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Aug 02, 2009****************************************
1.歯科医SOS 開業医増え減収、患者の受診手控え/宮城
2.松戸の2病院突然閉院 患者と職員、不安と戸惑い
3.妊産婦の心筋症、2万人に1人 厚労省研究班が初の調査
4.【病院の実力】精神科 15%が経験するうつ病
5.ぜんそく児童ら、行事で17人感染…新型インフル
6.【感染症と人の戦い】国立感染症研究所情報センター長・岡部信彦
7.緑黄色野菜の大腸がん抑制解明 埼玉県立がんセンター
8.民主党がマニフェスト公表 社会保障費の削減は撤廃、医学部定員1.5倍に
9.民主党の医療政策とその実現可能性を読む
10.特集:医療と総選挙2009
1) 「民主党マニフェストには80点あげてもいい」
2) 「民主党のマニフェストに点数付けられない」と日医
11.Breast CT Scanner Could Improve Cancer Screen Comfort
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1.歯科医SOS 開業医増え減収、患者の受診手控え/宮城
河北新報社2009年8月2日
歯科医師を取り巻く経営環境が東北で厳しさを増している。特に都市部では開業医が急増しているのに、不況で患者が受診を控える傾向にあるため。国の医療費抑制で、収入源の診療報酬は10年以上も横ばい。歯科医院によっては古い設備を使う不安を抱え、富裕層向け保険対象外医療に向かう流れも強まりかねない。しわ寄せは技術職の歯科技工士にも及んでいる。
<20年で600人増>
2006年12月現在で宮城県内の歯科医師数は約1750人(うち仙台市内1100人)。口腔(こうくう)ケア意識の高まりなどで20年間で600人増え、人口10万当たりで見ても53人から74.4人へと増えた。
宮城県歯科医師会によると、平均的な歯科医が1カ月に診る患者の実数は約240人。1人が月2回通ったとして1カ月に各種保険から支払われる診療報酬は約300万円で、そこから人件費、医療機器代、技工士に外注する詰め物の技工料などが引かれる。一般に歯科医は高コスト体質だ。
仙台市の40代の開業医は「世界不況以降、患者が減り、高齢者も内科通いが精いっぱい。診療報酬は低く、将来が不安」と語る。
<自費診療に力>
収入減は、耐用年数を過ぎた機器使用、スタッフ削減など安全安心の問題に直結する。こうした中で、医療費が高額な無保険の自費診療を手掛ける医師が増えている。歯が欠損した後に人工歯根を埋め込むインプラント、歯を白くするホワイトニングなどだ。
宮城県歯科医師会の細谷仁憲会長(62)は「パイが小さくなって診療報酬外で賄おうという気持ちは分かるが、患者の富裕度によって治療に差が出る。国民が等しく適切な治療を受けられることが原則」と話す。
インプラントなどは効果が認められているものの、歯科医によって技量のばらつきが指摘される。患者への事前説明が十分に行われず、後にトラブルとなるケースも。
診療報酬に関しては、患者1人の平均額が一定以上を超えると厚生労働省が「指導」を行う。
患者数が少ない歯科医院ほど、1人を月に何度も診る時間的余裕があるため高くなりやすい。「イメージダウンになる指導を避けようと自費診療に走る」(50代の開業医)という側面もある。
<年収は200万円>
患者の減少などは技工士業界も直撃。技工所1軒当たりの歯冠修復や義歯作成の受注が激減し、単価も引き下げられた。
宮城県歯科技工士会の佐藤誠会長(61)は「若手の年収は200万円ほど。量をこなそうと深夜まで作業に追われ、離職者が絶えない」。全体の3割が60代以上で「10年後には歯科医を下支えする人材がいなくなる」と危機感をあらわにする。
全国の歯科医らでつくるNPO法人「みんなの歯科ネットワーク」理事の山田真氏(39)=仙台市=は「国の低医療費政策は見直す時期にきている」と訴えている。
2.松戸の2病院突然閉院 患者と職員、不安と戸惑い
千葉日報社2009年8月2日
松戸市の五香病院と新八柱台病院が、7月31日で閉院となった。いずれも病床数60を超える民間総合病院で、職員が閉院と解雇されることを知らされたのは数日前。詳しい理由は説明されていないという。約90人の入院患者は31日までに転院したが、一夜明けた1日も病院を訪れる患者の姿も。職員は7月分の給料も支給されておらず、不安と戸惑いが広がっている。
県医療整備課によると、28日に五香病院から「(新八柱台病院とともに)7月末で閉院する」という連絡があった。同課は「入院患者の転院に最善の努力をしてほしい」と要請。県医師会と松戸市医師会などにも協力を求めたという。
五香病院には46人、新八柱台病院には42人の入院患者がいたが、31日に五香病院から同課に「(2病院の)すべての入院患者の受け入れ先が決まった」と報告があった。同課は「2病院とも医師不足が原因ではないと聞いており、地域医療が厳しい中での閉院は残念」としている。
3.妊産婦の心筋症、2万人に1人 厚労省研究班が初の調査
朝日新聞社2009年8月2日
出産前後に心臓病を突然発症する「周産期心筋症」が2年で約100人に発生しており、亡くなった人も3人いることが、国立循環器病センター(大阪府)を中心とする厚生労働省研究班による初の全国的な実態調査の中間報告で明らかになった。2万人に1人程度の発生頻度で、研究班は今後、早期発見に向けた分析を進める。
周産期心筋症は心臓のポンプ機能が低下する。原因ははっきりしていない。海外の研究では半数は回復するが、半数は出産後も心機能の低下など後遺症が残るとされる。
解析した国循センターの神谷千津子医師によると、研究班は、全国の周産期、救命救急などの専門医認定施設(計1478施設)を調べ、07~08年では、約100人の治療例が集まった。国内で出産する人は年間約100万人。調査対象の施設で、国内の周産期心筋症例をほぼ拾い出せると考えられ、現時点で2万人に1人の発生割合になる。昨年、脳出血した妊婦が複数の施設に救急搬送を断られ亡くなったことが問題になったが、妊産婦の脳血管障害(1万人に1人)に匹敵する割合だという。
詳細な解析が終わったのはこのうち5月末までに集めた22~43歳の73人。発症時の症状(複数回答)では呼吸困難が60人と最も多く、せき29人、むくみ22人、全身のだるさ15人が続いた。重症例はショック症状や意識障害なども伴い、発症後まもなく3人が亡くなっていた。発症時期は産後が54人と7割以上。なかでも、産後1週間以上たってからの発症は半数を占めた。妊娠中の発症は18人だった。
慣れない医療機関が妊娠、出産に関連した心筋症と思わず、別の病気と考えて処置が遅れる恐れもある。
全体の4割近い27人が妊娠高血圧症候群を合併。多胎妊娠が11人、早産を防ぐ薬物治療経験がある人も10人いた。一方で合併症も既往歴もない人で16人が発症していた。
出産の高齢化や生殖補助医療に伴う多胎妊娠が増える傾向にある。研究班はこうした人たちは心筋症が起こるリスクが高い可能性があるとみて、さらに分析する。
4.【病院の実力】精神科 15%が経験するうつ病
読売新聞社2009年8月2日
周囲のサポート大切
今回の「病院の実力」は、精神科のある主要病院にアンケートした。岩手版では、精神科の代表的な病気のうつ病や統合失調症などの昨年1年間の新規患者数と、患者のカウンセリングや社会復帰を支える臨床心理士、精神保健福祉士の人数を掲載した。
うつ病 うつ病は、気分の落ち込みや意欲の低下、不安、焦燥、不眠、食欲不振などが続く病気。しびれや痛みといった異変が体に生じたり、「自分は価値がない人間」などと思い込んだりすることもある。
発症時期は、20~30歳代と50歳代前後の二つのピークがある。15%前後の人が一生のうちに1度はかかるとされ、自殺の大きな原因でもある。
治療は抗うつ薬、睡眠薬、抗不安薬などで行うが、カウンセリングも重要だ。
急性期の症状は1~3か月で治まり、完治する人も多い。
統合失調症 統合失調症は、高校生や大学生など20歳代までに発症するケースがほとんど。幻覚と妄想が代表的な症状となって現れる。国内の患者は70万人を超える。
幻覚では、誰かが自分の悪口を言っている声が聞こえてくるなどの幻聴が多く、幻が見える幻視はまれだ。
妄想は主に被害妄想で、危害を加えられるなどと思い込むことがある。ほかに、まとまりのない会話や意欲の欠如などの症状もよくみられる。
こうした症状は、ストレスによる一過性の可能性もあるため、1か月以上続いた場合に統合失調症と診断される。ただ、統合失調症は1度発症すると、完治することはない。症状は治まっても、安定した日常生活を送るためには治療を一生続ける必要がある。
治療の中心は抗精神病薬。かつては便秘や手が震えるなどの副作用が出たが、ここ10年ほどで新薬が次々と登場し、副作用の心配は減った。
サポート態勢 精神の病気には、医師、看護師以外にも様々な人がサポートにあたっている。
臨床心理士は、カウンセリングが主な仕事で、患者が困っている点や悩み事の相談に乗る。患者が病気について理解するための教育なども行い、患者が自分の病気に対処する力を養う手助けをする。
精神保健福祉士は、社会保障や就労支援の手続きなど、主に患者の生活向上や社会復帰などを支援する。作業療法士が、リハビリや買い物の訓練にあたることもある。
独立行政法人国立病院機構・花巻病院の石丸正吾医師(35)は、「精神の病気の治療には、薬だけでなく、周囲のサポートが大切」とアドバイスする。
精神的な病気の多くは、最初に不眠に陥る。ショックな出来事の直後に眠れなくなるのは当然だが、1週間近く続いた場合は注意が必要。病気の場合もあるので、医師に相談してほしい。
統合失調症の場合、前兆として「過敏性」が挙げられる。発言が自分に向けられていると意識したり、物音が人の声に聞こえたりするなど、音や視線に過敏に反応するようになる。
もっとも、統合失調症の患者の幻覚や妄想は、年齢を重ねると徐々に弱まっていく傾向がある。反面、意欲の欠如などは加齢とともに進行しやすい。
うつ病の場合は、胃潰瘍(かいよう)、円形脱毛症、手足のしびれなどの身体症状が先に現れ、内科を受診した後に発病がわかることも多い。
意外なケースでは、会社での昇進をきっかけに発病する人がいる。うつ病は、きまじめで几帳面、仕事熱心な人に多い。周りからは幸せそうに見える状況でも、期待に応えようと1人ですべてを抱え込んでしまうためだ。
うつ病の患者に最も大切なのは、ゆっくりと休養をとること。「さぼっている」と負い目を感じがちだが、抗うつ薬などの薬物療法も休養をとるための手助けになる。周囲の人は、励まさずに、ゆっくりと休める環境を作ってあげてほしい。
大事なことは、精神科の受診をためらわないでほしいということ。受診しなかった結果、患者が自殺するなどの事態になれば、より多くの人が傷つく。近くのクリニックでも構わないので、疑わしい場合は思い切って足を運んでほしい。
5.ぜんそく児童ら、行事で17人感染…新型インフル
読売新聞社2009年8月2日
川崎市は1日、ぜんそくの児童を対象にした市主催の自然体験事業で、新型インフルエンザの集団感染が起きたと発表した。感染したのは小学4~6年の男女11人と、ボランティアの大学生ら6人。重症者はおらず、自宅で療養している。
事業は7月28~31日に長野県富士見町で行われ、児童147人が参加。空気のきれいな場所で体を鍛える目的で、野外炊飯などを楽しんだ。30日にスタッフの男子大学生(21)の感染がわかり、発熱やせきの症状を訴えた児童らを検査したところ、さらに16人の感染が判明した。
6.【感染症と人の戦い】国立感染症研究所情報センター長・岡部信彦
産経新聞社2009年8月1日
限られた資源、ワクチン
「限られた資源を大切に」というのは、環境保護の世界だけの話ではない。新型インフルエンザへの新たな対抗手段として今、生産が進んでいる予防接種用の「パンデミックワクチン」にもこの原則は当てはまる。WHOは全世界の最大生産量を年間で約25億~50億人分と見込むが、地球上には約68億人が暮らしている。すべての人々に行きわたる数には足りない上、メーカーの大半は欧米を拠点とし、途上国にはワクチンがない。
国内でも潤沢な量とはいえない。先日、舛添要一厚労相が「5300万人分が必要」と発言した。ところが毎年のインフルエンザの場合、国内のワクチン生産は年間3千万人分程度。ここからパンデミックワクチンの生産量も推し量れる。つまり全国民分はないのだ。足りなければ「たくさん作ればいいではないか」と思われるかもしれないが、鶏の有精卵をワクチン生産に使うため、急に産卵数や鶏を増やしたりするのは難しい。
「足りない分は、輸入すればいい」との意見もある。だがWHOが「製造ワクチンの10%は途上国向けに供与を」と求めており、日本が他国から大量のワクチンを購入すれば、金持ち国家の買い占めと受け取られるだろう。約50年前、国内でポリオ(小児まひ)患者が相次いだときは、当時わが国にはなかったポリオワクチンをソ連、カナダなどから緊急輸入して、ポリオ発生を劇的に抑えた例がある。果たして今回は緊急輸入を要するほど切迫した状況なのか。安全性に問題はないか。慎重に見極めるべきだ。
ここでもう一つ問題が浮かびあがる。限られた量のワクチンを、どのような目的を持って誰に優先して接種すればいいのか。これは医学的判断だけでなく、社会のコンセンサスが必要だ。国民の誰にも関係があるのに、この点がまだ広く議論されていない。
国際的にも優先的に考えられているのは「医療従事者」だ。医師・看護師らの生命が他より重いというのではない。人々への医療を維持するために必要なのだ。その次に優先度が高いのが、慢性疾患あるいは妊婦などのハイリスクな人たちで、ようやく次に広く健康人を対象にすることになる。その中でも、将来を担う若者や子供が優先なのか、どうかといった方針決定が必要になる。
もしこのまま何の議論もわき起こらず、突然、方針が発表されれば、順位付けが低かった人は「どうして自分のところにワクチンが来ないのか」と考えるだろう。新聞や、ラジオ・テレビでの議論でもいいし、アンケートでもいい。わが国で多くの人に受け入れられる接種順位はどのような姿なのか、メディアが国民に問いかけることも必要ではないだろうか。
どんなワクチンにも言えるように、パンデミックワクチンも万能ではない。「打ったのにかかった」という場合だけでなく、副作用を思わせるような稀(まれ)な重症例の発生も覚悟しておくべきだろう。
今冬のインフルエンザの流行時期にあわせ、ありあまるほどパンデミックワクチンが用意されるというのは幻想にすぎない。治療薬などほかにも対抗手段があることをふまえて、落ち着いて判断し、限られたものを大事に使おうという考えが必要だ。
7.緑黄色野菜の大腸がん抑制解明 埼玉県立がんセンター
共同通信社2009年8月1日
埼玉県立がんセンター・臨床腫瘍研究所(川尻要専門員)らのグループは31日までに、緑黄色野菜に多く含まれるインドール化合物が大腸がんの発生を抑制する仕組みを解明、米科学アカデミー紀要電子版に発表した。
グループによると、緑黄色野菜が大腸がんの予防に効果があることは以前から知られていたが、どのような仕組みで効果が生じるのかは分かっていなかった。今回の研究で、インドールがAhRというタンパク質を活性化させ、がんを引き起こす物質β―カテニンを分解するメカニズムが初めて明らかになった。大腸がんの予防法の開発への応用が期待される。
インドール化合物は、ブロッコリーやキャベツ、カリフラワーなどアブラナ科の野菜に多く含まれる。
グループによると、大腸がんは、細胞増殖を進めるβ―カテニンとそれを分解するタンパク質APCとの割合が遺伝子変異で崩れ、β―カテニンが過剰に蓄積することで発症するとされていた。
8.民主党がマニフェスト公表 社会保障費の削減は撤廃、医学部定員1.5倍に
日経メディカル2009年7月31日
民主党は7月27日、次期衆院選に向けたマニフェスト(政権公約)を発表した。医療政策については別に詳細版が作成され、医療費増大、医師数増員などが盛り込まれたが、財源確保策には懸念もある。
政権交代をかけた民主党のマニフェストは、家計支援策を前面に盛り込む一方で、「5つの約束」の一つに「年金・医療」を掲げ、「社会保障費2200億円削減の撤廃」「後期高齢者医療制度の廃止」「医学部定員数1.5倍」などの政策を打ち上げた。
また政権公約とは別に、民主党の考え方を明らかにした「民主党政策集」および「医療政策<詳細版>」を作成し、政権交代後の医療政策の詳細を示した(表1)。
地域入院医療の再生が急務
民主党の医療政策の中で特に注目されるのは、「社会保障費削減の撤廃」と「地域医療を守る医療機関の入院関連の診療報酬アップ」だ。
まずは与党が2006年に打ち出した社会保障費の抑制方針を、医療崩壊の元凶と位置付け撤回する。診療報酬増額策は、医師不足などで崩壊しつつある地域の病院の入院機能回復が目的で、マンパワー強化のための元手を提供するものだ。
民主党参議院議員の鈴木寛氏は、「地域医療を担い、医師や看護師などの増員に努めている病院は報酬を1.2倍にする考えもある」と話す。 病院向けの対策が目立つ中、診療所向けとしては、「外来管理加算の5分要件の撤廃」などを予定している。 同党の医療政策は、一言で言えば医療費増大政策といえる。「社会保障費削減をやめ、財源を確保しつつ、医療再生のため4年間で5兆円近い財源を投入する」と鈴木氏。
問題は、医療費増大の財源を確保できるかだ。鳩山由紀夫代表は、27日の記者会見で、「官僚任せの予算編成をやめ、政治主導で予算の骨格を決定する仕組みをつくり、無駄を一掃して必要な財源を確保する」と説明した。具体的には、不要不急な公共事業をやめるなどの効率化で国の総予算207兆円を組み替え、税金の無駄遣いを根絶するという。
示された財源策は具体性に欠けるものが多いが、「例えば、09年の道路特定財源の一般財源化で、与党が社会保障費に割り当てたのは5兆6102億円の財源のうちのわずか1%。ゼネコンから献金を受けていない民主党ならば、公共事業の無駄を断ち切り、その分医療費を大幅に増やすことも可能」と鈴木氏は言う。
日本福祉大副学長の二木立氏は民主党の掲げる医療政策について、「医療費を増やし、医師数の数値目標を掲げたのは画期的。ただ、無駄遣いの是正だけでは、長期的な安定財源は確保できない」と指摘する。
政権交代が実現しても、消費税や保険料の引き上げの議論を早急に始めないと、政策全体が絵に描いた餅に終わる可能性もある。
9.民主党の医療政策とその実現可能性を読む
日経メディカル2009年8月1日
二木 立(日本福祉大学教授)
「政界は一寸先は闇」といわれますが、8月30日投票の総選挙に限っては、民主党が第一党になり、現在の自公連立政権に代わって、民主党を中心とする政権(以下、民主党政権)が誕生することはほぼ確実といわれています。そこで、本稿では、民主党の医療政策を、現政権の医療政策との異同に注目しながら、概括的かつ中立的に検討します。
その際、民主党が7月27日に公表した「マニフェスト」中の医療政策および「医療政策<詳細版>」(以下、「詳細版」)だけでなく、本稿執筆(7月31日)までに入手できた、2003年以降の民主党の一連の医療政策、および「詳細版」の原案、民主党幹部の発言も紹介します。それにより、民主党の医療政策の形成・変化のプロセスが分かるからです。
医療費と医師数の大幅増加の数値目標
民主党の医療政策で最も注目すべきことは、医療費と医師数の大幅増加の数値目標が示されたことです。具体的には、「OECD平均の人口当たり医師数を目指し、医師養成数を1.5倍にする」、「総医療費対GDP比をOECD加盟国平均まで今後引き上げていきます」と明記されました。もちろん、「自公政権が続けてきた社会保障費2200億円の削減方針は撤回する」とされています。
実は、民主党は、わずか2年前の「マニフェスト2007」までは、医療費総額の拡大は掲げていませんでした。それどころか、「民主党の考える医療改革案」(2006年4月)では、逆に、無駄の排除と予防医療の推進により「中長期的には医療費総額・医療給付費はいずれも政府の推計値を下回る可能性が高い」という、自民党や厚生労働省と類似した主張すら行っていました。
このことを考慮すると、今回の民主党の医療政策の転換・発展は画期的と言えます。公平のために言えば、自公政権(福田・麻生首相)も、「骨太の方針2008」で医師数抑制政策を見直し、「骨太の方針2009」で小泉政権が定めた社会保障費抑制の数値目標を事実上見直しましたが、医師数・医療費の「大幅増加」には踏み込んでいませんし、小泉政権の数値目標も名目上は維持しています。
それだけに、もし民主党の医療政策が実現すれば、1980年代以降四半世紀続けられてきた医療費・医師数抑制政策の根本的転換となることが期待されます。
個々の医療政策も現実化・具体化
次に、民主党の個々の医療政策を検討します。
医療保険制度では、「国民皆保険制度の維持発展」を大前提とした上で、「後期高齢者医療制度の廃止と医療保険の一元化」が掲げられおり、この点では現行制度の維持を主張する現政権とは大きく異なります。ただし、直嶋正行民主党政調会長は、すぐに元の老人保健制度に戻すのではなく、新制度を検討した上で廃止すべきとの私見を明らかにしており、激変は避けるようです(「中日新聞」7月28日朝刊)。
また、「医療保険の一元化」は「将来」の目標とされ、「マニフェストの工程表(2010~2013年度)」にも含まれておらず、事実上棚上げされています。他面、「わが国の医療保険制度は国民健康保険、被用者保険(組合健保、協会けんぽ)など、それぞれの制度間ならびに制度内に負担の不公平があり、これを是正します」と明言していることは注目に値します。以上から、民主党政権の下でも、医療保険制度の「抜本改革」はなく、「部分改革」が積み重ねられると思います。
「医療提供体制の整備」については、現行の制度・政策との整合性を重視した「部分改革」がより鮮明です。医療提供体制についての現政権の政策との大きな違いは、「当面、療養病床削減計画を凍結し、必要な病床数を確保する」、「総枠としての療養病床38万床を維持しなければならない」と明記していることです。実は、民主党は上述した2006年の「医療改革案」では、「病床数削減」を前面に掲げ、一般病床を26万床、精神病床を7万床、療養病床を11万床削減するとしていました。本年の「マニフェスト」は、療養病床に限らず、一般病床・精神病床についても病床削減は掲げておらず、大きな方向転換といえます。
さらに、2008年診療報酬改定で導入された「外来加算の5分間要件」も「診療所負担の軽減を図るために撤廃」と明記しています。民主党がこの方針を明記したのはこれが初めてで、「詳細版」の原案にも含まれていませんでした。
公的病院偏重の疑念
このように、民主党の医療政策には、医師や病院に配慮したものが少なくありませんが、2つの疑念が残ります。
第1の疑念は、公的(大)病院偏重という疑念です。それが一番鮮明なのは「地域医療を守る医療機関を維持」の項で、「医師確保などを進め、地域医療を守る医療機関の入院については、その診療報酬を増額します」、「4疾病5事業を中核的に扱う公的な病院(国立・公立病院、日赤病院、厚生年金病院等)を政策的に削減しません」と書かれています。実は「詳細版」の原案では、前者は「…公益性のある病院の入院については、その診療報酬を2倍」とすると書かれ、公的病院偏重がより鮮明でした。
逆に、「マニフェスト」・「詳細版」とも、日本の地域医療の大半を支えている民間中小病院や診療所の役割に対する言及はまったくありません。一般には、救急医療の主役は自治体病院や公的病院というイメージがありますが、それは誤りで、全国的に見ても、救急搬送患者の57%は民間医療機関が受け入れており、しかもこの割合は大都市部で特に高くなっています(加納繁照医師)。
また、「マニフェスト」と「詳細版」で最終的に削除されたとはいえ、特定の(公益性のあるとみなされた)病院の入院のみを対象にして診療報酬を2割も引き上げる政策は、極めて恣意的であるだけでなく、同じ医療サービスに複数の価格(一物二価)を持ち込む「禁じ手」といえます。
中医協改革への疑念
もう1つの疑念は、上述した「地域医療を守る医療機関を維持」の項の最後に書かれている「中医協の構成・運営等の改革」です。この短い一文だけでは真意は分かりませんが、「毎日新聞」7月23日朝刊の報道では、岡田克也幹事長は「診療側」代表の日本医師会について、「医師会は開業医中心だ。利害関係者が自分たちの取り分を決めた政府の制度は他にはない」と指摘し、診療報酬改定は「最終的には国会で議論して決める」と表明したそうです。
私自身も、診療報酬の改定率を最終的に国会で決めることに賛成ですし、中医協の委員に患者代表を増やしたり、医師・病院代表以外の医療職を新たに加えるという構成の改革を行うことにも賛成です。
しかし、岡田幹事長の発言は、次の2点を無視しています。①中医協の診療側委員には既に事実上の病院団体代表が2名加わっており、最近の診療報酬改定は決して開業医が「自分たちの取り分を決める」ものとはなっておらず、逆に病院に最大限配慮した改定が行われている。②中医協は公開の場で診療報酬の改定を審議するだけでなく、改定後の影響を詳しく調査し、その結果を(不十分ながらも)次回改定に生かすなど、他の政府委員会よりもはるかに透明で公正な運営が行われている。
私の知り得た範囲では、岡田幹事長に限らず、民主党幹部には、このような中医協の優れた構成と運営についての理解がない方が少なくありません。それだけに、民主党政権が成立した場合、中医協改革が「官僚政治打破」のシンボル化され、大きな混乱が生じる危険があります。
医療費財源拡大の長期見通しが示されていないが
民主党の他の政策と同じく、医療政策の最大の弱点も、医療費拡大のための財源の長期的見通しが明確に示されていないことと言えるかもしれません。民主党は「マニフェスト」で、「国の総予算207兆円を全面組み替え」、税金の無駄使いの根絶と「埋蔵金」の活用等により16.8兆円(2013年度)を捻出できると主張していますが、この試算に対しては、現与党(自民党・公明党)だけでなく、すべての全国紙が疑念を呈しています。私自身も、日本がアメリカと並ぶ「小さな政府」であることを考慮すると、無駄の排除と埋蔵金の活用だけでは、公的医療費拡大の長期的な安定財源は確保できないと考えています。
ただし、この点をもって民主党のみを批判するのは公正ではないとも思います。その理由は2つあります。
1つは、民主党も長期的には消費税を医療・社会保障拡大の主財源と考えており、自民党との違いは引き上げの実施時期だけといえるからです。民主党の「マニフェスト」は、大企業の負担増や所得税の累進性の強化等、格差是正につながる税制改革を正面から掲げていない点でも、自民党と類似しています。もう1つは、民主党も一枚岩ではなく、医系議員を中心にして、社会保険料の引き上げを正面から主張する議員も少数存在し、この点でも自民党と類似しているからです。
民主党の医療政策はどこまで実現するか
以上、民主党の医療政策を概括的・中立的に検討するとともに、その実現可能性にも言及してきました。私は民主党の医療政策が総体的にどこまで実現するかは、総選挙の結果により相当変わると判断しています。もし民主党が、4年前の総選挙での小泉自民党のように大勝すれば、上述した疑念のある改革(中医協改革等)も相当実現する可能性があると思います。
しかし、民主党がほどほどに勝利し、社民党や国民新党と連立政権を組み、しかも自民党も相当の議席を確保した場合には、与党内・与野党間の調整により、新政権の医療政策は「マニフェスト」よりもさらに現実化すると思います。と同時に、税金の無駄使いの根絶と埋蔵金の活用だけでは、医療費大幅増加の財源が捻出できないことは早晩明らかになると予測しています。
さらに、民主党政権が成立した場合には、日本医師会等の医療団体と政党の関係が劇的に変化するのは確実です。従来は、自民党政権が「永久政権」の様相を呈していたために、日本医師会等の自民党一党支持も合理化されてきました。しかし、自民党が野党に転落した場合には、その根拠が崩壊し、日本医師会等は政権党を中心とした各政党に、「民間学術専門団体」の立場から、積極的な政策提言を行うことになると思います。それにより、日本医師会等と政党との間に健全な緊張関係が生まれ、しかもそれが可視化されます。これは政権交代がもたらす大きな効果といえます。
10.特集:医療と総選挙2009
1) 「民主党マニフェストには80点あげてもいい」
茨城県医師会会長・原中勝征氏に聞く
7月27日、民主党が総選挙を前に「民主党の政権政策Manifesto2009」を公表した。東京都議会議員選挙で大勝し、今回の総選挙後、民主党政権が誕生する可能性が高まっているだけに、医療関係者にとって、その内容が気になるところだ。そこで、民主党支持を表明している茨城県医師会会長の原中勝征氏に、マニフェストを“採点”してもらった。
―民主党のマニフェストは、ずばり何点でしょう。
原中 75点から80点の合格点を付けられる。最も評価できるのは、月額7万円の最低保障年金の創設を盛り込み、国民生活の最低ラインの引き上げをうたっている点だ。高齢になって1人で生活できなくなると、老人ホームに入らざるを得ない人も多いが、今は、食費など自費部分が増えてきており、現在もらっている年金額では入所できない高齢者が少なくない。年金の最低額引き上げは貴重な施策だ。
―先生方が、自民党支持を見直すきっかけになった後期高齢者医療制度については「廃止」と明記されています。
原中 マニフェストに記載し、きちんと国民と約束したことで一安心だ。それに伴う国民健康保険への税金投入や、将来の一元的な医療保険制度の創設についても納得できる。人間は、生まれてから死ぬまで同じ医療保険に加入するのが当然なのに、これまでは財源対策のために医療保険制度が複雑になっていた。
―医師不足対策として、医師養成数を1.5倍に増やすとしていますが。
原中 当面の解決策としては大事なことだと評価している。医師過剰や医療費増加など、それがもたらす弊害は後で考えればいいと思う。新たにメディカルスクールを開設するのではなく、今ある大学医学部の定員増で医師を増やそうというのは正しい。
診療所軽視の再考を望む
―社会保障費の2200億円の削減方針を撤回し、診療報酬の増額を打ち出していますね。
原中 だが、マニフェストには「医療機関の診療報酬(入院)を増額」と記載されており、残念だ。病院の医療従事者が直面している当直やいわゆる3K問題、そして低賃金への対策として、カッコ付きで「入院」と書き込んだのではないか。しかし、現実には患者の8割は診療所が診ている。その院長の収入は必ずしも高くはない。
医療費全体の引き上げこそ大切だ。もし診療所が廃業に追い込まれたら、外来患者が病院に押し寄せ、救急医療を行うのに支障が出かねない。地域医療は、診療所、急性期型の病院、慢性期型の病院などの連携によって成り立っているのだから、一部分にだけお金を入れても全体はうまく回らない。医療全体をうまく動かすのが政治家の仕事のはずだ。
―急性期病院がクローズアップされ過ぎていると?
原中 厚生労働省は、診療所向けの財源を病院に付け替え、戦略的に開業医と勤務医の分断を図ってきた。民主党には、あらゆる医療機関を総合的に支える政策を望みたいだけに、マニフェストで診療所のことが言及されていないのは不満だ。医療界についての知識が、まだ不足しているのではないか。
「5分ルール」の撤廃は当然
―診療所といえば、マニフェストに先駆けて公表した「政策集INDEX2009」で、外来管理加算の5分ルール撤廃をうたっています。
原中 5分ルールは医療費削減の目的で導入された。患者の中には、1分で診療が終わる人もいれば、30分かかる人もいる。患者に十分説明し、責任のある医療が行われるのであれば、こんな制限は必要ない。
―レセプトのオンライン請求については、「『完全義務化』から『原則化』に改め」という表現になっています。
原中 オンライン請求が強行されると、開業医の25%が廃業するという調査結果もある。これまで紙での請求を認めてきているのだから、義務化せず努力目標でいいはずだ。
―厚生年金や社会保険の病院は、公的なまま存続させる方針です。
原中 一時的には、マニフェストに盛り込まれた「地域医療推進機構(仮称)」のような形で残すのもやむを得ないと思うが、最終的には民間病院にするべきだと思っている。
―自民党サイドからは、「財源の裏付けが乏しい」という批判も上がっていますが。
原中 マニフェストは、理想論を書くべきものだと考えている。そもそも、これまでお金の問題を隠して行政に当たってきたのは、自公政権だ。年金問題のように、ちょっとした行政のほころびから大きな問題が表面化している。官僚制度や天下り、特別会計の廃止などを実現するためには、やはり政権交代が欠かせない。
2) 「民主党のマニフェストに点数付けられない」と日医
自民党支持を打ち出している日本医師連盟を政治団体に持つ日本医師会は7月29日、定例記者会見の場で、常任理事の中川俊男氏が「民主党の政権政策Manifesto2009」に対する見解を明らかにした。
「骨太の方針」に基づく社会保障費2200億円削減の撤回、医療費引き上げの方針については、「かねてから日本医師会が主張してきた通り」として評価する一方、後期高齢者医療制度の廃止などのための政策実行の財源が明示されていないこと、診療報酬の増額が病院、特に公立・公的病院に偏っているように読み取れることへの懸念を示した。
また、医師養成数を1.5倍として、OECD平均の水準を目指すことに関しては、「日本の医療提供体制の特性を考慮していない」と切り捨て、1.1~1.2倍程度の増員とすべきとし、「マニフェスト全体としての点数は付けられない」とした。
また、中央社会保険医療協議会(中医協)の透明性について、民主党幹部が疑問を呈していることに対し、「中医協は透明性の高い審議会であり、前回改定では診療所の財源を病院にシフトした経緯もあるように、開業医への利益誘導を行っているわけではない。診療報酬の決定は現場を知らなければできない」(中川氏)と反論した。
11.Breast CT Scanner Could Improve Cancer Screen Comfort
Researchers study system designed for diagnosis as way to treat disease
HealthDay News2009年8月1日
Breast computed tomography (CT) scans, already used experimentally to diagnose breast cancer, may also be able to treat it, a California researcher reports.
"Breast CT is superior to mammography for [detecting] masses," said John Boone, vice chair of research radiology at the University of California Davis. He presented information about the potential of breast CT for treatment this week at the American Association of Physicists in Medicine meeting, in Anaheim, Calif.
Since 2004, Boone has led a group of UC Davis researchers in developing the breast CT scan for diagnosing breast cancer in women. The technology's pluses, said Boone, include being more comfortable than conventional mammograms but just as safe.
More than 200 women have been scanned with the custom-designed breast CT prototype scanner, he said. The technology has not yet made its way into clinical practice, he said, but preliminary results look good. "Breast CT is still experimental for diagnosis," he said. But it is already looking to be more effective than traditional mammography at detecting breast masses.
More work needs to be done to find microcalcifications, tiny specks of calcium which don't always mean cancer is present but bear checking, he added.
Next, Boone hopes to use the breast CT scanner to guide interventional procedures such as a robotic biopsy, radiofrequency ablation and cryoablation to treat breast cancer.
With the breast CT scanner, a woman lies on her stomach, face down on the table while the breast drops through a hole in the table; the CT scanner then rotates around the breast. The position is considered more comfortable, especially for big-breasted women.
Boone hopes that the new scanner could be used to perform image-guided therapies such as the technique known as radiofrequency ablation. "It literally heats up the tissue, cooks the tumor and kills the tumor," he said. It may help some women avoid lumpectomy and follow-up radiation therapy.
"The concept is good," said Dr. Chika Madu, an assistant professor of radiation oncology at Georgetown University Hospital in Washington, D.C.
But she added a caveat that the energy level talked about by Boone may have to be adjusted. "It may come at a price of increased toxicity to the skin," she noted.
The technique may not work for all cancers or all women, she added. "In small-breasted women, not enough breast may come through the hole sufficiently [to treat]," she said. Cancer that is close to the chest wall rather than the nipple may not be treatable by this technique either, she said.
Even so, Madu said, "I think it's worth exploring."
Boone's study was funded partially by the industry, including Varian Medical Systems, Fuji Medical Systems and Hologic Corp.
In another presentation at the same meeting, Michael O'Connor, a professor of radiologic physics at the Mayo Clinic in Rochester, Minn., reported on molecular breast imaging (MBI), a new technique that uses gamma cameras designed for breast imaging.
"The devices look somewhat like a mammography unit," he said. A small amount of radioisotopes is given intravenously and is taken up by any tumors in the breasts, he said.
In a study of 1,000 patients, mammography picked up three cancers but MBI picked up 10, he said.
Next, O'Connor hopes to reduce the dose of radioisotopes and begin a clinical trial. The technique is expected to especially benefit women with dense breasts, for whom mammography is not as accurate at cancer detection.
Efforts to find ways to detect small cancers that can't be felt on exams should be stepped up, said Dr. Gary Whitman, a professor of radiology at M.D. Anderson Cancer Center in Houston. Other studies suggest MBI has promise, he said, but O'Connor's finding "would need to be confirmed."
http://fcm-news.blog.so-net.ne.jp/2009-08-02