礎系)
・結婚式の仲人は教授に頼まないといけない上に、式ごとに教授のタキシードを新調しなくてはいけない( 費用は結婚する医局員持ち)。(49歳女性、耳鼻咽喉科)


13.Acetaminophen May Weaken Effectiveness of Kids' Vaccines
Giving analgesic to prevent fever at shot time could be counterproductive, researchers say
HealthDay News2009年10月15日

Fever after a vaccination is a normal and essential part of building an immune response, and giving children acetaminophen -- best known in the U.S. as Tylenol -- after a shot could dampen that response, a new study finds.
With some vaccines, transient fever means that a child's immune system is processing the immunization, providing them with the best protection, explained Dr. Robert T. Chen, a blood safety specialist at the U.S. Centers for Disease Control and Prevention.
Therefore, "unless your doctor specifically recommends it, do not administer fever-reducing medicines at the same time as vaccination to prevent your child from developing a fever," said Chen, who wrote an editorial accompanying a report in the Oct. 17 issue of The Lancet.
"It is still okay to use antipyretics [acetaminophen or ibuprofen] to treat a fever, but just not recommended to prevent fever," he added. "High fevers can be serious, especially in infants. It is important to work with your doctor to provide the best care for your child."
For the study, a research team led by Dr. Roman Prymula, from the University of Defence in Hradec Kralove, Czech Republic, did two studies, one when children received their first vaccination and another when they received their booster shot.
The vaccinations were routine for protection against pneumococcal disease, Haemophilus influenzae type b (Hib), diphtheria, tetanus, whooping cough, hepatitis B, polio and rotavirus.
The 459 infants in the studies were randomly assigned to get acetaminophen every six to eight hours for 24 hours after vaccination or no acetaminophen.
Prymula's team found that fewer infants who received acetaminophen had a fever, but these babies also had significantly fewer antibodies against pneumococcal disease, Haemophilus influenzae type b, diphtheria and tetanus toxoids, and for one of the whooping cough antibodies compared with infants who did not get acetaminophen.
They believe the pain reliever's anti-inflammatory activity might trigger "interference" to healthy immune system antibody responses, explaining the weakened immunization.
"Unless there are specific reasons for controlling fever, for example, in a child with history of febrile convulsions, Tylenol and other fever reducers should not be routinely given along with immunizations," Chen said.
Infectious disease expert Dr. Marc Siegel, an associate professor of medicine at New York University School of Medicine in New York City, said that "the conclusion that Tylenol not only suppresses fever, but also decreases immune response is plausible. After all, what is an immune response? It's an inflammatory response."
Siegel agrees that acetaminophen should not be routinely given to infants to prevent fever after vaccination. "But, if the kid is sick, treat the sickness. If the kid is very sick, I would get the fever down," he said.
And what about the vaccine for the H1N1 flu? According to Siegel, "giving an infant Tylenol before an H1N1 flu vaccine shot may not be a problem, because the immune response to the vaccine has been so robust."


14.新型インフルエンザに関する報道発表資料

◆新型インフルエンザに感染した患者の死亡について(横浜市)
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/houdou/2009/10/dl/infuh1016-01.pdf
◆新型インフルエンザ患者数(国内発生)について
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/houdou/2009/10/dl/infuh1015-01.pdf
◆新型インフルエンザ(A/H1N1)に係わるサーベイランス体制における情報提供について
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/houdou/2009/10/dl/infuh1015-02.pdf


15.プレスリリース

1) 富山化学、ニューキノロン系合成抗菌剤「オゼックス 細粒小児用15%」の製造販売承認を取得

・ニューキノロン系合成抗菌剤「オゼックス(R)細粒小児用15%」製造販売承認取得のお知らせ
 富士フイルムグループの富山化学工業株式会社(本社:東京都新宿区、社長:菅田益司、以下、富山化学)は、ニューキノロン系合成抗菌剤「オゼックス(R)細粒小児用15%」の製造販売承認を取得しましたのでお知らせします。
 「オゼックス(R)細粒小児用15%」は、1990年より経口剤(錠剤)として販売しているオゼックス錠を小児用細粒剤として開発した薬剤であり、小児の肺炎、中耳炎に適応を有する国内初の小児用ニューキノロン系合成抗菌剤です。ペニシリン耐性菌を含む肺炎球菌やインフルエンザ菌、モラクセラ・カタラーリスなどに優れた抗菌力を示し、他の経口抗菌剤による治療効果が期待できない症例に対しても優れた臨床効果が期待できます。このため、現在、難渋している小児の肺炎、中耳炎の治療にも新たな選択肢として貢献ができるものと考えています。
<製品の概要>
 1.一般名:
  トスフロキサシントシル酸塩水和物
 2.効能・効果:
  <適応菌種>
   トスフロキサシンに感性の肺炎球菌(ペニシリン耐性肺炎球菌を含む)、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、炭疽菌、コレラ菌、インフルエンザ菌
  <適応症>
   肺炎、コレラ、中耳炎、炭疽
 3.用法・用量:
  通常、小児に対してはトスフロキサシントシル酸塩水和物として1日12mg/kg
  (トスフロキサシンとして8.2mg/kg)を2回に分けて経口投与する。ただし、1回180mg、1日360mg(トスフロキサシンとして1回122.4mg、1日244.8mg)を超えないこととする。


2) 肺動脈性肺高血圧症治療薬「アドシルカ(R)」(一般名:タダラフィル)の製造販売承認取得

日本イーライリリー株式会社(本社:神戸市、社長:アルフォンゾ・ジー・ズルエッタ)は、2009年10月16日、肺動脈性肺高血圧症(Pulmonary Arterial Hypertension、以下PAH)治療薬「アドシルカ(R)錠20mg」(一般名:タダラフィル)の製造販売承認を取得いたしました。アドシルカは経口のPDE5阻害剤であり、PAHに対して1日1回40mg(20mg錠2錠)の経口投与での治療が可能になります。
アドシルカは、イーライリリー・アンド・カンパニーが北米、欧州および日本の3極で実施した、第III相国際共同無作為化プラセボ対照二重盲検試験(日本人患者26名含む)、ならびに国際共同二重盲検長期継続試験の結果から、同じ申請資料を用いて2008年に日米欧3極でほぼ同時期に承認申請を行った、イーライリリー・アンド・カンパニーとして初めての製品となります。米国では2009年5月に承認され、欧州では現在審査中です。
 本剤は平均消失半減期が長いという特徴を有しており、1日1回の服用で安定した効果が得られることが国際共同第III相試験において実証されていることから、本剤は患者の利便性の観点からも有用性の高い薬剤となると考えております。さらに、PDE5阻害剤である本剤は、国内において広く使用されているベラプロスト、ボセンタン等の薬剤とは異なる作用機序を有するため、国内のPAH患者における併用療法の可能性も期待されています。
 アドシルカは薬価収載後速やかに、ライセンス契約を締結しております日本新薬株式会社(本社:京都市、社長:前川重信)より発売いたします。
 日本では、全症例に対する使用成績調査の実施が承認条件となっています。
肺動脈性肺高血圧症(PAH)について
 PAHは、心臓から肺に血液を送る肺動脈末梢の小動脈内腔がせまくなり血液が通りにくくなった結果、肺動脈の血圧が高くなる病気です。息切れ、倦怠感などの症状を伴い、進行すると心不全、ひいては死に至ることがある重篤な疾患です。PAHは、特発性および家族性PAH(両者が従来の原発性肺高血圧症に相当)、膠原病、先天性心疾患、門脈高血圧などの各種疾患に伴うPAH、肺静脈/肺毛細血管閉塞に伴うPAH、および新生児持続性肺高血圧症に分類されています。PAHは、きわめて稀な疾患で、日本では、約6,000~9,000人が罹患していると推定されています。
臨床試験結果について
 アドシルカの国際共同第III相試験は、PAH患者405例(うち日本人患者26例)を対象に、本剤2.5mg、10mg、20mg、40mgまたはプラセボのいずれかを1日1回投与する18週間(16週間の投与期間)の多施設共同無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験として実施しました。その結果、運動耐容能の指標である6分間歩行距離の投与開始前から16週後の変化量において、本剤40mg群はプラセボ群に比べて統計学的に有意な改善を示しました(P=0.0004)。また、本試験ではQOLを評価するため、8項目の健康概念からなるSF-36健康調査票、5つの質問と健康状態のQOLを判定するためのビジュアルアナログスケール(VAS)からなるEuroQOL質問表を用いました。その結果、本剤40mg群において、SF-36では8項目中6項目(身体機能、日常役割機能(身体)、身体の痛み、全体的健康感、活力、社会生活機能)において、EuroQOLでは効用値〔Index Score(US)及びIndex Score(UK)〕およびVASにおいて、プラセボ群に比べ統計学的に有意な改善が認められました(p<0.05)。さらに、本剤40mg群は、一部の被験者で測定された肺血行動態パラメータの平均肺動脈圧、肺血管抵抗係数、心係数および心拍出量において、投与開始前と比較し改善が認められました。


3) 日立メディコとアロカ、アロカに超音波診断装置用エラストグラフィを提供

株式会社日立メディコがアロカ株式会社に超音波診断装置用Real-time Tissue Elastography(「エラストグラフィ」)を提供
 株式会社日立メディコ(本社所在地:東京都千代田区、執行役社長:浜松 潔、資本金138億8千4百万円)とアロカ株式会社(本社所在地:東京都三鷹市、取締役社長:吉住 実、資本金64億6千5百万円)は日立メディコが開発したエラストグラフィをアロカに提供することにつき合意いたしました。
1.エラストグラフィ提供の内容
 日立メディコとアロカは、2006年4月28日に資本提携を伴う業務提携を行うことにつき合意し、これまで超音波診断装置及び探触子の共同開発を進めてまいりました。このたび、業務提携の一環として日立メディコが開発したReal-time Tissue Elastography(*1)(以下「エラストグラフィ」)のアロカへの技術提供を開始します。
 エラストグラフィとはリアルタイムに組織の硬さをカラーで画像化する画期的なアプリケーション技術であり、日立メディコが世界に先駆けて開発し2004年1月に製品化しました(*2)。現在、日立メディコのエラストグラフィは世界の超音波診断装置市場における優位技術として非常に高い評価を受けています。
 アロカは自社製品にエラストグラフィを搭載することで更なる拡販が期待されます。
 日立メディコはエラストグラフィの市場拡大を進めており、このたびアロカに技術提供することによりエラストグラフィのグローバルスタンダードの地位を確立していきます。
 *1:Real-time Tissue Elastographyは株式会社日立メディコの登録商標です。
 *2:筑波大学電子・情報工学系 椎名毅教授(当時、現京都大学大学院医学研究科教授)及び筑波大学臨床医学系外科 植野映講師(当時、現筑波メディカルセンター病院ブレストセンター長・乳腺科診療部長)と共同で世界に先駆けてエラストグラフィを開発し、発表しました。
2.エラストグラフィ提供の時期
 本年10月から提供を開始いたします。なお、アロカは本年10月から、日立メディコのエラストグラフィを搭載したアロカ社製超音波診断装置を日本と一部の国において各国規格対応後販売開始いたします。
3.エラストグラフィとは
 病変の悪性度とその組織の硬さには相関があることが知られており、例えば、乳腺においては良性腫瘍より悪性腫瘍は2~3倍程度硬いとの研究結果があります。硬さの違いが画像化できれば、良悪性鑑別ができるのではないかと期待され、世界中で研究されてきました。
 エラストグラフィは、超音波探触子と呼ばれるセンサ部分を生体に接触させ、わずかに圧迫を繰り返すだけで、リアルタイムに組織の硬さをカラーで画像化する技術です。探触子を押したときに生じる生体の歪みが、柔らかい部分では大きく、硬い部分では小さいという現象を利用しています。
 乳がん検診で精密検査が必要とされる方の中で実際に乳がんにかかっている方は少なく、従来の超音波検査にエラストグラフィを追加して使用することにより、精密検査が必要とされる方を減らすと共に、病変の発見率を向上できたとの報告がされています。また、病院においては鑑別診断として画像診断以外に穿刺吸引細胞診や針生検などの検査が行われていますが、エラストグラフィによりこれらの検査件数を減少させたとの報告がされており、患者さまの精神的、肉体的な負担の軽減が期待されています。
 現在では乳腺領域だけでなく、甲状腺、前立腺、整形、膵臓などの領域にもエラストグラフィの臨床応用が広がり、さらに肝臓、皮膚を始めとする他領域への適用拡大が期待されています。


4) 中外製薬、抗悪性腫瘍剤「アバスチン」の乳がんに対する効能追加を承認申請

・抗悪性腫瘍剤「アバスチン(R)」乳がんに対する効能追加の承認申請について
 中外製薬株式会社[本社:東京都中央区/社長:永山 治](以下、中外製薬)は、抗VEGF(血管内皮増殖因子)ヒト化モノクローナル抗体ベバシズマブ(遺伝子組換え)-販売名『アバスチン(R)点滴静注用100mg/4mL、同400mg/16mL』(以下、「アバスチン(R)」)の、乳がんに対する効能追加の承認申請を厚生労働省に行いましたのでお知らせいたします。
 海外で行われた第III相臨床試験から、化学療法未治療の進行・再発の乳がん患者さんにおいて、化学療法に「アバスチン(R)」を併用することで、主要評価項目である無増悪生存期間の統計学的に有意な延長が認められました。海外では、欧州において2007年3月、また、米国では2008年2月の承認以降、化学療法未治療の進行・再発乳がんにおいて化学療法との併用により使用されています。
 国内で実施した化学療法未治療の進行・再発乳がん患者さんを対象とする第II相臨床試験においても、日本人の患者さんにおける「アバスチン(R)」の有効性が確認されるとともに、忍容性も海外臨床試験と同等の水準にあることが示唆されました。
 日本において乳がんの新規罹患者数は年々増加しており、2010年の年間新規乳がん罹患患者数は45,000人強と推計されています[*]。オンコロジー領域のトップ製薬企業である中外製薬は、患者さんおよび医療従事者に早期に新たな治療選択肢が提供できるよう、承認取得に向けて取り組んでまいります。
[*] 大島・黒石・田島「がん・統計白書 -罹患/死亡/予後-2004」(篠原出版新社)
以上
アバスチン(R)について
 「アバスチン(R)」は、腫瘍の増殖と転移に必要な血管の新生に重要な役割を果たすVEGFに特異的に結合し、その作用を阻害する抗体医薬です。2004年2月に転移性の結腸・直腸がんの治療薬として米国で承認されて以来、治療ガイドラインで標準治療薬の一つに位置付けられています。乳がんに対しては、欧州では2007年3月、米国では2008年2月の承認以降、進行・再発乳がんの一次治療として使用されています。国内では、2007年4月に「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」を効能・効果として承認されました。承認後は特定使用成績調査を実施し、「アバスチン(R)」の適正使用の推進に努めてきました。
 なお、中外製薬は2008年11月に扁平上皮がんを除く非小細胞肺がんを効能・効果とした追加承認申請を行い、現在、審査中です。


http://fcm-news.blog.so-net.ne.jp/2009-10-16

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