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Aug 21, 2009
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1.[解説]病気腎移植再開へ
2.手術なしで子宮内膜症の診断が可能に、医学研究
3.【新型インフル】正式に「流行」入り 国立感染症研究所
4.感染拡大防ぐには、児童・生徒に最優先でワクチン接種
5.新型インフルエンザ:「本格流行」 重症化防止が焦点 持病持ち、妊婦は要注意
6.インフル阻止へ「親子にワクチン」が効果的 米研究
7.ワクチン確保、国による一括購入も検討 新型インフル
8.全腎協 新型インフルエンザ対策について厚生労働省に要請
9.心臓突然死を防ぐ
10.蕁麻疹にレセルピン 抗ヒスタミン薬との併用で難治例が改善
11.帯状疱疹予防に水痘ワクチン 神経痛発症率を65%下げるとの報告も
12.小児のインフルエンザに対するノイラミニダーゼ阻害薬の実力
13.若年女性に対する子宮頸がんスクリーニングは有効か?
14.HPV 16の短期的持続感染は、数年後の子宮頸がん初期病変を強く予測する
15.薬剤師と医師の共同チームが心不全患者の入院を減らす
16.コルチコステロイド剤は咽頭炎の疼痛緩和に有効な可能性
17.厳密な血圧コントロールは左室肥大を退縮させる
18.HIV管理のプライマリケアガイドラインが改訂される
19.プレスリリース
1) ノボ ノルディスク、持効型溶解インスリンアナログ製剤「レベミル」の安全性プロファイルを確認
2) ロシュ・ダイアグノスティックス、核酸同定試薬「コバスTaqMan MAI」を発売
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1.[解説]病気腎移植再開へ
読売新聞社2009年8月21日

研究」名目で残るリスク
 医療機関を全国展開する徳洲会グループは、批判を浴びて2006年から自粛していた病気腎移植を臨床研究として近く再開する。
 ◆要約
 ◇病気腎移植が行われる背景には、国内での深刻な臓器不足がある。
 ◇がんの発症例はないとされるが、専門家は「リスクが高い」と指摘している。
 病気腎移植は、腎臓がんや腎動脈瘤などの治療のために摘出した腎臓を、慢性腎炎などの患者に移植する手法だ。宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)で06年、腎移植を巡る臓器売買事件が発覚し、同病院の万波誠医師らが1991年以降、計42例を実施していたことがその後、明らかになった。
 批判の的になったのは、がん発症のおそれがある病気腎を第三者に移植したことに加え、病気腎の提供者と移植希望者の双方に事情をきちんと説明せず、文書による同意も得ていなかったことだ。日本移植学会などは07年、「閉鎖的環境で行われた実験的医療で現時点で医学的妥当性はない」とする声明を発表。厚生労働省も同年に臓器移植法の運用指針を改正して、病気腎移植を原則禁止とした。
 一方、万波医師らが病気腎移植を続けてきた背景には、国内での深刻な臓器不足がある。
 日本臓器移植ネットワークに登録する腎移植希望者は7月末現在で1万1538人。これに対し、移植を受けたのは08年で約1割の1201人。うち83%は親族などの健康な身体にメスを入れ、摘出した腎臓を使う生体移植。心臓死した人からの摘出は15%、臓器移植法に基づく脳死者からの摘出は2%に過ぎない。
 移植をすれば人工透析を受けずに済むなど、生活上の制約が大幅に軽減されるだけに、病気腎にすがる患者の心情は理解できる。昨年12月には、愛媛県の腎臓病患者らが「治療を受ける権利を侵害された」として、同学会幹部に損害賠償などを求める訴えを起こした。
 こうした患者の声もあって、厚労省は今年1月、原則禁止の例外として「臨床研究」であれば、病気腎移植の実施を制限しないとの見解を公表した。臨床研究は新たな治療法の有効性や問題点を検証するのが目的。患者の治療を目的とした通常の治療とは性格が異なるが、患者からすれば治療そのものだ。
 徳洲会の臨床研究は病気腎を丸ごと摘出し、直径4センチ以下のがんを切除した上で、計10例を移植するというもの。実施にあたっては院内の倫理委員会と、外部識者を加えた検討委員会が移植の妥当性を二重審査し、登録者の中から移植する患者を決めることにした。
 宇和島徳洲会病院と共に移植を計画する東京西徳洲会病院(東京都昭島市)の小川由英・泌尿器科常勤顧問は「病気腎移植が普及すれば新たに年間で2000人の患者を救える」と強調。臨床研究の成果を踏まえ、一般的な治療として認めるよう厚労省に申請する。
 しかし、日本移植学会広報委員長の相川厚・東邦大教授は「がん細胞の持ち込みを否定できないなど、リスクが高い」と指摘する。腎臓摘出も、治療の場合はがん転移を防ぐため周囲の血管をふさいでから摘出するのに対し、移植の場合は腎臓を新鮮に保つため血管をふさがないなど、血管の処理方法などが異なる。
 日本泌尿器科学会も直径4センチ以下の腫瘍がある病気腎は、摘出よりも腫瘍を部分切除する術式を推奨している。部分切除であっても、がん再発率は摘出の場合と変わらず、残した腎臓の機能も温存できるからだ。
 病気腎を移植された人にはこれまで、がんの発症例はないとされるが、少なくとも提供者にとって、病気腎摘出は一般的な治療ではなくメリットは少ない。徳洲会はこうした医学上の事実を提供者、移植希望者に正確に説明し、同意を得ることができるのか。審査過程も公開するとしているが、もし不透明な部分があれば「摘出を誘導した」という批判をまたも浴びるし、移植医療全体への信頼も失墜するだろう。


2.手術なしで子宮内膜症の診断が可能に、医学研究
AFP News2009年8月21日

妊娠可能年齢の女性の10-15%が発症し、不妊の原因ともなる子宮内膜症の診断を、外科手術なしに正確にできるとされる検査方法が、このほど医学誌「ヒューマン・リプロダクション(Human Reproduction)」に発表された。
 子宮内膜症の確定診断にはこれまで、腹部に小さな穴を開けて内視鏡を挿入する腹腔鏡(ふくくうきょう)検査を行う必要があった。
 オーストラリアのシドニー大学(University of Sydney)とヨルダンのムタ大学(Mu'tah University)の研究チームが発見した新手法は、器具を膣から挿入して子宮内膜から細胞組織を採取し、検査するというもの。子宮内膜症であることを示す神経線維が含まれているかをチェックすることで、正確な診断が可能としている。
 同じく同誌に掲載されたベルギーのルーヴァン大学(University of Leuven)不妊治療センターの研究によると、子宮内膜症患者の子宮内膜の神経線維の密度は、通常より約14倍高いと指摘。神経線維を同定できる特殊なマーカーを使えば、ほぼ100%の確率で診断が可能だとしている。


3.【新型インフル】正式に「流行」入り 国立感染症研究所
産経新聞社2009年8月21日

 インフルエンザの感染者数が増加し、正式に「流行入り」したことが21日、国立感染症研究所(感染研)の調べで分かった。全国約5000カ所の定点医療機関からの報告数が、16日までの1週間で1施設当たり1・69人となり、流行開始の目安である1人を上回った。厚生労働省によると、過去10年で夏に流行入りしたことはない。
 9日までの1週間で、1施設当たり0・99人まで増加していたことから、舛添要一厚生労働相も19日、「本格的な流行が始まったと考えていい」と事実上の流行入り宣言をしていた。
 感染研によると、定点医療機関から16日までの1週間に報告された患者は7750人。他の医療機関も含めると全国では1週間に11万人が受診したとみられる。7月に入ってから6週連続で増加が続いている。
 都道府県別では、沖縄県(29・60人)が最も多く、奈良県(2・96人)▽滋賀県(2・48人)▽福島県(2・45人)▽東京都(2・14人)▽大阪府(2・14人)▽茨城県(2・11人)▽高知県(2・10人)▽埼玉県(1・91人)▽長野県(1・83人)-の順となっている。
 感染研は「最近の発生患者のほとんどが新型インフルエンザに罹患しているものと推定される」と注意を呼びかけている。


4.感染拡大防ぐには、児童・生徒に最優先でワクチン接種
読売新聞社2009年8月21日

米大グループ、数学的解析
 新型インフルエンザの感染拡大を防ぎ、死者を少なくするには、学校に通う子供たち(5~19歳)と、その親の世代(30~39歳)に最優先でワクチン接種することが有効であることを、米エール大学などのグループが数学モデルを使った解析で明らかにした。
 誰に優先的に接種するべきか、日本国内での議論にも影響を与えそうだ。21日付の米科学誌サイエンスに発表する。
 研究グループは17の年齢層に分けたモデルを開発。1957年に大流行したアジア風邪などを参考に、世代ごとの感染パターンや死亡率などを割り出し、ワクチンをどう配分すれば、新型インフルエンザの感染者数や死者数、経済損失などを減らせるか、分析した。
 最も感染しやすいのは、学校に通う子供たちで、親を通じ、他の年齢層に感染が広がる。こうした5~19歳と30~39歳の世代に優先接種すると、感染拡大を抑え、被害が最小になることが分かった。人口3億人の米国では、両世代に優先接種すれば、6300万回分のワクチンで大流行を阻止できるという結果も出た。
 ワクチンが4000万回分しかない場合も、学校に通う子供に優先接種すれば、米疾病対策センターが推奨する生後6か月から24歳への接種に比べ、感染者を1500万人、死者を3万1000人、経済被害を140億ドル(1兆3000億円)減らせると試算した。




5.新型インフルエンザ:「本格流行」 重症化防止が焦点 持病持ち、妊婦は要注意
毎日新聞社2009年8月21日

◇厚労省喚起
 国内の新型インフルエンザ発生が広がり、糖尿病などの持病を持つ死亡例や重症例の報告が相次いだ。一方で、入院例では健康な人や未成年などの患者が大半を占めることが改めて確認され、厚生労働省は「誰もが重症化のリスクを持つ」と警戒する。
 「重症化防止に焦点を置いて対策を進めないといけない」。19日夕に会見した厚生労働省の中嶋建介・感染症情報管理室長は強調した。新型インフルエンザ患者が増え、死亡例や重症例の報告が相次いでいるからだ。
 国内で19日までに報告された死亡例は、腎不全で透析をしていたり、血液のがんを患うなど持病を持つ患者だった。世界保健機関も糖尿病、心臓疾患などの持病を持つ人や、妊婦を重症化のリスクが高いと指摘している。感染を防ぐ免疫力が落ちているからだ。
 国内に予備群を含め、2210万人いると推測されている糖尿病患者の場合、血糖値が高くなるにつれ、免疫をつかさどる血液中の白血球の増殖能力が落ちる。堀田饒(にぎし)・中部労災病院長は「糖尿病患者は血糖値が高いほど、感染症に対する抵抗力が落ちる。予備群も高齢だったり、腎臓病を併発すると感染症にかかりやすく重症化しやすい」と注意を呼びかける。
 また、国内で透析を受けている患者は約26万人。透析を受けているような腎不全の患者は毒素が排出されにくいので、免疫機能が影響を受け、体内でウイルスや細菌に対抗する「抗体」を作り出す能力が落ちる。菱田明・浜松医科大教授(腎臓内科)は「インフルエンザが流行していても、患者は透析をやめられない。手洗いなどの感染予防を徹底し、発症の疑いがあれば早期治療を受ける必要がある」と指摘する。
 妊婦は、胎児に対して拒絶反応を起こさないよう免疫力が低下するのでリスクが高くなる。日本産科婦人科学会は、妊娠中や授乳中の女性への呼びかけで、38度以上の発熱などインフルエンザのような症状があれば、かかりつけ産婦人科医を直接訪れるのではなく、地域の一般病院にあらかじめ電話をしてなるべく早期に受診するよう訴えている。
 ◇症状ある人、感染防止を--厚労相
 国内で新型インフルエンザのために入院した患者の8割近くが未成年だったり、6割は持病を持っていない健康な人だった。厚労省は「健康な若者の重症化は海外でも報告されており、国内でも今後も起こりうる」として、医療機関に注意を促す方針だ。
 舛添要一厚生労働相は19日、感染者が急増すると医療機関が重症患者に対応できなくなる恐れもあるとして、患者数のピーク値を抑えることが重要だと指摘。症状が出た人に対し、マスク着用、外出の自粛、人にせきやくしゃみをかけない「せきエチケットの徹底」を呼びかけた。
◇マスクやうがい薬、対応急ぐ関連業界
 新型インフルエンザの「本格的流行」を受け、対策用品を製造、販売する関連業界も対応を急いでいる。
 全国でドラッグチェーンを展開するコクミン(大阪市)では、新型インフルエンザによる日本初の死亡が確認された15日以降、マスクの販売が急増した。
 「下火だった6~7月から一転。国内感染が拡大した5月ほど爆発的ではないが、ほとんど売れない例年の8月と比べると数倍の売れ行き」という。全国約900店舗を展開するマツモトキヨシも、一部店舗でマスクやハンドソープ、うがい薬などを集めた「ウイルス対策コーナー」を開設した。5月はマスクなど関連商品の品切れが相次いだが「今回は流行が予想される秋に備え、大量仕入れをしており、品切れの心配はない」(コクミン)としている。
 一方、製薬会社やマスクメーカーは、品薄に陥った5月以降、フル生産を続けている。立体型マスクを販売するユニ・チャームは、土日や盆休み返上で工場を24時間操業、前年比3倍の生産態勢を取る。大正製薬は6月、マスクと手指消毒用ハンドジェルが品薄になったため、製造委託先に増産を要請。8月上旬までに今冬分の在庫を確保した。だが「予測できない需要が発生した場合、品不足になる恐れもある」(大正製薬)ため、増産態勢は解除しないという。
 治療薬「タミフル」をスイスのロシュグループから輸入する中外製薬は、政府備蓄用として1~6月に500万人分を調達。さらに7~9月に830万人分を追加供給する。
 都道府県にも11年度末までに1330万人分を順次届けるが、前倒し要求が出ており「輸入から出荷までの期日短縮に努力する」としている。
◇都市圏で目立つ集団感染
 厚生労働省が新型インフルエンザの集団感染数を都道府県から報告を受け始めた7月20日から今月16日までの約1カ月で、全国の集団感染の累計は1734件に上っている。都道府県別では、沖縄が217件と突出して多く、都市圏の大阪184件、東京160件が目立っている。
 同省は、学校や社会福祉施設などで7日以内に2人以上の疑い例が出た場合などに集団感染として報告するよう求めている。沖縄で多い理由ははっきりしないが、同省は「熱帯に近いところでは、季節を問わず流行する傾向がある」と説明する。人口密集地に多い傾向はあるが、当初患者数が多く報告された兵庫が比較的に少ないなど、地域によってばらつきがある。


6.インフル阻止へ「親子にワクチン」が効果的 米研究
朝日新聞社2009年8月21日

新型インフルエンザのワクチンを、学校に通う子どもとその親の年代に最優先で接種すれば、大流行を効果的に阻止することができるかもしれない。米国の研究者らが年齢別の感染や死亡パターンを考慮に入れて割り出した。21日付の米科学誌サイエンス(電子版)に掲載される。
 米エール大の研究者らは、メキシコの初期の流行から新型ウイルスが患者1人につき約1.4人に二次感染するとの世界保健機関(WHO)の研究や、スペインかぜ、アジアかぜといった過去のインフルエンザの大流行での致死率などのデータを分析した。
 さらに学校に通う子どもが最も感染しやすく、親は感染を周りに橋渡しする役割を持っていることを考慮。5~19歳の子どもとその親の世代にあたる30~39歳の大人にワクチン接種を優先すれば大流行を抑えられる可能性があることを導き出した。
 研究者は米疾病対策センター(CDC)がワクチン接種で年齢別の感染や死亡パターンを特に考慮しておらず、見直すべきだと主張している。
 ただ、新型インフルエンザで重症化しやすいのは、腎臓病や糖尿病などの基礎疾患を持つ人や妊婦とされ、季節性インフルエンザでは幼児や高齢者が重症化しやすいことから、ワクチン接種の優先順位をめぐる議論の材料の一つとなりそうだ。


7.ワクチン確保、国による一括購入も検討 新型インフル
朝日新聞社2009年8月21日

新型の豚インフルエンザワクチンの確保について、厚生労働省は21日、国による一括購入も視野に検討していることを、民主党の新型インフルエンザ対策本部の会合で明らかにした。世界的なワクチン不足が予想される中、社会的な混乱を防ぐため、政府は専門家らから意見を聴き、9月にも接種の優先順位を示すことになっている。
 同省の担当者は、「国の一定の管理下で供給先をコントロールする以上、国で確保することも一つの方法として検討している」としている。通常の予防接種は、企業から医療機関が買う形で流通しており、国による確保は異例のことだ。


8.全腎協 新型インフルエンザ対策について厚生労働省に要請
社団法人 全国腎臓病協議会2009年8月21日

8月20日、腎疾患患者の新型インフルエンザによる死亡を受け、社団法人全国腎臓病協議会(全腎協)は厚生労働省に対して対策強化をもとめる要望書を提出しました。
新型インフルエンザは健康な人にとっては一過性の病気であっても、腎疾患患者にとっては重症化することもあるといわれ、沖縄、兵庫での死亡例(重症例)は懸念が実現化してしまったものでした。
全腎協は国内約30万人の透析患者の不安を解消し、安心の治療生活が継続できるよう一層の対策を要望いたします。
◆新型インフルエンザ感染拡大防止について(お願い)
http://www.zjk.or.jp/event/influenza_youbou.pdf


9.心臓突然死を防ぐ
東京新聞社2009年8月21日

心肺蘇生の重要性 処置の早さで救命率に差
心臓病による死亡の多くは病院の外で突然起こることから「心臓突然死」と呼ばれている。国内で心臓突然死による死者数は年間約五万人といわれ、人口の高齢化に伴い増加傾向にある。心臓突然死の実態や特徴、少しでも数を減らすための心肺蘇生を普及させる取り組み、医療現場の課題を紹介する。
 今年三月に開かれた東京マラソンで、ランナーとして参加していたタレント松村邦洋さんは意識を失って倒れ、病院に搬送された。急性心筋梗塞による心室細動が原因だった。
 「心室細動は不整脈の一つ。心臓がけいれんしている状態。放置しておけば五~十分程度で完全な心停止、つまりけいれんも無くなり、心臓の拍動も止まってしまう」。こう説明するのは、京都大保健管理センター(京都市左京区)の石見拓助教。
 心臓は右上から右心房、右心室、左上から左心房、左心室という四つの部屋に分かれている。左右の心房と心室が交互に収縮、体全体に血液を介して酸素と栄養を送り続けるポンプの役目を果たしている。
 心臓が収縮するために、右心房にある発電所の「洞結節」から電気の興奮が心房に伝わって収縮。心房と心室をつなぐ「房室結節」を通って、左右の心室の分岐点「ヒス束」へ、さらに心室への通り道「脚」、末端の「心筋」へと伝わる。
 不整脈は心臓の拍動が早くなったり遅くなったり、またはそのリズムが乱れたりするものをいい、心筋の異常な興奮や、電気の興奮が伝わる洞結節から心筋までの「刺激伝導系(電気の流れ)」がうまく機能しなくなった結果、起こる。心室細動は拍動が非常に早くなるパターンで、数秒でめまいを起こし、十秒前後で意識を失う。数分続くと、脳障害を起こし、死に至るという危険な不整脈だ。
 心臓突然死の六割以上は心筋梗塞、狭心症といった虚血性心疾患が原因と考えられている。「動脈硬化や高脂血症、高血圧といった危険因子があれば、より発症しやすくなる」と石見助教は指摘する。
 心臓突然死の頻度は中高年に多い。しかし、球技中にボールが胸を直撃した衝撃のため、心臓がけいれんして心停止を起こす「心臓震盪」は子どもにも多いので注意が必要。運動による負荷や精神的ストレスが引き金となる場合もある。年齢に関係なく、いつでも誰でも起こり得る。
 前兆として、冷や汗▽締め付けられるような胸痛▽吐き気▽一過性の意識消失-といった症状を見逃さないこと。突然死の恐れのある不整脈を指摘されたら早めに受診し、心電図など詳しい検査を受けることも重要だ。しかし前兆が無く、突然、心室細動になり、倒れてしまうことも多い。
 心室細動から命を救うには、自動体外式除細動器(AED)を用いた心肺蘇生を速やかに行い、電気ショックを与える必要がある。電気ショックが一分遅れると救命率は10%下がるといわれる。
 大阪府は一九九八年五月から、救急隊が蘇生にかかわった、府内で発生したすべての病院外心停止のデータを記録、集計する「ウツタイン大阪プロジェクト」を実施中。心臓病が原因(心原性)で心停止し、倒れるところが目撃された患者の救命率は年々上昇している。
 しかし、心停止した患者に現場に居合わせた人がただちに心肺蘇生を始めると救命率が二~三倍上がるが、実際に心肺蘇生が行われているのは四割程度にすぎない。石見助教は「社会復帰できた患者は10%台にすぎず、まだまだ不十分だ。一般市民の心肺蘇生の実施率をさらに上げなければならない」と強調する。
キットで救命訓練継続
 「いち、に、さん、しっ」-。教員の掛け声に合わせて生徒たちが絶え間なく心臓マッサージ(胸骨圧迫)を続ける。
 岐阜県関市の小金田中学校で行われた救命措置を学ぶ実習授業では、倒れた人を発見した想定で、救急車の手配から、気道確保、人工呼吸、自動体外式除細動器(AED)の使い方などを学んだ。
 参加したのは一年二組の生徒たち。心肺蘇生法とAEDの使い方については、専用のトレーニングキットを使った。地元の救急救命士や看護師、NPOの会員なども指導にあたった。
 同市は昨年度から市内中学校十一校の一年生全員に、専用キットを無料で配布している。キットには人工呼吸や心臓マッサージを練習できる人形、AEDの模型、繰り返し学べるようDVD教材が収められている。
 学んだことを自宅でも復習し、家族に伝えるという重要な宿題も課された。同市教育委員会学校教育課主任主査の塚原紀子さんは「緊急時に対応できる力を養うことはもちろん、命の大切さを考えるきっかけになれば」と狙いを話す。
 埼玉県歯科医師会は小学生を対象にした講習会を実施。救急医や看護師らでつくる「日本臨床救急医学会」(東京都中野区)でも学校教育への普及促進策を検討している。これまで、主に社会人を対象に行っていた心肺蘇生を、子ども向けに広める試みが各地で広がっている。
 AEDの設置は進んでも、人工呼吸などによる心肺蘇生が社会に浸透してこなかった背景には、人工呼吸は難しく、口を付けることに抵抗感があるといった理由があった。NPO法人大阪ライフサポート協会(大阪市東淀川区)では「PUSHプロジェクト」を進めている。誰でもできる心肺蘇生として、人工呼吸を行わず心臓マッサージのみの心肺蘇生法とAEDの使い方を広め、一人でも多くの命を救おうというプロジェクトだ。
 大阪府が実施した、府内で発生した病院外心停止を集計したデータによると、心臓マッサージのみの心肺蘇生でも、何もしていない場合に比べて一・七倍救命率が上がり、人工呼吸を併せて行った時とほぼ変わらない。
 さらに同協会は学校での講習会開催に向け、子どもでも使うことができる簡略型の訓練用箱型キット「あっぱくん」を作製、今月から二千六百二十五円で販売を始めた。箱を開くと心臓をかたどったスポンジが中央に入っており、強い力で押すことで「ピッピッ」と音が鳴って圧迫ができているかを確認できる仕組み。AEDの模型も入っているので、心臓マッサージとAEDの訓練が一緒にできる。
 東京、大阪、名古屋、福岡、仙台など主要各都市では、あっぱくんを使った講習会が計画されている。同協会の松本耕司次長は「小中学校や高校でそれぞれ一回ずつ学ぶようにしたい。小さいころから継続して学ぶことが重要だ」と話す。
 名古屋の講習会を主催するNPO法人「あいちクローバー」(名古屋市中村区)は子ども向けに、ドラえもんやアンパンマンの歌のリズムに合わせて心臓マッサージを行う方法も検討している。福元博樹代表は「子どもだから無理というのではなく、AEDは何のための道具かを知っているだけでも、命を救うリレーに加わることができる」と力を込める。 
心臓リハビリ  再発減らし、復帰へ自信養う
「私たちと一緒にトレーニングしていけば、元の生活に戻ることができますよ」-。榊原記念病院(東京都府中市)の心臓リハビリテーション室(以下リハ室)。心臓病の手術を終え、リハビリを控えた女性患者に、長山雅俊心臓リハビリテーション室長が語りかけると、不安そうな女性の表情に笑みが戻った。
 リハ室には心臓病を患った患者たちが一日に百人前後訪れ、準備運動や自転車こぎに汗を流す。「心臓リハビリテーションとは、再発を予防するための有力な治療の一つ」と長山室長は説明する。
 心筋梗塞や狭心症などで心臓の手術を受けた患者には、手術前と同じ生活ができるのか、再発しないか、不安がつきまとう。救命すれば治療は終わりではなく、「社会復帰まで導いて、生きる自信を取り戻してもらう」(長山室長)ことに主眼を置く。
 内容はストレッチ、ウオーキングなどの有酸素運動や、ダンベルなどを使って体に負荷をかけるトレーニングなどの運動が中心。心不全の再発予防に効果がある温熱療法(和音療法)を行うサウナも設置されており、リハビリ専門医や看護師、理学療法士、臨床心理士などのスタッフが付き添う。
 リハビリは入院中からスタート。手術の翌日にはトイレまで自力で歩く訓練を始めたり、日常生活に必要な活動を安全を確認しながら行ったりする。その後は社会復帰を目標に体力づくりを行う回復期、体力を維持するために自宅などで運動を続ける維持期へと進む。
 リハビリを始めるにあたり、どの程度、運動ができるかを客観的に判断する「心肺運動負荷試験」を行う。マスクをつけて自転車をこぐ検査で、その人に合った運動の強さや時間を調べ、運動処方のデータに生かす。患者には、休憩を含めて一時間程度の運動を、週に二~三回を目安に勧めている。
 効果として▽血管が自分で広がろうとする血管内皮機能の向上で血液の循環が良くなる▽自律神経のバランスが良くなり血圧や脈拍が安定、不整脈が起きにくくなる▽心筋梗塞の再発や突然死が減り、死亡率が減少する-などが挙げられる。
 長山室長は「血管を広げるステント治療を受けて元気になったとしても、患者の十年後を調べると65%が再発したり再治療が必要となる」としながらも「心臓リハビリを上手に行いながら自己管理を徹底すれば、心筋梗塞の再発など心臓が原因で死亡するリスクを25%減らすことができる」と強調する。
 榊原記念病院では地域連携にも力を入れる。退院後の患者が、リハビリを継続し、再発予防に取り組むためには、地域のかかりつけ医との連携が欠かせないからだ。
 二〇〇七年九月に、二病院九診療所からなる「府中市循環器疾患連絡協議会」を発足させ、退院後の患者の体重や血圧、運動の状態などを記入して医師が共有する評価表(連携パス)を導入した。
 体調などを記入する生活日誌と一緒に患者がパスを管理して、通院時に持参する仕組みだ。現在では、参加する診療所は市外も含め十八カ所に。パスを利用する患者は四十人に増えた。
 心臓リハビリは、国立循環器病センター(大阪府吹田市)や群馬県立心臓血管センター(前橋市)など積極的に取り組んでいる施設があるものの、知名度はまだ低い。地域連携をしている施設は限られる。
 医療連携室長も兼ねる長山室長は「健康な人が運動する施設はあっても、病を患った人が運動する場所がない。病気になっても前向きに生きるために必要なのが心臓リハビリだということを知ってほしい」と訴える。


10.蕁麻疹にレセルピン 抗ヒスタミン薬との併用で難治例が改善
日経メディカル2009年8月21日

抗ヒスタミン薬やステロイドでも改善しない蕁麻疹に降圧薬のレセルピンを追加すると、効果が上がるケースがある。一部の医師の間で伝えられきた“秘伝”の処方だ。
 自治医大さいたま医療センター皮膚科教授の出光俊郎氏は、抗ヒスタミン薬やステロイドなどが効かない難治性の蕁麻疹に、レセルピン(商品名アポプロンほか)0.3~0.4mgを追加投与し、著効した症例を複数経験している。
 数年前にも出光氏は多剤耐性蕁麻疹と蕁麻疹様血管炎の患者19人を対象にレセルピンを投与したところ、13人に著明な改善が認められ、5人に有効だったと報告した。
  一般に、蕁麻疹の治療は血液検査などによる原因検索を進めるとともに、抗ヒスタミン薬を中心とした投与を行う。改善しない場合は、抗ヒスタミン薬を変更、増量したり、ステロイドを少量投与することが、日本皮膚科学会の「蕁麻疹・血管性浮腫の治療ガイドライン」でも推奨されている。抗ヒスタミン薬やステロイドのほかに、補助的治療薬としてH2拮抗薬や漢方薬、ロイコトリエン拮抗薬なども挙げられているが、レセルピンの記載はない。
 レセルピンは投与して1~2週間、早ければ3日ほどで膨湿や皮膚そう痒感が驚くほど改善してくるという。
 そのメカニズムとして、レセルピンは肥満細胞由来のセロトニンを枯渇させるなど、肥満細胞を介して作用すると考えられている。
 レセルピンの蕁麻疹に対する保険適用はないが、その歴史は古い。40年以上前に、有効性を記述した論文が発表されている(アレルギー1962;11:396-7、400.)。
処方のルーツは東大と京大?
 出光氏が、その処方を知ったのは医師になって3年目の1982年ごろのこと。当時、東大と順天堂大を経て自治医大皮膚科教授に着任した川田陽弘氏に教わったという。
 関西医大皮膚科教授の岡本祐之氏も、難治性の蕁麻疹にレセルピン0.2mgを投与している(症例参照)。母校である京大の関連病院に勤務していたころ、病院に伝わる“秘伝”の処方として教わり、その効き具合に驚いたという。
 出光氏は「なかなか治らない蕁麻疹を診たら、ステロイドを使う前に試してみてほしい」と話している。
症例 難治性の蕁麻疹にレセルピンを投与し、著効した57歳男性(提供:岡本氏)

主訴:原因不明の紅斑、膨疹。
検査所見:自己血清皮内反応は陰性。IgE-RISTは954IU/mLで、ダニ、ハウスダスト、アニサキスに対するIgE-RASTが上昇。病理組織学的には真皮浅層の血管周囲性に単核球と軽度の好中球、好酸球浸潤が認められた。
現病歴および治療経過:5~6年前から紅斑、膨疹が体幹を中心に出現(写真)。皮疹は半日以上持続する。
 近医を複数受診し、エピナスチン、アゼラスチン、オロパタジンをはじめとしたあらゆる第2世代抗ヒスタミン薬を単剤または併用したが無効で、来院の2カ月前からメチルプレドニゾロンの併用を開始。エバスチンとアゼラスチン、メチルプレドニゾロン15mg/日でそう痒はやや改善したが、皮疹はほぼ毎日出現していたため、当院を受診した。
 レセルピン0.2mg/日を追加で投与したところ、2週間後にはそう痒、皮疹は消失し、メチルプレドニゾロン、抗ヒスタミン薬を漸減することができた。以後症状は出現していない。


11.帯状疱疹予防に水痘ワクチン 神経痛発症率を65%下げるとの報告も
日経メディカル2009年8月21日

水痘ワクチンを高齢者に接種し、帯状疱疹後神経痛を予防する方法が注目されている。米国の大規模試験の結果がきっかけで、わが国でも接種する医師が出てきた。

 帯状疱疹は、関節内に潜伏感染した水痘・帯状疱疹ウイルスが細胞性免疫の低下をきっかけに再活性し、紅斑や膨疹、痛みを来す疾患だ。帯状疱疹の約半数は高齢者に見られ、後遺症としての神経痛の発症率も高い。
 その帯状疱疹後神経痛に対しては、局所麻酔薬による神経節ブロック注射など様々な治療が行われているが、有効でないケースも多く、現場を悩ませている。
 そんな中、米国で注目すべきデータが2005年に発表された。60歳以上の3万8546人を対象に、二重盲検法で帯状疱疹ワクチン(Oka/Merck VZV弱毒化生ワクチン)を接種したところ、水痘・帯状疱疹ウイルスに対する特異的細胞性免疫が高まり、帯状疱疹および帯状疱疹後神経痛の発症率や重症化が抑えられた(図10)。
 その後、06年に米食品医薬品局(FDA)は60歳以上の高齢者に帯状疱疹ワクチンを接種することを承認、米疾病対策センター(CDC)も接種を推奨している。
 なお、米国の臨床試験で使用された帯状疱疹ワクチンの力価は、1万8700~6万(平均2万4600)PFUとされている。現在日本で水痘の予防目的で小児に接種している乾燥弱毒生水痘ワクチンの力価も約3万PFUあることから、それを成人に投与することで、細胞性免疫を高めることが期待できる。
 実際、水痘ワクチンの開発者で阪大微生物病研究会理事の高橋理明氏らが50~79歳の129人に水痘ワクチンを接種したところ、抗体価の上昇と皮内テストの陽転化を認めている(Vaccine 2003:21;3845-53.)。高橋氏は「水痘ワクチンは接種後の副作用も少なく、帯状疱疹後神経痛の発症のリスクを下げることができるのはこれまでの研究で明らか。接種数を蓄積して適応拡大できることを望んでいる」と話す。
免疫低下のリスクがある人に
 こうした流れを受け、わが国でも日常診療で高齢者に水痘ワクチンを接種している施設がある。
 JA静岡厚生連遠州病院(浜松市)では、希望者に対して自費で、帯状疱疹の予防目的に水痘ワクチンを接種している。同院副院長で皮膚科医の浦野聖子氏は「独居の高齢者などでは、帯状疱疹後神経痛によってうつ症状を来したり、食事も取れないほどになることが多い。発症を防ぐ方法があれば提案したいと以前から考えていた」と話す。
 浦野氏は、(1)50歳以上(2)独居(3)糖尿病や膠原病、悪性腫瘍の治療中などで合併症を持ち、免疫低下のリスクがある─といった人に接種を勧めている。実際には、帯状疱疹を発症した患者の配偶者や知人が関心を持って接種を希望するケースが目立つという。費用は8000円で実施している。


12.小児のインフルエンザに対するノイラミニダーゼ阻害薬の実力
日経メディカル2009年8月21日

 舛添要一厚生労働大臣は8月19日の記者会見で、「新型インフルエンザの本格的な流行が既に始まっている」と述べました。もしも子供が新型インフルエンザにかかったら…と心配している親世代も多いのではないでしょうか。そこで今回は、最近発表された、小児へのノイラミニダーゼ阻害薬投与に関するシステマティック・レビューを読んでみました。
Shun-Shin M, Thompson M, Heneghan C, Perera R, Harnden A, Mant D. Neuraminidase inhibitors for treatment and prophylaxis of influenza in children: systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials. BMJ 2009; 339: b3172.
【診療上の疑問・課題:明確】
 小児の季節性インフルエンザの治療および感染予防に対するノイラミニダーゼ阻害薬(オセルタミビルおよびザナミビル)の効果を検討したというもので、課題は明確でした。
【研究デザイン:ランダム化比較試験のみ】
 12歳以下の入院していない小児を対象に、季節性インフルエンザの治療および予防の目的でノイラミニダーゼ阻害薬を使用して比較したランダム化比較試験(RCT)を対象としました。
【文献検索:文献データベースに加えて、製薬企業から未発表データも入手】
 使用した文献データベースは、MEDLINE、EMBASEおよびCENTRAL(Cochrane Central Register of Controlled Trials)です。直近(MEDLINEは2009年7月1日、EMBASEは09年6月28日)の論文まで含めていました。さらに、オセルタミビル、ザナミビルを製造販売する製薬企業による臨床試験登録や、臨床試験を登録&検索できるウェブサイト(こちら)も調べていました。
 こうしたデータベースによる検索に加えて、抽出された論文の参考文献リスト、英国NICEの診療ガイドライン、英国の医療技術評価(HTA)のレポートも調べていました。
 検索する際のキーワードは明示されており、RCTを同定する過程も示されていました。
【個々の研究のクオリティ:コクランの方法に準拠、高レベルは7件中1件のみ】
 最終的に検討の対象となった7件のRCTについて、コクランハンドブック(コクラン共同計画で実施されるシステマティック・レビューの方法が記されている)に準拠して、データの質をチェックしていました。高レベルと判定されたのは7件のうち1件だけでした。
【解析:試験間に異質性がなければメタアナリシスが行われた】
 それぞれのRCTからデータを抽出した上で、結果に異質性がなければメタアナリシスが行われました。
【結果:ノイラミニダーゼ阻害薬により症状消失までの時間が1日程度短縮】
 7件のRCTはすべて外国で行われたもので、日本の研究は含まれていませんでした。内訳は、治療4件(オセルタミビル2件とザナミビル2件、3件は5~12歳、1件は1~12歳が対象)と予防投与3件(オセルタミビル1件、ザナミビル2件)でした。予防投与とは、インフルエンザ感染者の家族に対して、予防的に抗ウイルス薬を投与したRCTという意味です。
治療の論文では、症状の軽減または消失までの時間がわずかに(中央値で0.5~1.5日)短縮していました。しかし、個々の試験を見ると、プラセボに比較して有意に短縮していた試験もあれば、有意性はみられなかった試験もあり、メタアナリシスは行われませんでした。
 一方、予防投与の3件のRCTに関してはメタアナリシスが行われ、オセルタミビルまたはザナミビルの予防投与により、家族のインフルエンザ発生が8%減る(-0.08、95%信頼区間〔CI〕-0.12~-0.05、p<0.001)という結果でした。これはインフルエンザを1人減らすために13人に対して予防投与を行えばよい(NNT=13)という計算になります(1÷0.08=12.5)。
【臨床への適用:成人での結果と大きな矛盾はなさそう】
 今回の結果は、成人と大きな矛盾はなさそうです。健康な成人を対象に、2005年夏までのデータを検討したシステマティック・レビュー[1]によれば、ノイラミニダーゼ阻害薬(オセルタミビル、ザナミビル共に)は、48時間以内に投与された場合にインフルエンザ確定例の症状軽快にわずかに有効ではあるものの、著者らは、季節性インフルエンザに対してノイラミニダーゼ阻害薬をルーチンに使用すべきではなく、パンデミック状況のときに他の公衆衛生的な対策と並行して用いるべきであると結論付けていました。
 今回の小児のレビューの著者らも、ノイラミニダーゼ阻害薬は「小さな利益(small benefit)」があるにとどまるとしていました。症状軽減までの期間が1日程度短縮するとしても、その臨床的な意味については慎重な立場と思われます。
 ちなみに、英国NICEのガイドライン(2009年2月)では、インフルエンザに対するオセルタミビルやザナミビルによる治療は、(1)対象者が慢性疾患や免疫不全など高リスク(2)症状出現から48時間以内に治療開始可能(3)インフルエンザが流行しており、対象者の疾患がインフルエンザウイルスによるものであると考えられる――のすべてを満たす場合に推奨されるとしています。日本に比べれば、ノイラミニダーゼ阻害薬の使用について抑制的なようです。
【その他の検討項目:オセルタミビルで嘔吐が多かった】
 治療の論文では、有害事象についても検討していました。嘔吐に関して、ザナミビルでは有意に増えてはいませんでしたが、オセルタミビルでは5%増える(0.05、95%CI 0.02~0.09)という結果でした。これは20人を治療すると嘔吐を生じる子どもが1人増える(NNH=20)という計算になります(1÷0.05=20)。ノイラミニダーゼ阻害薬投与による死亡は報告されていませんでした。
 治療に関する4件のRCTのうち1件(オセルタミビル)は、喘息を持つ5~12歳の小児を対象にしていました。喘息の増悪の減少(p=0.34)やピークフロー値の改善(p=0.35)といった点では効果はみられませんでしたが、1秒量(FEV1)は有意に改善しました(p=0.01)。
 2件のRCT(オセルタミビル1件、ザナミビル1件)では、抗菌薬の使用について検討していました。オセルタミビル(1件)では抗菌薬の総使用量が10%減少しました(p=0.03)が、ザナミビル(1件)では有意ではない(p=0.37)という結果でした。
【診療への影響:新型インフルエンザへの適用は?】
 今回検討されたRCTは季節性インフルエンザを対象としたものであり、新型インフルエンザではありません。著者らはこの点について、「今回の結果が新型インフルエンザにどの程度一般化できるかは分からない。幾つかの国では、新型インフルエンザが確定、または疑わしい小児に対してノイラミニダーゼ阻害薬による治療を推奨している。データが限られていること、嘔吐などの副作用、さらには耐性が出現する可能性などを考えると、罹病率や死亡率が低い間は、よりコンサバティブな戦略が用心深いと考えられるかもしれない」と述べています。
わが国におけるオセルタミビルの使用に関しては、添付文書の警告欄に「10歳以上の未成年の患者においては(中略)合併症、既往歴等からハイリスク患者と判断される場合を除いては、原則として本剤の使用を差し控えること(後略)」と書かれており、09年6月16日の薬事・食品衛生審議会の安全対策調査会でも、「タミフルについて現在講じられている措置は、現在も妥当であり、引き続き医療関係者、患者・家族等に対し注意喚起を図ることが適当であると同時に、他の抗インフルエンザ薬についても、同様に異常行動等に関する注意喚起を継続することが適当」とされました。
 この警告が新型インフルエンザにも適用されるかという点について、08年11月21日の衆議院厚生労働委員会で政府は、「一般的には季節性インフルエンザと比べて死亡率などのリスクが高いと予想されるため、パンデミック時に10歳以上の未成年の患者さんに対してタミフルの投与を控える必要性は低い、このように考えているところでございます」と答弁していました。しかし当時は、新型インフルエンザとして鳥インフルエンザ(A/H5N1)が想定されており、現在流行しているA/H1N1とは事情が異なると思われます。
 国立感染症研究所の「国内医療機関における新型インフルエンザ(A/H1N1)抗ウイルス薬による治療・予防投薬の流れVer.2」(09年5月20日)では、「10代の新型インフルエンザ患者への抗ウイルス薬(リン酸オセルタミビル)の使用については、季節性インフルエンザに対する使用における異常行動との関連で出されていた使用制限は現時点でも継続しているが、医学的な理由により投与せざるを得ない場合は、投与後2日間の患者の健康状態の観察は十分に行う」と注意を促しています。
 国立国際医療センターの「新型インフルエンザ(H1N1)診療アルゴリズムVer.8.00」(09年7月28日)では、図から読み取れる限り、迅速診断キットによる検査結果や疫学状況などから新型インフルエンザの可能性が高いと判断される場合には、ノイラミニダーゼ阻害薬(オセルタミビルまたはザナミビル)を使用するという流れのようです。
 ちなみに、米国CDCの「新型インフルエンザA(H1N1)ウイルス感染患者及び濃厚接触者に対する抗ウイルス薬使用の暫定的手引き」(09年5月6日、原文はこちら、日本語訳はこちら)によると、オセルタミビルまたはザナミビルは、(1)入院したすべての新型インフルエンザ(H1N1)確定(confirmed)、疑いが濃厚(probable)、あるいは疑わしい(suspected)患者(2)季節性インフルエンザの合併症に関して高いリスクがある患者――に推奨されるとしており、高リスクグループの中に「5歳未満の子供。季節性インフルエンザの重篤な合併症のリスクは2歳未満の子供で最も高くなる」との記載があります。
【著者の利益相反:なし】
 報告されていませんでした。
1)Jefferson T, Demicheli V, Rivetti D, Jones M, Pietrantonj CDi、Rivetti A. Antivirals for influenza in healthy adults: systematic review. Lancet 2006; 367: 303-13.


13.若年女性に対する子宮頸がんスクリーニングは有効か?
CareNet2009年8月21日

22~24歳の女性に子宮頸がんスクリーニングを実施しても、29歳までの発がんを抑制する効果はないが、より年齢の高い女性では発がんおよびがん死の大幅な低減効果が認められることが、イギリスLondon大学クイーンメアリー校医学部のPeter Sasieni氏らが実施した症例対照研究で判明した。子宮頸がんのスクリーニングはその便益と弊害のバランスをとるために注意深い解析を要する複雑なプロセスであり、無理のないコストで便益が得られることを社会に対して示すことが重要だという。イギリスでは20~24歳の女性のスクリーニングが国民レベルの議論の的となり、喫緊の重要課題とされている。BMJ誌2009年8月8日号掲載(オンライン版2009年7月28日号)の報告。
25歳未満でスクリーニングを受けた女性に焦点を当てた解析
研究グループは、子宮頸がんの発症に及ぼす子宮頸がんスクリーニングの影響について、特に25歳未満でスクリーニングを受けた女性に焦点を当てた解析を行った。
対象は、子宮頸がんスクリーニングのデータをプロスペクティブに記録した症例対照試験に登録された集団で、浸潤がんと診断された20~69歳の4,012例および個々の症例ごとに年齢と居住地域をマッチさせた2つの対照群の7,889人で構成された。
主要評価項目は、子宮頸がんと特定の年齢におけるスクリーニングの関連強度のオッズ比とした。
便益と弊害のバランスを考慮するのに有用なデータ
22~24歳の女性に対するスクリーニングは25~29歳時の子宮頸がんの発症を低減しなかった(オッズ比:1.11、95%信頼区間:0.83~1.50)。同様の結果が、扁平上皮がんやFIGO(国際産科婦人科連合)分類stage IB以上の腫瘍に限定した場合にもみられたが、統計学的に高い信頼性を得るには対象数が不十分であった。
スクリーニングにより、40歳の女性で発がん率が60%低減し、64歳では80%と高い低減効果が得られた。スクリーニングは、特に進行がんの予防に効果的であった。
著者は、「20~24歳の女性を対象とした子宮頸がんスクリーニングは、30歳未満の女性の浸潤性子宮頸がんの発症率にはほとんど、あるいはまったく影響を及ぼさない。30歳未満の女性の進行がんの発症に及ぼす影響については不確定な要素が残る。これに対し、より年齢の高い女性では子宮頸がんの発症率、死亡率が実質的に低減する」と結論している。
また、「これらのデータは、医療政策立案者にとって、スクリーニングが発がん率に及ぼす改善効果と弊害(浸潤度の低い病変に対する過剰治療など)のバランスを考慮する際に役立つであろう」と指摘している。
Sasieni P et al. Effectiveness of cervical screening with age: population based case-control study of prospectively recorded data. BMJ. 2009 Jul 28;339:b2968. doi: 10.1136/bmj.b2968.


14.HPV 16の短期的持続感染は、数年後の子宮頸がん初期病変を強く予測する
CareNet2009年8月21日

登録時と1年後の遺伝子検査で2回とも発がん性のヒトパピローマウイルス(HPV)が検出(短期的持続感染)された女性は、数年後に子宮頸がんの初期病変としての子宮頸部上皮内がん(CIN)を発現する可能性が有意に高いことが、アメリカ国立がん研究所疫学・遺伝学部門のPhilip E Castle氏らがコスタリカで実施したコホート研究で判明した。発がん性HPVの持続感染は子宮頸部異常のリスクを増大させることがわかっており、スクリーニング法としてHPVの発がん性の遺伝子型に関するDNA検査の導入が進んでいる。HPV遺伝子検査は高い信頼性を持つが、従来の細胞診に比べ感受性は高いものの特異度が劣るという。BMJ誌2009年8月8日号掲載(オンライン版2009年7月28日号)の報告。
コスタリカ人女性を対象に40以上のHPVの遺伝子型を解析
研究グループは、発がん性HPVの短期的な持続感染の検出と、CIN grade II+、III+の累積発現率の関連について検討するために地域住民ベースのコホート研究を実施した。対象は、コスタリカのグアナカステ州在住の性的活動期にある女性2,282人。
受診時に採取した試料を用いて40以上のHPVの遺伝子型について解析した。特に発がん性の高い遺伝子型として、HPV 16、18、26、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66、68、73、82が考慮された。主要評価項目は、組織学的に確定されたCIN grade II+の3年および5年の累積発現率とした。
陽性/陽性例の3年累積発現率は17.0%、2回ともHPV 16だと40.8%
登録時と約1年後(9~21ヵ月)の遺伝子検査の双方で発がん性HPVが陽性であった女性(陽性/陽性例)におけるCIN grade II+の3年累積発現率は17.0%であった。これに対し、登録時陰性で1年後陽性の女性(陰性/陽性例)における3年累積発現率は3.4%、陽性/陰性例は1.2%、陰性/陰性例は0.5%であり、いずれも発現リスクは有意に低減した。
陽性/陽性例のうち、検出された遺伝子型が2回の検査で同じ場合と違う場合を合わせたCIN grade II+の累積発現率が17.0%であり、遺伝子型が2回とも同じ場合に限ると21.3%であったが、両者に大きな差は認めなかった。HPV 16の短期的持続感染によるCIN grade II+の3年累積発現率は40.8%と、高い予測値が確認された。
これらと同様のパターンが、CIN grade II+の5年累積発現率およびCIN grade III+の3年、5年累積発現率にも観察された。
著者は、「発がん性HPV、なかでもHPV 16の短期的持続感染が検出される場合は、数年後のCIN grade II+の発現が強く予測される」と結論し、「HPV 16、18など最もリスクの高い遺伝子型を集中的にモニターして、他の発がん性の遺伝子型はまとめて評価する方法が実践的である。HPV 16、18の検出に発がんリスクに関する高い信頼性を置き、これと引き替えにそれ以外の遺伝子型が繰り返し検出されてもHPV持続感染とはみなさないというトレードオフの考え方は許容できるものであり、さらなる検討を進めるべき」としている。
Castle PE et al. Short term persistence of human papillomavirus and risk of cervical precancer and cancer: population based cohort study. BMJ. 2009 Jul 28;339:b2569. doi: 10.1136/bmj.b2569.


15.薬剤師と医師の共同チームが心不全患者の入院を減らす
Medscape Medical News2009年8月21日

医師と薬剤師が協力することによって心不全患者の薬物療法に関連する問題と入院を減らし転帰を改善することができると、『Circulation:Heart Failure』に8月18日にオンラインで先行発表された研究でオーストラリアの研究者らが報告している[1]。
薬剤師が薬物療法を再検討するために心不全患者の自宅を訪問し、その結果を患者の担当医に報告する活動を行ったところ、実施1年目の心不全による入院率が45%低下したと、Elizabeth E Roughead博士(南オーストラリア大学、アデレード)らは述べている。
「薬物療法に関連した問題は心不全患者の入院の一因となるため、これらの患者に薬剤の使用に関する教育を行うことは重要である」とRoughead博士はheartwireに語った。
 「このプロブラムの一環としての自宅訪問によって、より徹底した教育を行うための時間が確保される。臨床医は心不全患者を助けるために薬剤師と協力すべきである」。
相乗作用を生み出す関係
Mauro Moscucci博士(マイアミ大学ミラー医学部、フロリダ州)は、薬剤師と臨床医の協力関係が心不全患者の転帰の改善のために重要な肯定的な意味をもつということに同意した。
「目覚ましい相乗効果である。転帰の改善は薬剤師の訪問のみではなく、2人の医療従事者間の協力関係によって得られる」とMoscucci博士はheartwireに語った。
Roughead博士らは、心不全患者の転帰の改善に有効であることがランダム化対照比較試験で認められている共同作業による薬物療法の再検討が、「現実世界」の環境においても有効かどうかを明らかにしたいと考えた。オーストラリアではそのような再検討にかかる費用を国が負担する。
博士らは、心不全のためにビソプロロール、カルベジロール、またはコハク酸メトプロロールを処方された65歳以上の退役軍人と戦争未亡人に関する管理請求データをレトロスペクティブに調査し、一般開業医と薬剤師が協力した自宅での薬物療法の再検討を受けた273例の患者を、そのような再検討を受けなかった5444例の対照と比較した。
両群の患者の平均年齢は81.6歳であった。共存症の数の中央値は共同での再検討を受けた群が8であったのに対して、受けなかった群は7であった(p<0.0001)。薬物療法の再検討を受けた群は同じく処方箋の数がより多く、自宅での再検討の前の薬物療法の変更がより多く、より多くの医師から処方箋を発行されており、入院もより多かった。
「我々が退役軍人の集団を研究対象に選択したのは、彼らが高齢であり、自宅での薬物療法の再検討活動の標的集団として適切だったからである」とRoughead博士は説明した。
再検討によって心不全のための入院を遅らせることができた
自宅での薬物療法の再検討を受けた群では心不全のための入院までの期間が有意に延長したことを研究者らは見出した。種々の交絡変数について調整した後、再検討群では1年以内に入院した患者が5.5%しかいなかったのに対して、対照群では12%であった(ハザード比[HR]0.55、95% CI 0.39 - 0.77;p<0.0001)。
薬剤師であるAmy Seybert博士(ピッツバーグ大学メディカルセンター、ペンシルバニア州)は、薬剤師は患者のカウンセリングに特に適しているとheartwireに語った。「間違いない。我々はその訓練を受けている。我々は薬剤を使用しなければならない理由を患者に説明し、コンプライアンスの重要性を強調する。薬剤がどのように作用するかを説明する。患者が薬剤を使用する理由と目的を理解すれば、患者のコンプライアンスははるかに良くなる傾向があると、私は本当に考えている」。
博士の同僚のJoon Sun Lee博士(ピッツバーグ大学メディカルセンター)も同じ意見である。
「オーストラリアの研究によって多くの既知のことが確認された。治療法、特に心不全患者に対する薬物療法の方法がますます複雑になるにつれて、患者が混乱する可能性がより高くなる。したがって薬物療法の方法を確認し、同じく患者をチェックするという方策は、再入院を減らすのに効果的である」と博士は述べた。
地球の裏側では効果があるが、米国では効果があるのだろうか?
米国ではますます多くの施設が、通常、退院プログラムの一環として患者を教育するために薬剤師を活用している。しかしSun Lee博士は、オーストラリア人が行ったような薬剤師と臨床医との協力関係が米国において実行可能かどうか、疑問視している。
「米国の医療システムの脆弱性と非効率性のひとつは、医療における薬物療法の共同再検討の部分が金銭的に報われないことである。病院または医院が費用を負担することについて話しても、それは保険で償還されない追加費用である。現在、これは医療提供システムに存在する亀裂のひとつである」と博士は述べた。


16.コルチコステロイド剤は咽頭炎の疼痛緩和に有効な可能性
Medscape Medical News2009年8月21日

重度または滲出性の咽頭炎患者においてコルチコステロイド剤を抗生物質に併用すると、咽頭炎の疼痛緩和に有効な可能性があることを示すシステマティックレビューおよびメタアナリシスの結果が『BMJ』8月7日オンライン早版に報告されている。
「臨床医には、咽頭炎への抗生物質の処方を減らさなければならないというプレッシャーがあり、これによって治療の真空状態が放置されている」とオックスフォード大学(英国、オックスフォード)のGail Hayward博士らは記している。「コルチコステロイド剤は、ヒト気道内皮細胞において、咽頭の炎症を引き起こし、ひいては疼痛症状を発現させる前炎症性メディエータ(proinflammatory mediators)の転写を阻害する。コルチコステロイド剤は、急性副鼻腔炎、クループ性咽頭炎、伝染性単核球症などの他の上気道感染症に有用である」
同レビューでは、全身用コルチコステロイド剤が成人および小児における咽頭炎の症状を緩和させ得るかどうかを明らかにするため、Cochrane Central、Medline、Embase、Database of Reviews of Effectiveness、NHS Health Economics Databaseのほか、検索した論文の参考文献リストを検索した。関連する評価項目には、24時間および48時間時点で咽頭炎が完全に消失した患者の割合、疼痛緩和の発現までの平均時間、症状の完全消失までの平均時間、仕事または学校を休んだ日数、咽頭炎の再発、有害事象を用いた。
そして、レビューワーらは関連試験8件を特定し、その被験者の合計は743例(小児369例、成人374例)であった。滲出性咽頭炎はこれらの患者のうち348例(47%)に認められ、330例(44%)は検査によりA群β-溶血性連鎖球菌陽性が認められた。
4試験からは、コルチコステロイド剤を抗生物質や鎮痛薬に追加すると、24時間の時点で、疼痛の完全消失の確率に有意かつ著明な改善がみられることが示されていた(相対リスク[RR] 3.2; 95%信頼区間[CI] 2.0-5.1)。また、3試験では、48時間の時点において、同様ではあるものの、それほど劇的ではない結果が認められていた(RR 1.7; 95%CI 1.3-2.1)。
6試験では、コルチコステロイド剤により、疼痛緩和の発現までの平均時間に6時間以上の短縮が認められた(95%CI 3.4-9.3; P
http://fcm-news.blog.so-net.ne.jp/2009-08-21

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